目指す場所ははるか先

素直に喜べない9年越しの初ゴールとなった。

1-1の55分。右サイドに流れた小林悠が裏へ抜け出した瞬間、登里享平はもう動き出していた。相手のマークを外すと、ゴールのイメージをしながら小林の低いクロスに飛び込む。最後の仕上げは、左足のインサイドでゴールへ流し込むだけだった。

「いいボールがきたので。うまく飛び出せたと思う」

この日の主役になるはずだった男は、厳しい顔のまま淡々と振り返った。 

高卒10年目の生え抜きが、ACLの空気を初めて吸ったのは2009年大会。当時はベンチに座ったのみで終えたが、10年大会、14年大会、17年大会は貴重な戦力となり、アジアでの経験をこつこつと積んできた。そして、自身5度目となる今大会の3試合目で初ゴールをマーク。一時は勝ち越し点となったものの、終了間際に相手にPKを献上して同点に追いつかれ、等々力競技場にも大きなタメ息がもれた。

今季、登里のリーグ戦出場は5分のみ。今オフに大久保嘉人が加わり、中盤のポジション争いは激化。左サイドバックでも基本的に車屋紳太郎の控えという立場は変わらない。それでも、ACLではグループステージ初戦でフル出場し、第2節は途中出場。そのいずれも敗れており、3戦目に懸ける思いは強かったはずだ。痛恨のドローには悔しさを募らせていた。

「きょうのゴールは結果につながらなかった。ただそれだけです。僕は得点もアシストもまだまだ少ない。もっと結果を残さないといけない。このチームは選手も厚いし、レギュラー争いも厳しい」

グループステージの残りは3試合。まだ次のラウンドへ進む可能性は残されている。登里の戦いも始まったばかりだ。目指すべき場所は、はるか先にある。

取材◎杉園昌之 写真◎Getty Images

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