米プロフットボールNFLのテネシー・タイタンズで、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)が発生した。複数の米メディアが伝えた。現地9月29日にタイタンズの選手3人とスタッフ5人が、COVID-19の陽性であることが判明。スポーツ専門局のESPNによると、追加の検査で、さらに選手が1人増え、選手4人、スタッフ5人が陽性と判断されている。
タイタンズは9月27日にミネソタ・バイキングスとアウェーで対戦しており、この結果を受けたバイキングスも直ぐに選手やスタッフへの検査を実施した。バイキングスには陽性者は出ていないという。NFLは、タイタンズとバイキングスのチーム施設を閉鎖を命じた。バイキングスの閉鎖は10月1日に解除されるが、タイタンズは10月3日(土曜日)まで閉鎖が継続されるという。
NFL第3週 タイタンズvsバイキングス タッチダウンを狙ってエンドゾーンに飛び込むタイタンズのRBヘンリー=photo by Getty Images タイタンズの選手4人のポジションは、DT、LB、LS(ロングスナッパー)、プラクティススクワッド(練習チーム)のTEだという。DTの選手はスターターで、27日のバイキングス戦でもプレーしていた。
タイタンズは第4週の10月4日(日曜日)午後1時から本拠地・テネシー州ナッシュビルのニッサン・スタジアムで、ピッツバーグ・スティーラーズと対戦する予定だった。NFLは9月30日に声明で、試合は10月5日・月曜日もしくは6日・火曜日に変更されると発表した。タイタンズ、スティーラーズ共に開幕3連勝と好調で、今季のAFCを占う重要な一戦として注目されていた。
タイタンズは3日・土曜日までチーム施設が閉鎖のため、今週1週間はチーム練習がほぼできない状態となる。月曜日の試合の場合は、日曜日に軽い練習、試合当日にウォークスルー(実際にコンタクトせずに、隊形や戦術を確認する方法)の予定という。
タイトなスケジュール、変更に限界も ついにNFLでもCOVID-19が発生した。タイタンズで選手4人、スタッフ5人の陽性が確認された。NFLはタイタンズの施設を閉鎖し、次戦の開催を1日ないし2日延ばす対応をとった。
9月末からプレーオフに入った野球のMLBは、7月下旬に開幕後、感染の影響で延期となる試合が続いた時期もあったが、レギュラーシーズンをほとんどのチームが戦い終えることができた。だが、それは通常の4割以下となる60試合に短縮されたシーズンだったことが大きい。
一時は、シーズンの春延期を発表するカンファレンスが相次いだ米カレッジフットボールでは、第4週までに計22試合が延期となっているが、カンファレンス外対戦を取りやめるなど、通常シーズンよりも3,4試合少ないスケジュールのため、大半の大学は、延期となった試合も含めて、日程消化は可能と見られている。
それに対し、NFLは、海外試合こそ取りやめたものの、レギュラーシーズン16試合は減らすことなく実施の予定だ。2021年1月3日にレギュラーシーズンが終了後、1月9日にはAFC、NFCの各7チーム(今季から1チーム増える)によるプレーオフが始まる。2月7日の第55回スーパーボウルまで、スケジュールはタイトだ。
1チームに1週間のバイウィークがあるが、チームごとに時期が異なっているため、予備日程として使うことは基本的に困難だ。その週の試合はその週の中で終わらせないといけない。
スティーラーズのマイク・トムリンヘッドコーチ(HC)は水曜日の記者会見で、タイタンズ戦は10月5日・月曜日となるという見通しを語ったという。スティーラーズ側としては、火曜日のアウェーゲームは受け入れたくないだろう。昼間の試合であればまだしも、夜間のゲームの場合、本拠地ピッツバーグへの帰還は水曜日になる。翌週に向けての練習に支障が出るだろう。
9月30日の段階で、タイタンズはまだ数人の選手を継続して検査しているという情報もある。今後さらに陽性者数が増えるようなら、1日や2日の延期では済まず、試合を違う週に順延することもあり得ないわけではない。
タイタンズが本拠としている米南部のテネシー州では、9月末までにCOVID-19の陽性者数約19万5千人、死者は2400人を超えている。米国全体では陽性者数約717万人、死者は20万5千人(いずれも米国疾病予防管理センター調べ)。
カレッジの名門、テネシー大学ボランティアーズでは、9月上旬にフットボールチームで40人を超す集団感染が発生し、しばらく練習が中断となった。テネシー大のあるノックスビルとタイタンズの本拠地ナッシュビルは約260キロ離れており、東京・浜松ほどの距離があるので直接の関係はないだろう。
しかし、テキサス州、ルイジアナ州、ミシシッピ州など南部の近隣諸州では、人口比で感染者の割合が特に多い状況が続いている。
今後も、同様の事態が他チームで頻発するようであれば、スーパーボウルを始め、ポストシーズンの日程を変更するということも必要となってくるかもしれない。( 小座野容斉)