9月17日、東京・キヤノンスポーツパークでおこなわれた関東大学リーグ戦1部の日本大×東海大。走れば水しぶきが舞う雨中戦で、リーグ戦で昨季1位の東海大が、昨季8位の日大から10トライを奪い66-17で快勝。リーグ戦3連覇、そして悲願の大学日本一へ向けて白星発進した。この日の東海大は、教育実習を終えたばかりの日本代表FB野口竜司キャプテンを始め、ウルグアイ遠征に参加したSO眞野泰地ら一部のU20日本代表組を欠く布陣。しかしPR三浦昌悟、NO8テビタ・タタフ、CTB鹿尾貫太といった代表キャップホルダーが先発に並んだ。多士済済ぶりは大学ラグビー界で一、二を争う。しかしこの日、最初に会場をどよめかせたのは日大の4年生、CTB竹澤正祥に違いなかった。前半3分、自陣でボールを受けたCTB竹澤は飛びかかるタックラーを引きずりながらゲイン。敵陣に入った同5分には、相手FWによるダブルタックルを受け止めてから、力強いレッグドライブで大きく前進。どよめきが起こった。「前半はラック周辺のファイトなどができていましたが、後半になって、東海大学さんの強い個々、スクラムやモールで攻められてしまいました」そう振り返る22歳のCTB竹澤は、身長175センチ、体重93キロ。群馬・明和県央時代のポジションはFL(フランカー)で、BKに転向したのは日大に入ってからだ。「去年はウイングで全試合に出ていました。センターにコンバートしたのは4年時の春です。不安の方が大きかったのですが、アタックは菅平(合宿)でも通用しました」新しいポジションに適応する身体能力は、水泳・バタフライの国体選手だった母譲りかもしれない。強靭な足腰の突進役は、今季のチームスタイルについて力強く語った。「スクラムに自信を持っています。スクラムでフォワードが前に出てバックス展開、というラグビーを目指しています」その日大スクラムの最前線で奮闘するのが、2年生のPR坂本駿介だ。東海大戦の前半7分には、ラインアウトモールから先制トライ。歓声を浴び、序盤で3トライずつを奪い合うシーソーゲームの口火を切った。青森・三本木農業時代はNO8(ナンバーエイト)で、日大でも昨季まではLO(ロック)やFW第3列だった。「今年の春に伊藤(武ヘッドコーチ)さんと川邊(大督FWコーチ)さんから、『プロップをやってみないか』と言われ、挑戦したいという気持ちがあったのでやりました」経緯をそう語った19歳は、転向にあたって体重増を決意。「筋トレと食トレ」に取り組んだ。その結果――「去年は体重が90キロくらいだったんですが、今は110キロになりました」本人は事もなげに言ってみせるが、PR転向を勧めた川邊FWコーチは、坂本のポテンシャルに驚きを隠せない。「足が(50メートル走で)6秒3くらいなんですよ。110キロになっても遅くなっていないんです。それにタックルも強いし、気持ちも強い」自身も法政大や九州電力でFW第1列だった川邊FWコーチは、「羽ばたかせたい」と期待を寄せる。PR坂本自身も意欲は旺盛だ。「(東海大戦は)相手の3番の選手に、自分のスクラムを組ませてもらえませんでした。もっと精進しなければいけないと思いました」日大の次戦は9月24日、東京・秩父宮ラグビー場で中央大との対戦。骨身を惜しまないFW陣を中心に、鍛え抜いてきたスクラム、素早いBK展開を披露して、次は聖地のスタンドを沸かせたい。(文:多羅正崇)写真右端、黄色いスパイクの選手が日大のPR坂本駿介(撮影:YUTAKA SAITO)
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