設楽悠太選手(Honda)の日本記録で幕を閉じた東京マラソン2018。今年は沿道で応援することにした。ただ、応援するだけでは面白くないので、トップ選手の動画を撮って比べてみることにしたら、様々なことがイメージできた。

 下の動画は、28km手前のトップグループと第2集団。ケニア人ランナーと日本人ランナーが同じペースで走っているので、比較すると興味深いことが浮かんできた

トップグループ

画像: Tokyo Marathon 2018 28kmTop group www.youtube.com

Tokyo Marathon 2018 28kmTop group

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第2集団

画像: Tokyo Marathon 2018 28km 2nd group www.youtube.com

Tokyo Marathon 2018 28km 2nd group

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 まず、注目したのが膝の曲げ伸ばしの動作。ケニア人ランナーの多くは膝を伸ばし切らないまま、振り戻す動作に移っているのに対して、日本人ランナーの多くは、膝を伸ばし切ってから振り戻している。

 バイオメカニクスの専門家ではないので詳しいことはわからないが、ケニア人選手が骨盤を起点として大腿骨の前後運動で走っているのに対して、日本人選手は脛骨を前後させるという意識で走っていると推測できる。それが、ふくらはぎをはじめとした下肢の筋肉に量の違いになっているのではないかと考えた。

 人間は、足を振り戻すことによって前に進む。脚が直線になるほど膝を伸ばしてしまうと、振り戻しの動作が遅れる。力が入りにくいので、振り戻し時に十分な力を加えることができず、推進力を阻害することにつながるような気がする。

 もうひとつ気になったのが、足首のねじれだ。ケニア人選手の足首の動きがスムーズなのに対して、日本人選手は、小指の付け根あたりで着地しているため、激しくプロネーション(回内)を起こしている選手が多い。プロネーションのために着地エネルギー(位置エネルギー)が吸収されてしまい、地面からの反力をうまく推進力に転換できていないように感じられる。

 ただ、日本人選手のなかにも、ケニア人選手のような走りとしている選手がいる。それが日本記録を更新した設楽選手だ。トップグループの動画で、設楽選手の後ろを走っている井上大仁選手(MHPS)と比べるとその違いがよくわかる。膝が伸びきらず、プロネーションがほとんど起きていない。履いているシューズによるのか、走り方を工夫したからなのかはわからない。動きがスムーズに見えるのは、この2つの動きによるのではないかと思う。第2集団で走っている宮脇千博選手(トヨタ自動車)と佐藤悠基選手(日清食品グループ)も設楽選手に近い走りをしている。

 細かいことかもしれないが、こういうことの1つ1つが、日本記録更新につながったのではないかと考えている。これまで、日本の長距離の強化の学術的な裏付けは、最大酸素摂取量など運動生理学の分野に偏っていたように感じている。フォアフット着地という表層的なものではなく、もう少し本質的なバイオメカニクスの考えを取り入れることによって、さらに日本人ランナーや進歩していくのではないか。

 2002年以来の日本記録更新により、日本人ランナーによる2時間5分台はもちろん、4分台の扉が開かれた。そう感じているのは、私だけではないだろう。

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