これまでになかったコンセプトを持った新商品が2月に発売された。シリーズ名は「剣スタ」。発売したのは松勘工業(株)である。少年剣道人口の減少が懸念される現状に希望の光を当てるかのような新商品だ。

着脱が簡単で
道場に常備できる物を

 幼年用・少年用の防具は各社で広く出回っている。しかし、松勘工業が着目したのは、さらに年少、つまり「幼児用」である。

「子どもが剣道を始めると、その下の3歳~5歳の妹弟がついてくるケースがありますが、その子たちはただボーっと剣道を見ているか、遊んでいます。そんな子どもたちをそのままにしているとほかの競技を始めてしまう可能性もあります」

 これを何とかできないかと考えた安藤慎吾社長が考えたのが「剣スタ」である。

 5歳以下というのは、まだ試合等をするような段階ではない。まずは、
「お兄ちゃんやお姉ちゃんがやっていることを自分もやってみたい! 同じものを着てみたい」
 と思うはず。その欲求に応えるべく、道着や袴を装着させてしまうのだ。剣道の入口に立つ経験があるかないかで、その後の展開は大きく違うはずだ。

 単にサイズを小さくしたものならば他にも出回っているのかもしれないが、「剣スタ」は社内で何度も試作を重ねてつくりあげた結果、かなり思い切った発想の転換が取り入れられている。

 まずは、剣道具にあって当然と思われていた紐(ひも)がない。道衣はTシャツ型で、胸の部分がはだけないようにマジックテープでとじる仕掛け。袴も、お腹の部分をマジックテープで装着するだけだ。

 袴はスカートタイプになっている。剣道で使われる袴は、一般的に「馬乗袴」と呼ばれるタイプでズボン状になっている。この股の部分(襠(まち))をなくしたのだ。

「着脱が保護者でも簡単にできることに着目しました。この袴であればズボンの上からでも履かせることができます。それと、小さい子どもはいつトイレに行きたいと言い出すか分からないので、そういった急な事態になっても対応できます」(安藤社長)

 洗いやすくて汚れにくいことを考え、道着と袴の表面にはポリエステルを使用。すでに別のシリーズで定着している、安全が確保された生地を子ども用の商品にも採用した。素材は日本製と台湾製のものを使い、生産拠点はベトナムに置いている。

 胴と垂れもかなり斬新だ。胴の打突部分はとくにきわ立つ。なぎなたで使う「脛(すね)当て」をヒントにこれをつくったという。歴史をさかのぼれば、胴は竹製が一般的であった。それにも通じているだろう。また、胴と垂れがファスナーでつながっていることも画期的だ。これも“縛る”手間を省くための工夫である。

「小さい子どもだと、垂れの部分が足に当たって痛いという声もありました。なので、垂れを取って胴だけが着けられるようにもなっています」

 最後は竹刀である。市販されているもっとも短い竹刀は約85㎝だが、これでは3歳や4歳の子どもにはとても振れない。そういう子どもに対して、これまでは武道具店の人などが割れた竹などを切ってつくっていた。これを同社では定番として販売することにしたのだ。長さは70㎝である。

「これまでありそうでなかったものばかりだと思います。いろいろな先生方にヒアリングをしたところ、『俺の孫に剣道をさせたかった。こういうのがほしかった』という声をいただきました。

 この年代の子たちが剣道に興味を持ってくれないと、将来的なすそ野が広がらない。少子化を考えるのであれば少しでも早い段階から剣道を始めてもらいたい。そのためには少しでも格好のつくものをなるべく低価格でお届けしたいと思いました」

 たとえば道場の備品としてこれを常時置いておけば、その年代の子どもにサッと着させて、サムライや剣士の気持ちを味わわせることができる。剣道の魅力はなんと言っても、普段と違う格好でいられること。それが手軽に実現できるのだ。体育館で稽古をするような団体でも、このサイズなら小さいバッグで持ち運べるので、重荷にならない。

画像: 着脱が簡単で 道場に常備できる物を

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