競泳の男子バタフライが充実期を迎えている。オリンピック種目は100mと200m。とりわけ200mバタフライはメダル獲得の可能性が非常に高く、競泳のお家芸と呼ばれている男子平泳ぎと並ぶ存在になりつつある。
男子200mバタフライは、2004年アテネ五輪で山本貴司が銀メダルを獲得して以降、オリンピック、そして2年ごとに開催される世界選手権の計11大会中、8大会でメダルを獲得。近年では、2012年ロンドン五輪での松田丈志の銅メダル、2016年リオ五輪での坂井聖人の銀メダル獲得が記憶に新しいが、今年の世界選手権でも、個人メドレーを主戦場とする瀬戸大也が200mバタフライで銅メダルを獲得するなど、安定した活躍を見せている種目のひとつだ。
競泳のオリンピックと世界選手権は、出場できるのが1種目につき1国2名までと決まっている。現在は坂井と瀬戸が牽引する同種目だが、このふたりを脅かす若手の成長も著しく、充実期を迎えているのだ。
その若手の筆頭が早稲田大1年の幌村尚だ。今夏は世界選手権の代表こそ逃したものの、8月に出場したユニバーシアード大会では、瀬戸の世界選手権銅メダル獲得時の記録を上回る好記録をマーク。今季の世界ランキングも5位と、一気に世界のトップ戦線へと躍り出た。高校に入った頃から頭角を現し、2年時に出場した世界ジュニア選手権の200mバタフライで金メダルを獲得するなど、この種目の同世代を牽引。そして今季、満を持しての大学デビューに好記録をたたき出し、世界一争いに名乗りを上げた。
2020年の東京五輪はもちろん、それ以降のオリンピックでもメダルを獲得し続けるには、ひとりの選手に頼っていたのでは継続することはできない。若手の成長によるトップ選手への突き上げ、それがひとりではなく複数出てくることが不可欠で、幌村の躍進は日本の男子バタフライにとって絶好のカンフル剤になっている。
文/桜間晶子
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