萩野公介(ブリヂストン)について心配している人も多いだろう。

 年明けから体調不良に陥り、約1カ月にわたって休養を余儀なくされていたからである。

 その経緯については、『スイミング・マガジン4月号』に詳述したのでここでは省くが、2月17、18日のコナミオープンに出場したものの、日本選手権には果たして間に合うのか、その状態と動向が注目されていた。

 しかし、心配されていた皆さん、どうかご安心ください。

 このピンチを萩野は、驚異的な回復力と強固な意志でもって乗り越えつつある。コナミオープン翌日に日本を出発、1カ月間に渡って行なったスペイン・シエラネバダでの合宿では、半ば強行出場だったレースによるダメージはほとんど残らず、「ほぼほぼ順調に練習をこなせた」というのだ。標高2300mの高所であるにもかかわらず、である。

「山(シエラネバダ)では持久力を戻すためにフリーをベースにして、400m個人メドレーをメインにした練習をしてきました。平井(伯昌)先生がどう思っているかわからないですけど、僕自身としては、そんなに悪くはなかったと思います」

 練習を再開した2月上旬には1日1000mを泳ぐのがやっとだった人とは思えぬ、この回復ぶり。その要因は、高い身体能力と技術、経験、スタッフによるサポート、名将・平井コーチの緻密にして絶妙な練習プログラム……などいくつもの要素が響き合ってのもの。今季絶望となってもおかしくなかった状態から、日本選手権に間に合いそうなところまで仕上がってきている。

 日本を発つ前に白紙状態だった出場種目は、200、400m個人メドレー、200m、400m自由形を選択した。すべて日本記録を持っており、優勝候補の筆頭だが、やはり力を入れるのは個人メドレー2種目だ。「今年は個人メドレーでしっかり自己ベストを出していきたい」という目標もある。

 ならば、ぜひ日本選手権で!……と盛り上がりたくなるかもしれないが、いくら順調とはいえ、現時点でそのレベルまで期待するのは早計かもしれない。

 コナミオープンで1分58秒45をマークした200m個人メドレーについては、日本記録に近いタイムが期待できそうだが、400m個人メドレーの見通しはやや不透明。昨年、初めて日本選手権で瀬戸大也(ANA)に敗れて2位となり、シーズンを通して不調だっただけに、どんなレースができるか楽観視できない状況だ。本人も、大会開幕を2週間後に控えた時点で慎重だった。

「まだ調子を上げる段階に入っていないので、自分に過度な期待はしないでおきたいですし、出場種目についても状況に応じて選択をしていきたいと思っています。でも、山では良いレースができる準備をしてきたと思うので、その成果を発揮できればいいなと思っています」

 よもやの緊急事態で心配された日本のエース。その登場は直前の変更がない限り、大会初日の400m自由形予選からである。

文◎佐藤温夏

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