県内強豪校の強化策で
「野球王国ぎふ」をつくる

 1940年の第17回選抜大会での岐阜商の優勝以来、甲子園制覇から遠ざかっている岐阜県。この高校野球の低迷を脱し“野球王国ぎふ”をつくることを目的に、2003年よりスポーツ振興の一環として「野球強化プロジェクト」が行われている。
 
 この取り組みの一つとして、昨年11月29日より新たに始まったのが「高校野球強化アドバイザー派遣事業」。過去5年間の戦績をもとに選ばれた大垣日大、県岐阜商、中京学院大中京、大垣西、岐阜各務野の5校を対象に、元・PL学園監督で現・名古屋商科大硬式野球部総監督の中村順司氏や、近鉄や中日で活躍した元プロ野球選手の中村紀洋氏など、実績を持つ県内外の指導者をアドバイザーとして派遣し、全国大会で勝利するための技術や戦術などをチームに伝えるというのがその主旨だ。
 
 今プロジェクト立ち上げの中心となった中村順氏は全5校をまわるが、基本的には学校側がチームの強化ポイントや環境などに適した指導者を招へいし、一定期間継続的に指導を行うことになる。

派遣アドバイザーの立ち場を超えた
チームに寄り添う指導

大垣西高のアドバイザーを務める元・西濃運輸監督の林教雄氏。2014の都市対抗で優勝を果たした際には地元・大垣市で祝賀パレードが行われ1万6,000人が集まったという

 昨秋の東海大会で準優勝、同東海大会ではベスト8になるも惜しくも選抜大会出場を逃した大垣西は、元・西濃運輸監督の林教雄氏にアドバイザーを依頼した。林氏は14年の第85回都市対抗野球大会でチーム初の優勝を果たし、大垣市に悲願の黒獅子旗を持ち帰った地元の英雄的存在。昨年7月限りで監督を退任し、現在は同チームの顧問を務めている。
 
 学校の近くに住んでいたこと、そして部の活動として西濃運輸の試合を見に行くなど身近な存在だったことから林氏に指導を依頼した大垣西・小牧憲充監督は、その指導の情熱に感銘を受けたと語る。

「当初は10回程度来ていただける予定だったのですが、始まってからは必ず毎週末指導していただいています。また、ただ見ているのではなく、ノックを打ったりと体を動かして指導してくださる。練習メニューにもアドバイスをいただくなど、私としても勉強になることばかりです。何より、練習を見ている間は一度も座ることがない。自然とわれわれ指導陣の背筋も伸びます」

 選手へも厳しく喝を入れるときもあれば、親身になって話を聞くこともある。グラウンドの雪が溶け久々の実戦練習となった日、思ったように練習が進まないもどかしさから思わず涙した主将の今津貴晴を、林氏が宥め、励ましてくれたという。その存在感は、もはや“派遣アドバイザー”の域を越えていると言える。

「林さんから教えていただけていることで、選手たちも多いに刺激を受けていますし、より高い目標へと視線が向かっていると思います」(小牧監督)

 派遣事業は3月いっぱいでひとまず終了となる。今春の選抜大会では岐阜勢の出場はないものの、夏の甲子園の結果次第では野球振興を目指す他の都道府県のモデルケースにもなるだろう。プロジェクトの今後に注目したい。

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