※写真上=63kg級表彰 左から2位・鍋倉、優勝・土井、3位・能智、田代
写真◎近代柔道
大会2日目、女子63kg級でグランドスラム初優勝を飾った土井雅子(JR東日本)は、6日前、オランダにいた。IJFワールドツアーのひとつ、グランプリ・ハーグに出場していたからである(3位入賞)。
「おとといまで時差ぼけがあったんですけど、昨日あたりから大丈夫になりました」とけろり。
初戦からの4試合「一本」で勝ち上がり(「指導」3による反則勝ちを含む)、決勝ではジャカルタ・アジア大会優勝の鍋倉那美(三井住友海上)を延長戦の末、相手の「指導3」で勝利した。
それにしても超ハードな日程だ。11月は、第1週の講道館杯で連覇してから、ハーグ、大阪と3連戦。なぜこんな強行軍になったのか?
「海外の選手は世界ランクを上げるために大会にたくさん出るというのを聞いていたので、自分も少しでもポイントを稼ぎたいと思って出場しました。スタミナにはもともと自信があったので、大丈夫かなと。高校時代の練習はヤバイくらいにすごく厳しくて、人生で一番キツかったんですが、それを乗り越えた経験があるので、他のことは楽勝だなと思っています」とのこと。大会に向けて緻密な準備をして臨む、一戦必勝タイプが主流の日本人選手の中ではかなり異色、そしてたくましいのである。
今回の優勝により土井は1000ポイントを獲得。世界ランクは大会前の76位から大幅アップする。それでも「今後も国際大会には出られるものなら出たいです。減量もないので自分の調子を見ながら出場していきたいです。今回の優勝はすごくうれしいですが、東京五輪に向けての通り道なので、自分に対しての甘さが出るということはありません」。
今大会、世界選手権2位の田代未来(コマツ)が3位となり、前述通り、アジア大会優勝の鍋倉が土井に敗れたこともあり、63kg級の来年以降の代表争いは混沌としてきた。タフな選択で土井がこのまま突っ走るのか。楽しみな階級がまたひとつ増えた。
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