当初は4月15日(日)、神奈川・横浜アリーナで村田諒太(帝拳)、比嘉大吾(白井・具志
堅スポーツ)との3度目の共演が予定されていたWBC世界ライトフライ級王者の拳四朗(BMB)。井上尚弥(大橋)の3階級制覇挑戦をメインとする5月25日(金)、東京・大田区総合体育館への変更が発表されたのは、フィリピン合宿中の3月8日のことだった。

文_船橋真二郎 写真_馬場高志

 ペドロ・ゲバラ(メキシコ)との初防衛戦前と同じく、神奈川・茅ヶ崎での走り込み合宿から本格始動。新鋭賞に輝き、2月9日に東京ドームホテルで開催された年間表彰式に出席した翌日から現地に入り、三迫ジムの“ジムメート”と4日間で計90kmを走破して土台をつくり上げた。いったん京都に戻り、19日の発表会見に合わせて再び東京入り。その日から早速、試合前の恒例となっている三迫ジムでジムワークを始め、前王者でサウスポーの試合巧者ガニガン・ロペス(メキシコ)を見据えて、本格的なスパーリングも開始した。

昨年度ライトフライ級全日本新人王の佐藤剛(角海老宝石)を相手に、サウスポー対策をぶつけた

 さらに3月4日からフィリピン・マニラに入り、フラッシュ・エロルデジムで5日から9日まで毎日8ラウンドの予定で精力的にスパーリングをこなしていた。その矢先の日程変更にも「その分、長く調整もできるし、テレビ(の生中継)もあるだろうし、すごくラッキーですよ!」というのは、いかにも拳四朗らしい。

 4月のロペス戦に向けて、撮影とインタビューをさせてもらった2月下旬。試合前の準備としてやるべきことをやるという点では「いつもどおり。変わらずです」とニッコリ笑ったが、以前と違うのは「勝ち方を意識するようになってきたところ」と話していた。

「KOに対するこだわりが強くなった」

「前までは判定でも勝てばいいかと思っていたのが、倒したいと思うようになりました」
ヒルベルト・ペドロサ(パナマ)を4回TKOで一蹴した前戦は、初のテレビ生中継ということも大きかったが、倒したことで周囲の反響も違ったという。

 もちろんペドロサが「だいぶレベルが落ちた」ことはわかっている。初の世界戦だったロペスとの初戦、元王者ゲバラとの初防衛戦では、「それまでと違って、一気にレベルが上がった」と実感していた。特にロペスは、サウスポーのやりづらさ、距離感の難しさを拳四朗に植えつけた。

加藤トレーナーと、サウスポーに対する左足の位置を確認する

 前回の挑戦前のスパーリングでも、サウスポーのやりづらさは口にしていたものの、「まあ、何とかなるでしょう」と飄々としていた拳四朗の意識は今回、明らかに違っていた。サウスポーに対する前の足の位置取り、左ジャブの使い方を三迫ジムの加藤健太トレーナーとも話し合い、突き詰めていた。

体の中心線に重心を保つ。拳四朗のボクシングを光らせるポイントだ

 フィリピン合宿では、ロペスと対戦経験もあり、同級2位で将来の対戦候補にもなるジョナサン・タコニング、2015年6月に来日し、比嘉に4回KO負けを喫している現・東洋太平洋フライ級6位のクリス・アルファンテらと拳を交え、「みんな、本当に強くて、いい練習になったし、接近戦のうまさ、強弱の使い方のうまさは勉強にもなりました」と充実した時間を過ごした。

強豪タコニング(左)、アルファンテらと手合わせし、充実のフィリピン・キャンプを送った 写真/本人提供

 延びた1ヵ月という期間を有効に使い、「もっとスパーリングをこなして、サウスポー対策していきます」と意欲的な拳四朗。世界チャンピオンとして勝ち抜いた1年は自信になったという。この間にボディ攻撃の効果に目覚め、より攻撃的にもなってきた。やりづらいロペスをKOで返り討ちすれば、さらに大きな自信になるだろう。

延期による再調整もプラスに考えて、マイペース調整

 15日には、そのせいで前回のロペス戦で口の中を切り、以降も「スパーリングのたびにパックリ切って、もう(口の中が)ズタズタやと思いますよ」と嘆いていた懸案の“親知らず”もようやく抜いた。あと2ヵ月余り、心置きなく準備を進めていく。

 最新の情報はまたあらためて、試合直前の本誌でお伝えしたい。

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