Xリーグは10月9日、アミノバイタルフィールド(東京都調布市)で、第4節のノジマ相模原ライズ対LIXILディアーズの一戦が行われ、ノジマ相模原が、シーソーゲームの末にLIXILを38-35で破り、3勝1敗とした。ノジマ相模原はJXBトーナメント進出に大きく前進した。敗れたLIXILは2勝2敗となった。
ノジマ相模原・デビン・ガードナーとLIXIL・加藤翔平という、リーグを代表するQBの対戦。先制したのはノジマ相模原だった。ガードナーがWR八木雄平へ31ヤードのパスを決めて攻め込み、K市森康平がフィールドゴール(FG)を決めた。LIXILは2回目のオフェンスシリーズで7分12プレーかけてエンドゾーン直前まで迫ると、QB加藤がTE長谷川へショートパスを決めてタッチダウン(TD)、逆転した。加藤は次のドライブでも、ルーキーWR西川大地に26ヤードのパスでTDを決めた。しかし、ノジマ相模原は、ガードナーが2本のTDパスを決めて再び逆転し、17-14で後半へ折り返した。
第3クオーター、ガードナーが八木にTDパスを決めて、ノジマ相模原が10点をリードするが、LIXILも加藤が6分に主将・永川勝也、9分に副将・前田直輝と、2人のベテランレシーバーにTDパスを通して試合をひっくり返した。第4クオーター、ノジマ相模原はガードナーから八木に2本のTDパスが決まり、逆転した上でLIXILを突き放したかに見えたが、直後のキックオフで前田が100ヤードのリターンTDを挙げて、35-38とした。残り4分からのオフェンスでLIXILは敵陣24ヤードまで進めるが、加藤がQBサックを浴びて8ヤードロス。その後、49ヤードのフィールドゴール狙ったが、届かず失敗、勝負が決した。
夏日となったアミノバイタルフィールドで、両チームのオフェンスが一歩も引かないホットなバトルを展開した。LIXILの加藤はパス21/27、成功率77.7%、285ヤード、4TD。ノジマ相模原のガードナーは、パス23/34、成功率67.6%、283ヤード、5TD。数字の出にくいNFL方式でQBレーティングを換算しても、加藤は150.23、ガードナーは132.72という極めて高い値となった。
この試合、シュートアウトゲームにありがちな大雑把な展開がなく、緊迫感に満ちていた。理由は両チームのパスアテンプトが合計60回を超しながら、インターセプトが一本もなかったことだ。
インターセプトがなかった理由をともにオフェンスが専門の両チームヘッドコーチ(HC)に尋ねた。ノジマ相模原の須永恭通HCは「ガードナーの、OLのパスプロテクションとレシーバーの双方への信頼が厚くなっているから」と考えている。「パスは、レシーバーが空いてから投げるのでは遅い。ここでこういう(ディフェンスからの)ブレークをするだろうという(レシーバーの動きを)把握をできてきていると思う。レシーバーも、ガードナーの意図通りに動けるようになってきた」という。今季からホットラインとなっている八木だけでなく、この試合はTE吉田武蔵、さらにアサヒビールから移籍のスピード派WR秋山光にもタイミングよくTDパスが通った。
LIXILの富永一ヘッドコーチは「加藤は、一昨年くらいまでは、キャッチアップオフェンスや点の取り合いになった展開では、ある程度インターセプトのリスクもしょうがないという感じで攻めていた。しかし今季は、たとえそういう展開でも丁寧にいこうという意識に代わってきた」とみている。加藤は今季ここまでパス成功率は74%近い。パスアテンプト60回以上のQBの中ではリーグトップだ。富永HCも「調子自体はいい」とみている。だからこそ「我々はミスをしたら負けのチーム。もっと精度とタイミングを高めていかなければならない」という。
両チームとも、オフェンスが決してパス一辺倒ではなかったことも強調しておきたい。プレー選択はLIXILはパス28回に対し、ラン27回。ノジマ相模原はパス34回に対し、ラン23回だった。ただ、結果としては、RB陣のエース宮幸崇が14回57ヤード、ガードナー自身のランも9回54ヤードと、ノジマ相模原がランで111ヤードを記録したのに対し、LIXILは白神有貴が14回30ヤードと封じられ、事実上4回のQBサックを浴びた加藤も、そのロスを除いても14ヤードのゲインにとどまった。このランプレーの差も、勝敗に結びついたと言ってよい。
ノジマ相模原はこの日の勝利で、昨年は進出できなかったJXBトーナメントをほぼ確実にした。しかし、チーム内の誰1人としてそれで満足している者はいないだろう。今月末29日のパナソニック戦が大きなヤマとなる。【小座野容斉】
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