10月29日、第48回ジュニアオリンピックのA男子3000mで石田洸介(浅川中3年・福岡)が8分17秒84で優勝。8月の全日本中学選手権で樹立した1500mに続き、今季のトラックシーズン最後のレースを中学新記録で締めくくった。
激しく降りしきる雨をものともせず、気力を振り絞ってゴールへと疾走する。昨年、林田洋翔(桜が原中→現・瓊浦高1年<共に長崎>)が打ち立てた3000mの中学記録を1秒30更新した。
「ラストはきつかったですが、『(記録が)出る、出る』と思って、脚の疲れも我慢して一生懸命走りました」
8月の全日本中学選手権では1500mと3000mで二冠を達成。1500mでは3分54秒34の中学新記録を樹立している(9月24日の日体大記録会で3分49秒72に更新)。3000mは10月初旬の愛媛国体少年Bクラスで記録更新を狙っていたものの、予選は8分26秒97、決勝は8分35秒48と悲願達成はならなかった。それだけに、今大会は最後のチャンスと心に期すものがあった。
中学1年時と2年時のジュニアオリンピックでは1500mを制し、3000mを走る今大会は三連覇が懸かっていた。勝負に徹することもできたはずだが、タイトル獲得と新記録の双方を追求する、そのロジックはきわめて明快だ。
「優先すべきは勝つことですが、勝つために中学記録のペースで走るという感じです」
決勝のレースプランは1周66秒ペースで走ること。3000mに換算すれば、8分15秒に相当する。実際、1000mのラップは2分41秒で入ると、その後もペースはほぼ維持したまま、雨中のレース、序盤からの単独走という悪条件のなかで記録を塗り替えて見せた。
8分17秒84という優勝タイムは高1歴代4位タイに相当する。1学年上の現・高校1年には、愛媛国体で前哨戦を繰り広げた林田、佐々木塁(盛岡一高・岩手)、服部凱杏(佐久長聖高・長野)など良きライバルがそろう。早くも来夏のインターハイでの戦いが楽しみだが、石田はより高みを見つめている。
「5000mがメインになると思います。インターハイで入賞することもそうですが、世界に意識を向けられる選手になりたいです。オリンピックを見ても、外国人選手のスピードは日本人選手とはかけ離れています。そういうスピードを磨きつつ、維持できる持久力を高校で付けようと思っています」
全国大会優勝、1500mと3000mで中学新記録樹立、自らに課した目標をすべて達成した中学長距離界最強のランナーが、ネクストステージへと向かい始めた。
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