1月の箱根駅伝で総合12位と、駒大は9年ぶりにシード権獲得を逃した。
3月4日の日本学生ハーフは、新チームの力を把握する上でも重要な試金石だったが、
伊勢翔吾(3年)が2位に入るなど、まずは幸先の良い一歩を記した。
この日、大八木弘明監督に代わって、チームを率いた藤田敦史コーチは、
駒大復権を懸ける新シーズンに向けて、どのような感触をつかんだのか。

あと少し突き抜けられない

 駒大勢の日本学生ハーフの結果は、伊勢翔吾が1時間03分21秒で2位、物江雄利が1時間04分24秒で16位、白頭徹也が1時間04分36秒で20位。3年生3人が学内トップ3となった。200位代だった箱根出場組の片西景、下史典、堀合大輔(以上、3年)は、練習の一環として出場しており、ペースは予定どおりだったという。

「(今大会に出場した)メンバーを見れば、ウチの選手が勝ってもおかしくないんですが、あと少し突き抜けられない。物江や白頭らが上位争いに加われないのが、まだ弱いところですね。この2人は伊勢と同じくらいできるはずですし、練習では抜群にいいんです。でも、結果につながらないんですよね」

 藤田敦史コーチは、どこかもどかしげだった。

 結果を出した伊勢、上位に食い込めなかった物江と白頭。藤田コーチはその差を「成功体験」と見ている。伊勢は昨年11月の上尾ハーフで片西についで、1時間03分10秒の4位(日本人2位)に入った。自己ベストをマークし、東海大の2年生エースである關颯人にも2秒先着している。

 そんな成功体験が『この出場メンバーなら勝たなければならない』という意識となり、自覚につながっていく。この部分をいかにチーム全体に浸透させることができるか、そこが今年度の駒大のテーマの一つとなりそうだ。

「3年生たちには『強い駒澤を取り戻さなければ』という思いが強いのですが、まだ下級生たちに波及していっていません。そのためには主将の物江、駅伝主将の堀合たちが厳しいことを言わなければいけない場面も出てくると思いますが、言った以上は責任が生じます。自分たちだってやらなければならないわけですから」(藤田コーチ)

日本学生ハーフで2位入賞の伊勢(写真/田中慎一郎)

どれだけチャンスととらえられるか

 チームには、今年の箱根を走った選手が3年生を中心に7人残っている。

「上のメンバーを見れば、他校と比べても遜色ないと思います」という藤田コーチの言葉は、底上げの必要性を感じているということでもある。実際、日本学生ハーフでは、3年生を突き上げるような存在は限られていた。そのなかで、藤田コーチの目にとまったのが、23位の神戸駿介(1年)だ。

「一般入部の選手ですが、『どうしても駒澤に入りたい』という気持ちがありました。思いが違うんですよね。決してきれいな走りをする選手ではないんですが、今後、伸びてくると期待しています」

 現状、中堅以下はレギュラーが確約されていない。この状況をチャンスととらえられる選手がどれだけ出てくるか。近年、底上げがテーマとなってきた駒大だが、上の選手に追い付き、追い越すという競争意識には、チーム内でも差があったという。

 ケガのため、日本学生ハーフを欠場した山下一貴(2年)は、高校時代の実績はないものの、今年の箱根で2区を任されるまでになった。「山下を見て、ほかの選手が何を感じるかですね」と、藤田コーチは、そのなかから一人でも二人でも発奮材料としてくれることを、期待している。

 では、どのようにチームの底上げ、強化を図ろうとしているのか。

「これまでの駒大は、できないトレーニングはやらせないという方向に流れていました。それは大八木監督も私も反省点としてあります。そうではなく、トレーニングをできる体をつくってあげなければいけない。食事、治療、体幹トレーニング、あらゆる部分をトータルで見直していきたいです」(藤田コーチ)

 第86回大会(2010年)以来の予選会を戦う駒大。前回は10時間03分39秒という驚異的なレコードをたたき出して、トップで本戦出場を果たした。本戦では復路優勝、総合2位の成績を収めている。

 当時と状況は異なり、過去の成功例を持ちだすことに意味はないかもしれない。それでも……。

「予選会に回ったから、自分たちはダメなんだではなく、予選会を経て、箱根本戦で強い勝ち方をするためにチームをつくるという考え方です。物事はとらえ方一つじゃないですか。予選会まで1年ないなかで、たくましさを身につけさせたい」(藤田コーチ)

 箱根予選会まで7カ月、駒大がここ立川でどのように進化した姿を見せるのか。その挑戦は始まったばかりだ。

This article is a sponsored article by
''.