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2017-11-06

心機一転、原点回帰の瀬戸大也 充実の2018年シーズンへ

トークショーの2日前に歯科医院へ行き歯の矯正を始めたという瀬戸。「歯並びが悪かったからではなく、噛み合わせを良くして水泳に少しでもプラスにしたいと思って。今日はしゃべり方がヘンですみません(笑)」と、すべてのベクトルが競技力向上に向かい充実の様子がうかがえた
写真:編集部

 11月3日、瀬戸大也がトークイベントを行なった。会場は東京・原宿にあるアリーナショップ東京。対象は商品購入者から先着順で、幸運の入場券をゲットした30名が瀬戸との楽しいひと時を過ごした。

 10月30日に武者修行先の豪州から帰国したばかり。10月1日に飛込の馬淵優佳と都内で挙式をあげ、翌日に新婚旅行に出発。その後、10月11日に豪州・ゴールドコーストに移動し、本格的なシーズンの立ち上げトレーニングに入った。帰国までの約2週間は充実の日々。多くの発見と開眼、そして新たな誓いを胸に、最後は26~28日にアデレードで開催された豪州短水路選手権に5種目出場し、武者修行をしめくくった。

 ゴールドコーストで師事したのはマイケル・ボール氏。2008年北京五輪、女子個人メドレー2冠のステファニー・ライス(豪州)を育て、韓国の英雄、パク・テファンを世界一に押し上げるなど海外勢の指導も多数行なってきた名将である。現在も多くのトップスイマーが集うその中で、瀬戸は原点とも言うべきあることに気づいたのだという。

「初めての世界大会が2013年のバルセロナ世界選手権で、僕はそこで400m個人メドレーで優勝することができた。あのときはものすごく力がみなぎっていて、決勝のレースでそれがすべて爆発した結果の金メダル獲得だった。あのときの『爆発』をこれからも続けたいと考えていたし、それが理想だった。しかし、2015年の世界選手権優勝時もそれとはどことなく違い、2016年リオ五輪時は肝心の決勝では全くの不発に終わった。2017年に至っては、何とか最低限の結果は残したという感じで、納得のいく結果ではなかった」と、ここ数年のもどかしい心の内を語った。

 そんな瀬戸を、前を向いて自然体で進めと導いてくれたのが豪州での日々だったという。
「屋外プールという環境も手伝ってか、とにかく明るく楽しく練習している。そして驚いたのがトレーニング場に出向いたときで、一般の人が平日の昼間に大勢いて、『仕事は?』と思っちゃうくらい(笑)。みんな、楽しんで身体を動かしている。そんな光景を目の当たりにして、僕が忘れかけていたのは水泳を純粋に『楽しむ』ことだったんだな、と。特に2017年に入ってからは、社会人になってスポンサーに結果で恩返しをする責任を感じていたし、結婚もした。さらに世界選手権は400m個人メドレーの3連覇もかかっていたので結果のことばかりを考え過ぎていた。それが『最低限、メダルを獲らなければ』という考えを生み、本当に最低限の結果になってしまった」

 7月のブダペスト世界選手権では、3連覇のかかった400m個人メドレー、そして200mバタフライでいずれも3位。時間が経てばたつほど、そして臨む姿勢や気持ちを振り返れば振り返るほど、悔しさがこみ上げたのだという。

「『最低限』という考えだからレースもアンパイの展開しかできないし、そんなレースで良い結果が出るわけがない。もう、そんな戦い方はしたくない。だから、もちろん楽しむことが先行してはいけないけれど、それでも、決して忘れてはいけないことということで、元来の僕のスタンスだった『楽しんで泳ぐ』を心に置いて練習も試合も取り組んでいきたい」

 2018年は世界大会(オリンピック、世界選手権)がなく、世界を二分し、欧州選手権に対抗した形で行なわれるパンパシフィック選手権と、強豪・中国と対峙するアジア大会の2大会に臨む夏になる。

「まずは4月の日本選手権で200m個人メドレーとバタフライ、400m個人メドレーの全3種目の代表権を獲得すること。そのために11月下旬からの高地合宿でしっかりとベースを作り、年明け以降も泳ぎ込んで、2月、3月の仕上げの作業にいい状態で入っていきたい」

 五輪中間年といえども、ゆるむ気持ちは微塵もない。まずは自分自身を立て直すこと。そしてそれを成し得た先にのみ、萩野公介やチェース・カリシュ(米国)との真の対決が待っていると信じている。

文◎桜間晶子

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