リオ五輪メダリストの坂井聖人、世界記録保持者の渡辺一平、復活を期す元世界選手権女王・渡部香生子に著しい成長曲線を描き続ける新鋭・幌村尚。日本代表レベルにおいて、今、最も熱く、厚い選手層を誇るチームといえる早稲田大が、日本選手権に向けて順調に調整を進めている。

 2月16日~3月11日の日程で、米国・フラッグスタッフで高地合宿を実施。これまで、この時期の高地合宿は主にメキシコで行なってきたが、今の主力たちがチームとして当地で合宿を行なうのは実質初めてのこと。奥野景介監督は「予定していたトレーニングをしっかりこなし、体調を崩すことなく無事終了したことはもちろん、練習タイムも非常に良かったので、内容のみならず成果もしっかり得られた合宿となりました」という。

 また、オフの日にはグランドキャニオンに足を運び、時に外食に出かけたり、NCAA(全米大学体育協会)のコーチとのミーティングで米国の水泳事情を収集するなど、当地の文化に触れることで、一学生として貴重な経験を積んだという。

年末年始分を挽回した渡辺
「今持てる力をしっかり出す」

 帰国から1週間後、早稲田大の練習に足を運ぶと、その充実ぶりを感じさせる活気の中、各選手が練習に励んでいた。

 まずは、この冬場、十分な練習が積めず、その状態が心配されていた男子200m平泳ぎ世界記録保持者の渡辺一平(3年)だが、高地合宿では納得の練習を積んできたと、練習を盛り上げていた。

「高地では、普段なら順応期である1週目から1回4000mくらい泳ぎ込んできた。周りからは『焦りすぎでは?』と言われたりもしたが、僕は年末年始分を取り戻すべく、最初から意識を高く持って練習に取り組んだ。もともと、高地ではクロールで泳ぎ込むことができないタイプなので、平泳ぎ中心に、泳ぎを固めつつ持久力もしっかり養えた。今回が高地トレ5~6回目ですが、その中でも完成度の高い合宿になったと思います」

 ただ、日本選手権で高いレベルの記録を意識して臨むわけではないという。「そこまで水泳は甘くないと思っています。ただ、この1カ月半、やれることはすべてやったので、まずは今持てる力をしっかり出すことを心掛けたい」という。もっとも、地力は抜きん出ているだけに、夏の国際大会につながる泳ぎは見せてくれるだろう。

絶好調!
新社会人・坂井と新鋭・幌村

 男子バタフライの両名はすこぶる好調だ。現在4年生、4月には社会人最初のレースが日本選手権となるリオ五輪銀メダリストの坂井聖人は、200mバタフライを重視した練習を行なってきた。「山で最後に行なった100mのDiveがあまり良くなかったので、少し心配な部分を残して帰国したが、1週間たって時差ボケなどの体調面も落ち着き、どんどん良くなっている」と笑顔。この日、200mのブロークン練習(50mDive+100m+50m)を3本行なったが、ラスト1本はリオ五輪前に行なったときと変わらぬ合計タイムをたたき出すなど、ベテランらしくしっかりと調子を上げてきている。懸念していた体重管理もバッチリで、「体重もベストの状態を維持しており、その影響か、身体が沈まなくなって高いボディポジションを保って泳げている」と申し分ない状態だ。

 一方、1年生の幌村尚も順調にきている。高地トレーニングでは坂井とは別の100mを重視したグループで練習を行なってきたが、アプローチに違いがあるだけで、ターゲットが100、200mの両種目であることに変わりはない。「高地トレーニングはかなりキツかったがいい練習ができた」とこちらも充実の表情。帰国後、2週目(3月19日)からは200m仕様の体力保持を目的とした練習内容を入れ込んでおり「目標通り、100、200mともに代表権が獲れるよう、集中して取り組んでいきたい」と200mにも万全の備えで本番に臨む。

視界良好! 元世界女王・渡部

 さらに紅一点で高地トレーニングに参加した3年生の渡部香生子も楽しみだ。「キツい練習が続いて疲れている中でも妥協せず追い込むことができた。内容の濃い練習が積めたと思う」と充実の“山ごもり”を振り返った。日本選手権は平泳ぎ3種目にエントリーしており、自己ベストの更新が目標。「ここまで頑張ってきたのだから、日本選手権まで気を緩めず落ち着いて調整していきたい。風邪をひかないように、と、あとは花粉症対策ですね(笑)」。本番で、弾ける笑顔が見られることを楽しみに待ちたい。

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 取材日のメイン練習では、高地合宿時同様にショートグループで幌村、渡部、早稲田の男子背泳ぎを一身に背負う大芦知央(2年)、ミドルグループで渡辺、坂井、日本選手権では虎視眈々と上位を狙う男子個人メドレーの竹内智哉(1年)に分かれて挑んでいた。その周囲ではほかの部員たちが見守り、声を上げて盛り上げる。各選手の目標は違えど、それぞれが互いに刺激を与え合いながらレベルアップする――そんな奥野監督が掲げる目指すべき学生チームが体現されつつある。果たして2018年はどんなシーズンになるのだろうか。

(写真は後列左から大芦、渡辺、坂井、前列左から渡部、幌村、竹内)

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