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2023-10-25

広がる支援の輪…欠場レスラー救済イベント「やまいきフリーマーケット」に100人超えのファン【週刊プロレス】

フリマに参加した選手たちとお手伝いに来た者も加わり、団体の枠を越えて撮影

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大鷲透が呼びかけた欠場選手救済イベント「やまいきフリーマーケット」が10月24日、東京・新宿FACEにて催された。自身も頸椎損傷により長期欠場中の大鷲が、同イベントを企画した経緯についてはコチラ(https://www.bbm-japan.com/article/detail/46368)を参照いただきたい。

  イベント内容はフリーマーケット(グッズ販売含む)と選手によるトークショー。入場料1000円で17時~21時の間は出入り自由とした中、100人を超えるファンが足を運んだ。フリマ参加者は大鷲ほか勝俣瞬馬(DDT)、吉村直己(同)、中村圭吾(同)、まなせゆうな(ガンバレ☆プロレス)、春日萌花(フリー)、みなみ飛香(アイスリボン)、清水ひかり(COLOR’S)、平田智也(FREEDOMS)、鈴木心(フリー=代理出店)、清水佑(スポルティーバ・エンターテイメント)と、腎移植手術後の春日以外はいずれもケガによりリングを離れている選手たち。

 「自分が会場にいっている身近な人たちに声をかけさせてもらったのがDDTやガンプロの選手で、それ以外はSNSで直接参加を希望してくれた方もいました」と大鷲。普段はリングが常設されている新宿FACEのフロアに各選手が出店し、トークショーは通常物販をするロビーが使用された。DDT・加藤憲リングアナウンサーMCのもと、春日&みなみ&清水、鈴木&中村、勝俣&平田、大鷲&まなせの順で進行。負傷箇所の説明用に、大鷲は自腹で2000円を出して骸骨の模型を用意した。

 負傷箇所を直接見せる選手もいれば、これから手術を受ける選手は経験者にどれほど痛かったかを聞くなど、選手同士の情報交換の場にもなったトークショー。また同じデスマッチファイターということで、勝俣と平田は復帰したら一騎打ちで対戦する約束も交わした。

 フリマ出店者以外にも、ケガに関わるということで保険会社勤務の趙雲子龍がプロレスラーの保険に関するレクチャーをおこなったり、赤井沙希が中村のフリマを手伝いに駆けつけたりと飛び入りの顔も見られ、プロの占い師でもあるチェリーは当日、無料でワンポイント占いを出店したいと申し入れてやってきた。また、参加できない状況にある髙山善廣、大谷晋二郎、ベアー福田(後縦ジン帯骨化症により長期欠場中)のために募金箱も設置され、募金額に加え入場料の一部を加え3選手に寄付される。この日、無償で会場を貸した新宿FACEも、盛況ぶりに21時までの予定を30分延長するなど協力。

 「今回が初めての試みで、チケット制でもなかったから当日フタを開けてみるまでは読めないイベントだったんですけど、平日にもかかわらず予想以上の方々に来ていただき、実際にお客さんの声を聞くことでみんなも感じるものがあったと思うので、やってよかったです。欠場者を救済するイベントはエイド興行とかもあるけど、ケガしたみんなが集まってやることはなかったと思うので、こういうことができるんだというきっかけにはなれたと思う。今回は自分が音頭を取ったから、自分と話しやすかったり近かったりする選手が多かったけど、別の誰かが企画することによって輪が広がっていくと思うんで、今後は“やまいきフリマ”の名前をどんどんお貸しするので手を挙げてほしい。今日もさっそく名刺をいただけたし、もう2件ほど話が来ているので」

 第2弾として群馬・高崎のプロレスショップ「リングサーチ」で11月5日に開催することは決まっているが、それ以後もたとえば団体側から新木場1stRINGで興行を開催するさい、会場前の駐車場スペースを使用していいという話があれば、どんどんやりたいと大鷲は言う。かつてDDTが昼夜を通じ3大会おこなう時は、その空き時間を利用してフリマを開催し、ファンも喜んで参加していた。

 髙山を支援する「TAKAYAMANIA」や、フジタ“Jr”ハヤトがガンにより欠場していた頃、ファンは支援できる場を求めていた。コロナ禍により募金活動さえも難しい時期は、応援したいとの気持ちを形にできず忸怩たる思いを味わった。

 だからこそ、やまいきフリマのようにファンが支援できる場を提供することに意義がある。大鷲自身も一歩間違ったら…というほどの大ケガを負い、本来ならば他者のことを考える余裕などなかったはずだが、それでも自ら動いた。

 「このキャリアでこれほどのケガをして初めて自分自身、この間に何かできないかって思ったんです。自分ができることという部分で、爪痕を残したかった」

 人間は、自分がなってみなければ本当の意味で他者の気持ちはわからない。大鷲はそれを経験し、自分以外のことを考えられるようになった。「本来ならばやまいく選手はいなくなって、こういうイベントをやる必要がなくなるのが一番なんです」と理想を語りつつ、これからも現実と向き合っていく。この日、選手間でできた輪はリングへ戻れた時になんらかの形となるはずだ。

(文・鈴木健.txt)

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