1年前の日本選手権、400m個人メドレーで驚異的な日本新をマークした大橋悠依の快泳は今でもまぶたに焼きついている。たたき出した4分31秒42という記録は、自己ベストを3秒93、それまでの日本記録を3秒24上回り、リオ五輪3位相当の快記録だった。
大橋はそのまま夏まで突っ走り、見事、初めての世界挑戦で、今度は200m個人メドレーで日本新をマークし、銀メダルを獲得。シーズンを通した文句なしの活躍により、2017年度日本水泳連盟最優秀選手にも選ばれた。
その大橋が今季も好調だ。
3月19日に1カ月におよぶ高地トレーニングから帰国。現在は練習拠点である東洋大プールをベースに最後の調整に励んでいる。
高地トレーニング出発前には、「昨年、大幅に自己ベストが出てしまったので、今年も更新するというのはかなりハイレベルなことで、そう簡単にいくとは思っていない」と慎重だった大橋。しかし、厳しい高地トレーニングを充実のうちに乗り越えたことで、自己ベスト更新に向け手ごたえをつかんでいる。
「今回の高地トレーニングでは、初めて400mのブロークン練習に挑戦するなど400m向けの練習も多く積んできたので、そういった練習を重ねる中で自己ベストへの道筋も見えてきた部分もある。もちろん、簡単なことではないと覚悟しているけれど、最初から自己ベストを目標に泳がないなんて進歩がないので、気持ちだけはしっかり持って自己ベストを目指して泳ぎたい。目標は4分31秒15の『インターナショナルS』の記録。一番苦手な平泳ぎがだいぶ良くなっているので、そういったところをレースで出せていけたら」
ちなみに、インターナショナルSとは、日本水泳連盟が定める標準記録の最高ランクであり、世界3位相当を目安とする秀逸記録。大橋が持つ日本記録を0秒27上回る、高尚な記録だ。
高みを見すえる姿勢は昨年と変わらず、いや昨年以上の心意気。社会人として初めて臨む大会が日本選手権となる大橋が、新たな門出に自己ベストという華を添えることができるか――。“2年目のジンクス”を打ち破る活躍に期待したい。
文◎桜間晶子
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