ベルギー

画像: ベルギー◎2大会連続13回目:1930、34、38、54、70、82、86、90、94、98、2002、14年 / FIFAランク◎3位 / 監督◎ロベルト・マルティネス

ベルギー◎2大会連続13回目:1930、34、38、54、70、82、86、90、94、98、2002、14年 / FIFAランク◎3位 / 監督◎ロベルト・マルティネス

ヨーロッパ屈指の“タレント軍団”ことベルギー。豪華な顔ぶれに見あう成績を収められるか(写真◎Getty Images)

懸念材料は指揮官の手腕

 レギュラー陣の顔ぶれは、プレミアリーグ外国人ベスト11さながら。優勝候補の一角に挙げられるのも頷ける。だが、ベルギーには国際大会で期待を裏切ってきた過去もある。
 欧州予選での数字は、まさに優勝候補のもの。マルティネス率いる集団は、楽々と首位で突破しただけではなく、10試合で43得点を挙げ、欧州最多タイの記録を樹立した。うち11得点を叩き出したロメル・ルカクは、代表の歴代得点王の座に躍り出た。巨漢のエースを、高い個人技と豊かな創造性を持つエデン・アザールとケビン・デブルイネが、ときには背後から、またあるときにはアウトサイドから援護する攻撃は、他の優勝候補国とて警戒しないわけにはいかない。
 しかし、そこはベルギーのベルギーたる所以。昨年11月のテストマッチでは、メキシコと撃ち合った試合後に、中盤の数的不利に苛立ったデブルイネがチーム戦術に異論を唱えた。机上の理論では、マルアン・フェライニ、アクセル・ビツェルらが顔をそろえる中盤は、逆に相手を牛耳っても不思議ではない。ウイングバックのトーマス・ムニエが加勢することも可能だろう。バンサン・コンパニー、トビー・アルデルワイレルド、ヤン・べルトンゲンが並ぶ最終ラインは、プレミア最強3バックも同然だ。3−4−2−1で並ぶチームの最後尾には、ティボー・クルトワという世界最高レベルのGKが控える。
 名物のワッフルに例えれば、素材は素晴らしいが、でき上がりが柔らかすぎたり固すぎたりする状態。代表レベルのノウハウと戦術面の柔軟性に欠ける指揮官は、残念ながら腕の良い料理人とは言い難い…。

文◎クライブ・バッティ 翻訳◎山中 忍

パナマ

画像: パナマ◎初出場/ FIFAランク◎55位 / 監督◎エルナン・ダリオ・ゴメス

パナマ◎初出場/ FIFAランク◎55位 / 監督◎エルナン・ダリオ・ゴメス

初出場を果たすパナマ。強敵がそろうグループで歴史的な“1勝”を手に入れたい(写真◎Getty Images)

躍進のカギ握る名将の手腕

 イギリスの老舗ブックメーカー『ウィリアムヒル』のオッズを見ると、パナマの「グループG最下位」は1.57倍。すなわち“本命”である。反対に「グループG首位」は21倍で、「グループG突破」は10倍。「優勝」にいたっては万馬券どころではない1001倍となっている。国内リーグのレベルをよく知る南米のメディアが「予選突破自体がW杯優勝並の偉業」と書いていたが、客観的な比較を元にしてもこんな数字が付くのだから、本大会では相当に苦しむことが予想される。予選突破直後には、H・ゴメス監督が「32カ国中31カ国がうちと対戦したがるはず」と語っていたことからも、下馬評の低さは否めない。
 だが一方で、楽しみな点もある。フランス人の故アンリ・ミシェルに次ぐ史上2人目の「3カ国でW杯予選を突破」した監督となったH・ゴメスの手腕だ。過去2度(98年大会でのコロンビアと02年大会でのエクアドル)、グループステージで敗退した苦い経験が、新たな知恵を授かったかもしれない。指揮官の経験は、パナマの希望であり、武器でもある。
 選手では、戦術的にも心理的にもチームの中心となるロマン・トーレスとガブリエル・ゴメスに注目だ。前者はディフェンスラインを統率し、後者はアニバル・ゴドイと組んでその前に壁を作る。攻撃に転じた際も起点となるゴメスの判断は重要。そして、ゴールチャンスをアルベルト・キンテロがスピードと機知をもって作り出す。
「パナマのサッカーは成長してきた。その成長をここで止めず、今後も学び続けてくことが我々の目標」
 謙虚な監督に率いられ、まずは一勝を狙う。

文◎横井伸幸

チュニジア

画像: チュニジア◎3大会ぶり5回目:1978、98、2002、06年 / FIFAランク◎21位 / 監督◎ナビル・マールル

チュニジア◎3大会ぶり5回目:1978、98、2002、06年 / FIFAランク◎21位 / 監督◎ナビル・マールル

3大会ぶりのワールドカップを戦うチュニジア。欧州勢を倒し、決勝トーナメント進出なるか(写真◎Getty Images)

国外生まれの新戦力がエースをサポート

 予選突破を決めたアフリカ5カ国の中で、最も未知の存在といえるだろう。突出したタレントは不在で、W杯に出場するのも06年のドイツ大会以来。だが、アフリカ予選を無敗で突破し、3月のテストマッチではW杯に出場するイラン、コスタリカを1-0で下している。4月に発表されたFIFAランキングはアフリカ勢トップの14位で、13位イングランドのすぐ下に位置していた(現在は21位)。
 昨年4月からマールル監督が率いるチームはいくつかの顔を持つ。4-2-3-1を基本としながら、アウェーゲームでは守備的な4-3-2-1、または5バックで手堅く戦うなど柔軟性が特長だ。組み合わせに恵まれたとはいえ、容易でないアフリカ予選を潜り抜けた力は本物だ。
 他のアフリカ諸国と比べて身体能力はそれほど高くなく、予選で見せた素早い攻守の切り替えや細かなパスワークなど、チームをコンパクトに保つ連係がW杯でもカギとなる。今年に入ってサイフ=エディン・ハウィ、エリス・スキリらフランス生まれの選手を初招集してチームに組み込むなど、新戦力発掘にも抜かりはない。ただ一方で、左ウイングとして攻撃の中核を担ってきたユセフ・ムサクニが、右ヒザの靭帯断裂でW杯に出られなくなったことは大きな痛手だ。
 ムサクニ不在の今、初の決勝トーナメント進出を願う国民の希望の大部分は、ワハビ・ハズリの肩にかかっている。フランスでキャリアの全盛期を過ごすエースをどのように活用し、攻撃を再編成するのか。マールル監督の腕の見せどころだ。

文◎パスカル・フェレ 翻訳◎木村かや子

イングランド

画像: イングランド◎6大会連続15回目:1950、54、58、62、66、70、82、86、90、98、2002、06、10、14年 / FIFAランク◎12位 / 監督◎ガレス・サウスゲート

イングランド◎6大会連続15回目:1950、54、58、62、66、70、82、86、90、98、2002、06、10、14年 / FIFAランク◎12位 / 監督◎ガレス・サウスゲート

20代前半の若手が中心のメンバー構成となっているイングランド。今大会ではまずグループステージを突破したい(写真◎Getty Images)

脱キック&ラッシュで進化を示せるか

 イングランドは変化している。監督は、グループ最下位に終わった前回大会のロイ・ホジソンより23歳若く、就任2年目でW杯初采配のサウスゲート。システムは、予選突破のノルマ達成を境に3バックへ。スタイルも、縦に速いカウンターではなく、後方からつなぐ攻めに主眼を置く。
 結果、無敗のグループ首位で通過した予選でゴールを守ったジョー・ハートが構想外に。ロシアでの正GKは、ハートが苦手とする足元が安定しているジョーダン・ピックフォードだろう。3バック中央も、まだ若いが起点となれるストーンズ。3-4-2-1と3-1-4-2の使い分けにより、ボランチか3バックの一員で起用されるエリック・ダイアーもパスの展開力が高い。
 実際には、アンカー1枚の2トップで戦う機会が増えても不思議ではない。強敵ベルギーが3戦目のグループGでは、より攻撃に人数を割く陣形で、チュニジアとパナマから2連勝を狙いたい。3月のテストマッチではラヒーム・スターリングとジェシー・リンガードが存在感を見せたが、本大会ではデレ・アリが創造性を一任されることになる。そのデレ・アリとクラブでも相性のいい24歳の主砲ハリー・ケインが攻撃のキーマンだ。
 若手中心のチームだが、幸い、多くは望まれていない。EURO16強でアイスランドに敗れた屈辱から、まだ2年。母国民が求めるロシアでの「結果」とは、22年W杯優勝を目標に着手された代表改革の「進ちょく確認」に他ならない。3大会ぶりの8強入りでも叶えば、変化が「進化」である証として歓迎されるはずだ。

文◎山中 忍

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