4月の日本選手権50m背泳ぎ王者の古賀淳也が世界アンチドーピング機構(WADA)の検査により、WADAが禁止物質に指定しているLGD-4033及びSARMS-22が検出され、5月15日に国際水泳連盟(FINA)から暫定的資格停止処分を受けたことが判明。それに対してFINAのアンチドーピング規定に基づき、古賀が公聴会(ヒアリング)を行なう申し立てを行なったことを受け、5月23日、本人とその代理人の高松政裕氏、日本水泳連盟専務理事の坂元要氏が記者会見を行なった。

※記者会見に臨んだ古賀(左)
写真:スイミング・マガジン

 会見の冒頭、古賀は「今回検出された禁止物質を意図的に摂ったことはありません。日頃から応援してくださった皆様方に、ご心配とご迷惑をおかけして申し訳ございません」と神妙な面持ちで頭を下げたあと、代理人とともに事の経過を説明。概要は以下となる。

●3月2日/古賀は、国立スポーツ科学センター(JISS)にてWADAが実施するドーピング検査(尿検体及び血液検体)を受ける。

●4月23日/3月2日の検査結果ついて、カナダの分析機関で実施された分析結果がFINAから古賀のもとへ、検査で摂取されたA検体からLGD-4033及びSARMS-22が検出された旨の報告が届く。

●4月26日/古賀としては、検出された禁止物質が自ら意図的に摂取したものではなかったことから、検査結果に大変驚き、FINAに対して、規定に基づき、予備のB検体の検査を求める。

●5月15日/FINAより古賀宛てに通知があり、B検体の分析結果からもA検体同様の物質が検出された旨の報告がなされるとともに、FINAのアンチドーピング規定により、暫定的資格停止処分が科される旨の通知を受ける。

●5月21日/古賀は、FINAのアンチドーピング規定に基づき、公聴会(ヒアリング)を希望する旨、FINAのドーピングパネル委員長に対し、申し立てを行なう。

 5年ほど前から十分に確認した上で自分に合ったサプリメントを5種類ほど使用してきたという古賀は、今年に入り、食生活の改善をしたいと考えていたところ、知人を通して紹介された専門家から指導を受けていた。その中で、サプリメントの摂取プログラムを提供され、自らも確認した上で推薦されたサプリメントをインターネットで購入。この際にも米国アンチドーピング機構の公式サイトにある禁止物質を含むサプリメントのデータベースをはじめ複数の情報源を元に確認し、2月から3月第2週くらいまで摂取していたが、下痢の症状などが発症するなど体調が悪くなったため、服用をやめている。

 現在、申し立て中で、詳細については会見でも明らかになっていない部分もあるが、今回検出された禁止物質はいずれも自然界に存在するものではなく、古賀が陽性反応の出た検査前に薬の処方を受けたこともなかったことから、使用していたサプリメントに禁止物質がしらないうちに混入されてしまったことによるものとしか考えられない状況だという。

 古賀はこれまで46回のドーピング検査を受けており、今回の陽性結果が出た検査を除き、ほかの45回はすべて陰性で、今回の陽性結果が出たあとに2回、日本アンチドーピング機構(JADA)の検査を受けているが、いずれも陰性だった。

 FINAから通知を受けた4月23日から水中練習を行なえていないという古賀は、現在の心境を語った。

「通知を受けたときは、本当に信じられず、日を追うごとに夢なのか、現実なのかわからないくらいでした。僕自身がドーピングに対して厳しく対応してきただけに、自分の身体を通して、このような禁止物質が検出されたことに対して、恥ずかしい気持ちと情けない気持ちと、悔しさがあります」

 今回、検出されたSARM(選択的アンドロゲン受容体調整薬)は、WADAが定めている禁止表国際基準における「S1-2 その他の蛋白同化薬」にあげられている物質で、WADA規定では「特定物質」ではないことから、原則として4年間の資格停止期間となるが、意図的に禁止薬物を摂取したケースでない場合には、資格停止期間は2年間に短縮される。しかし、意図的な使用でないことの立証責任は競技者側が負うため、古賀側が公聴会に向けて、その作業を行なうことになる。

 今回の暫定的資格停止処分により、50m背泳ぎで4連覇のかかっていたアジア大会への出場資格も取り消しになることになった。

文◎牧野 豊

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