6月4日に森岡隆三監督の解任と、かつて甲府などでプレーした須藤大輔氏の新監督就任を発表した鳥取の塚野真樹社長が、5日に会見を開き、監督交代の経緯について説明した。リーグ戦7試合ぶりの勝利を挙げ、上位追撃への足がかりをつかんだかと思われた直後の解任発表。電撃的に見える監督交代の舞台裏に、いったい何があったのか。

※6月2日の第12節・秋田戦で2点目を挙げた小林智光を笑顔で出迎える森岡監督。リーグ戦7試合ぶりの勝利をつかんだが、翌日に解任を告げられた
写真:J.LEAGUE PHOTOS

スタートダッシュ後にホーム3連敗

今季の鳥取は就任2年目の森岡監督の下、J3リーグ開幕5試合を4勝1分けとして首位に立つなど、スタートダッシュに成功した。しかし第6節以降の6試合は、3連敗を含む2分け4敗と失速。5月19日の第11節では当時最下位の富山に2-3で敗れるなど、苦しい状況が続いていた。

その後、5月27日の天皇杯1回戦でJFLのヴェルスパ大分をPK戦の末に下すと、6月2日のJ3第12節ではホームで秋田を2-0で下し、リーグ戦7試合ぶりの勝利。ようやく浮上の兆しが見えてきたと思われていただけに、2日後の解任発表は驚きをもって伝えられた。塚野社長は発表時のコメントで「現状のままでは掲げた目標である勝ち点50・得点50・失点30を達成することが困難であると判断」したことが理由であるとしていたが、この日の会見では、解任に至るまでの詳しい経緯などを明かしている。

それによれば、監督交代を決断したのは前述した第11節・富山戦の後。敗戦後に、次期監督候補である須藤氏とコンタクトを取って準備が進められており、塚野社長は「後任の方のスケジュールと、リーグの登録変更の手続きを踏まえ、(交代の)最速のタイミングが秋田戦の後だった」と明かした。勝利した秋田戦の内容や結果を見て続投という判断はなかったのか、との問いに塚野社長は「なかった」と明言しており、秋田戦の結果にかかわらず、解任は決まっていたことになる。森岡監督には試合翌日の3日に解任を伝えたという。

解任を決断してから実行するまでに約2週間かかったことについては、Jリーグの監督を務めるのに必要な指導者S級ライセンス保持者が、森岡監督以外にクラブ内にいなかったことを理由に挙げた。「もしライセンス保持者がクラブ内にいれば、いわゆる暫定指揮の措置も取れたと思いますし、選手やスタッフに気持ちを切り替えてもらう時間も、もう少し取れたのではないか」と語った塚野社長は、「何より秋田戦の勝利後の交代となり、前監督の森岡さんをはじめ、選手、スタッフ、多くの皆様に不可解な印象を与えてしまったことは、紛れもない事実。S級ライセンス保持者をクラブ内に整え、(監督交代を)判断したときに即座に実行できる体制ができていなかったことは、今後の課題として反省しなければいけない」と続けた。

より具体的な解任理由についても語られた。解任が決まった第11節終了時点の鳥取の戦績は勝ち点15・得点15・失点17の10位で、23試合を残していることを考えると、勝ち点50・得点50・失点30はまだ達成可能。解任理由としては説得力を欠くのでないか、との問いには「勝ち点50と得点50については、到達はしていないが、まだ可能性はあるという考え」としながらも「失点が、やはり厳しい」と、守備の乱れが主要因であるとした。

鳥取は今季、第7節でYS横浜に1-4で敗れて初黒星を喫すると、第9節ではC大阪U-23に再び1-4、さらに第11節・富山戦は2-3で敗れ、いずれも大量失点でホームゲーム3連敗を喫した。「昨年はホームゲームで1勝しかできず、今年はとにかくホームゲームにこだわってやろうと、クラブ内で共通認識をもってやっていた」という塚野社長は、「最初はホーム2連勝だったが、その後は3連敗で、各試合で4失点、4失点、3失点。また、連続失点をしてしまう。吉野智行・強化育成部長にも『連続失点は大きな問題なので、改善を』と伝えたが、止まらなかったことが大きかった」と語った。

さらに、そのことが営業面に与える影響の大きさにも触れている。「プロサッカークラブとして、ホームゲームで勝てないのは当然、サポーターさんに喜んでもらえる場面が少ないということで、入場者など、経営的にもダメージが大きい。せっかく来ていただいたお客様が、試合の途中で席を立たれてしまうことが目についた」と語り、ホームゲームで大敗が続いたことも、解任の決断につながったと明らかにした。

後任の須藤氏は現役引退後、2011年から14年まで山梨学院大のコーチ兼Bチーム監督、2015年からはRoute須藤大輔サッカースクール代表として活動していた。Jクラブはもちろん、監督そのものも事実上初めてとなるが、今季目指すもの、最も重視するものは何か、と問われた塚野社長は「J2昇格です」と語り、新監督にもそれを求めるのか、との問いにも「当然、そうです。目指すところがJ2であることは変わらない」と続けた。

4日の練習から指揮を執っている須藤新監督は、わずか2日間の準備で初陣となる天皇杯2回戦・広島戦(6日)に臨む。さらに10日はリーグ第13節・長野戦が控える過密日程の中で、鳥取は電撃解任が吉と出るような結果を残していけるだろうか。

取材◎石倉利英

画像: 須藤新監督は4日から練習の指揮を執っている

須藤新監督は4日から練習の指揮を執っている

This article is a sponsored article by
''.