「五輪中間年」ならではの強化方針が生む「3人目枠」

 5月24日から開催される競泳のジャパンオープンは、8月に行なわれるふたつの国際大会(パンパシフィック選手権とアジア大会)の代表選考を兼ねている。ただ、第一次選考大会だった4月の日本選手権ですでに代表23名が決定しており、今大会での選考はあくまで「追加選考」の位置づけ。したがって、ここからの代表入りは狭き門となることは間違いないが、その中でも注目されているのが『3人目枠』をめぐる争いだ。オリンピックや世界選手権、そしてアジア大会などの代表枠は、1種目につき「1国2名」の出場制限があるが、パンパシフィック選手権は予選レースに限りエントリー人数は自由というルール。
 日本水泳連盟は、過去、多くの選手にチャンスを与えレベルアップを図る、という理由から、この大会ルールを有効に使い、レベルの高い種目に対し「3人目」の代表選手を選出してきた。このシステムを足がかりに、翌年の世界選手権、そしてオリンピックへと活躍の幅を広げた選手も多く、五輪中間年と呼ばれる本年ならではの競技会強化を図ることができるのも、パンパシフィック選手権の醍醐味と言えるだろう。

※日本選手権では200m個人メドレーで3位。ぜひとも代表入りを果たしたい藤森太将
写真:毛受亮介/スイミング・マガジン

4月に派遣基準クリアの藤森太将、溝畑樹蘭、竹内智哉に注目

 この「3人目枠」は、4月の日本選手権ですでに代表2枠が埋まっている種目、すなわちレベルの高い種目に対して「選出があるのではないか」と期待される種目である。

 その筆頭となるのが男子個人メドレー。この種目は200、400mともにエースの萩野公介(ブリヂストン)と瀬戸大也(ANA)が代表権を獲得しているが、特に200mは、日本選手権で4位までが日水連が定めた派遣基準タイムを突破するなど、ハイレベルな展開を見せた。3位だった藤森太将(木下グループ)はリオ五輪の同種目4位の実力者であり、4位に入った溝畑樹蘭(コナミスポーツ/明治大2年)は、高校時代からこの年代をリードし、この種目の牽引者候補でもある若手の有望株だ。

 藤森は日本選手権で100m平泳ぎにも出場したことが「本命種目の前に疲れてしまった」という教訓から、「ジャパンオープンは200m個人メドレーにしぼって臨む」(日本選手権時のコメント)と、狙いを定めて代表権奪取に強い意欲を見せている。一方の溝畑は、日本選手権で自己ベストを1秒30も更新した勢いをそのままジャパンオープンにつなげたいところだ。

画像: 日本選手権で大幅に自己ベストを更新し勢いにのる竹内智哉 写真:毛受亮介/スイミング・マガジン

日本選手権で大幅に自己ベストを更新し勢いにのる竹内智哉
写真:毛受亮介/スイミング・マガジン

 また、400mも「3人目」の可能性がなくもない種目。日本選手権で萩野、瀬戸に次いで3位に入った早稲田大2年の竹内智哉は、自己ベストを2秒61縮めての日本選手権初の表彰台に。記録も日水連が定めた派遣基準タイムはクリアしていたことから、さらなる記録アップが叶えば悲願の日本代表入りに望みをつなぐことができるだろう。同期ですでに日本代表入りを決めているバタフライの幌村尚に続くためにも、ぜひとも自己ベストを更新し3人目に滑り込みたいところだ。

果たして、「レベルの高いタイム」とは?

 ところで、「レベルの高い記録」の目安はというと、こればかりは蓋を開けてみなければわからない、というのが現状だ。4年前のパンパシフィック選手権の代表にも追加選考があったが、このときは「日本選手権とジャパンオープンの総合ランキング3位以内で、インターナショナルC標準以上を突破した者」が3人目で選ばれている。もちろん、4年前には昨年から導入された『標準記録』の設定がなかったなど一概に比べられない部分もあるが、「最低限、これはクリアしなければ」という目安にはなるだろう。

 すでに代表入りしている萩野、瀬戸を破るくらいのインパクトある快泳を楽しみに待ちたい。

文◎桜間晶子

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