6月24日、オフィス北野所属のお笑い芸人・三又又三が電流爆破デスマッチのリングに上がった。

 電流爆破デスマッチとは、昨年引退した大仁田厚を元祖とするプロレスの試合形式で、リング上で電流の流れた凶器に触れると爆発が起こり、大ダメージを受ける。51歳のプロレスデビュー戦としてはあまりにも危険な舞台であることは明白だったが、それでもなぜ三又は無謀な決断を下したのか。

 三又がプロレスリングZERO1の記者会見に突然現れ、GMへの就任を一方的に申し出たのは昨年4月のこと。その後もZERO1の大会会場に乱入してはGM就任を直訴し続け、約半年を経た昨年10月、念願かなってGMに正式就任。以来、空席の目立っていたZERO1の会場を「満席にする」ことを目標に、タレント活動の傍ら、団体のプロモーションに尽力してきた。

 そんな三又の「命削って、命張って、ZERO1を盛り上げていきたい」という発言に猛反発したのが、ヒール軍団のブードゥ・マーダーズを率いるTARUだった。「わしら何十年もかけて、命削って、このリング守って来たんや。昨日や今日入って来た人間が『命張ってます』って、アホか!」というTARUは、「ほんまに命張ってもらおうやないか」と三又に電流爆破デスマッチを要求。これを当初は拒否していた三又だが、6・3札幌大会でブードゥ・マーダーズの襲撃により血だるまにされ救急搬送される屈辱を受け、とうとう爆破マッチへの出場を決意した。

 その決断を辛辣に批判したのが週刊プロレスで連載コラム「龍魂時評」を持つ天龍源一郎さん。爆破マッチ経験者でもある天龍さんは、本誌7月4日号(No.1963)の連載の中で「せっかく大仁田が大事にあっためて、育て上げてきた電流爆破というコンテンツをみんなで食い散らかして」いる現状を憂いながら、「三又が初挑戦するって言ったって、ちょっと前に女子プロのネーチャンもやってるし、全日本のオーナーだった人もやってるわけだ。もうね、TARUが何言おうが、三又ってヤツが何を語ろうが、ファンは見透かしちゃってるよ。どうせ爆破だけやって、シャンシャンで終わろうとしてるんだろうって」と厳しい言葉を投げかけた。

 電流爆破デスマッチ当日、試合前の三又を直撃。天龍さんの発言に対する返答や、無謀な決断の裏にある思いを聞いた。

画像: 爆破装置がセットされた有刺鉄線バット

爆破装置がセットされた有刺鉄線バット

天龍さんからの批判は「非常にありがたい。大賛成です」

――天龍さんのコラムはご覧になりましたか?
三又 申し訳ないですけど、全部ボクに向けての言葉なんで、まあポジティブなんで(笑)、非常にありがたいですね。やっぱり誰にも触れてもらえないのが一番寂しいですけど、よりによって天龍さんがね、そこまで、すべてボクのことを語ってくれたと言っても過言ではないんで。

――一応、昨今の電流爆破について語る中で、三又さんの今回の試合にも触れている形です。
三又 ボクがGMでもなく、ZERO1の人間でもなければ、ボクは天龍さんが語ったことに対して大賛成ですからね。ボク、電流爆破大嫌いですから。そういう部分では、大嫌いって大好きなのかなって、フフフフ(笑)、ぐらい、ボクは否定派でしたし。

――天龍さんが言っているように、大仁田さんが作り上げたコンテンツを皆で食いつぶしているという意味での否定派?
三又 食いつぶすというよりも、本来の電流爆破プロレスというものが嫌いでしたから。

――大仁田さんがやっているときから?
三又 はい。それがまさかこういう形になるとは、ですしね。天龍さんが言ってることもわかりますよ。

――ただ、三又さんとしては今回、やりたくてやる状況ではない。
三又 はい、そうなんです。でもやるって決まったからにはただじゃ転べないんで、っていうのはありますけど。

――天龍さんは「何を求めてやるのか?」「何を見せたいのか?」と。
三又 GMなんでね、ボクは。プロレスファンをZERO1にもっと振り向かせたい、世間も振り向かせたい。イコール、ZERO1が盛り上がる、ということだけですね。

画像: ZERO1のGMとして前説などでも会場を盛り上げる

ZERO1のGMとして前説などでも会場を盛り上げる

ビートたけしさんも“レスラー・三又”に興味津々?「血だらけになって、病原菌入らないかなあ」

――自分がこれをやることでちょっとでも力になれば、と。
三又 そうですね。札幌の流れ(6・3札幌でブードゥ・マーダーズの襲撃で流血)をビートたけしさんにも報告して、写真も見せてますんでね。今日のことも(たけしさんは)期待してますし、愛弟子が飛行機代5万円かけて来て、映像撮ってビートたけしさんに見せるんで。

――たけしさんに電流爆破をやることを報告したと? そのときの反応は?
三又 札幌のときの血だるまの写真を弟子が見せて「なんだアイツ、こんなことやってんのか? 救急車もったいねえぞ」と(笑)。今日に関しても「救急車もったいないし、どうせ血だらけになるんだったら、そっからアイツ病原菌入らないかなあ」とかって(笑)。まあ楽しみにしてる、じゃないと来ないですからね、側近が。側近が今日来るんで、カメラ持って。

――会場のロビーには武田鉄也さんからの花も届いていた。
三又 やっぱり(会場が)博多じゃないですか。博多の部分で武田鉄也さん無視するわけにはいかないなと思って。まあ、こういうことになったらお花くれたんでしょうね。

――ほかに芸能界からの反響は?
三又 もう決めたことだからっていうのはあるけど、やっぱり本気で止める人間もいましたよね。「もう芸人の範疇じゃないじゃん」って。札幌(での流血)からね。芸人の範疇じゃないし、何やってんだよっていう。やめなよっていうのを真剣に言ってくる人間たちもいたんで。逆に言うと、怖かったんでしょうね。初めてそのすごみがわかったんじゃないですか。プロレスってなんだよこれって。すげえことやってんなっていうのはあるんじゃないですか。そういう反応がわかったっていうのもありますよね、ボクの中では。

――三又さんというフィルターを通してプロレスの怖さがわかった、と。
三又 まあ、ボクの中ではGMなんで。週プロさんも気づいてるかわからないんですけど、プロレスファンが思ってる以上にボク、ZERO1で発言権ありますからね、今。思ってる以上にボク、GMとしてやってますんで。まあそういう部分でも会社もGOを出したカードなわけじゃないですか。ボクはやりたくなかったですけど。もう言ってられないんでね。そういう部分では、はい。

画像: 三又の対戦相手を務めたTARU(写真中央)

三又の対戦相手を務めたTARU(写真中央)

「血だらけになって救急車で運ばれても、しっかりと笑いのとれる漫談が一個できてますから」

――プロレスのリングで選手として試合をするのは?
三又 初めてです。

――芸歴としては今年で30年?
三又 31年かな。こないだ51になったから。まさか51になってすぐ血だるまになるとは思いませんでしたよ。

――プロレスのリングに上がるという決断に、31年培ってきた芸人魂は影響している?
三又 そうですね、ボクを必要としてくれていた舞台がたまたまZERO1のリングだということなんで。ボクにとってプロレスラーの方はプロレスラーという芸人ですから。ミュージシャンはミュージシャンという芸人。お客様に見てもらうイコール、そういうことですから。

――芸人としての人生の地続きにリングもある?
三又 はい。よくバカなヤツが「本業は?」とか言うんですよ。(これが)本業ですよ。必要とされてお金をいただく、それすべて本業です。なので、よくバカなヤツが「どこを目指してるんですか?」って一番低レベルなことを言うヤツがいるんですが、どこを目指すとかじゃなく、ZERO1のGMとしてZERO1盛り上げるということが芸人としてのボクの今の仕事ですし、たまたまそれが電流爆破をやれ、やってくださいということなだけですよね。

――電流爆破マッチが決まってから、恐怖で目覚めることもあるそうだが?
三又 しょっちゅうですよ。

――今までの芸人としての仕事の中で、これに近い恐怖はあった?
三又 ないですね。マックスですね、今までの人生の中で。でも、こういうことって絶対何か生まれるんですよ。それに、ボクは札幌で血だらけになって救急車で運ばれましたけど、しっかりと笑いのとれる漫談が一個できてますからね。でもそれは性分ですよね、ボクの。自分に起こったつらいこと、悲しいこと、すべていずれ浄化させて人前で話すときは笑いにするっていうのが、ボクの性分、お笑い芸人としての性質なんでね。そういう部分では感謝してますし、そうやって世界の北野、ビートたけしがね、「救急車がもったいない」っていうボクにとって最高のフレーズを(笑)。「救急車がもったいない。税金でまかなってんだぞ、あれは」と。「オマエが血だらけになったって救急車に乗っちゃいけないんだ」って。ちょっと待て!って話なんですけど。そういうこともありますしね。

――人生最大の恐怖と引き換えにしてこそ、得るものもあると。
三又 51なんでね。もうはっきり言って余生ですからね、これ、完全な。いやあ、まさかねえ、わからないですね、人生って。一番ボクが大嫌いだった電流爆破を自分がするっていうのは、やっぱり人生わかんないですねえ。“大嫌いは大好き論”って今言ってるんですけど、はははは(笑)。

――天龍さんは「どうせ爆破だけやってシャンシャンで終わるだろう」と。
三又 それはね、今どうのこうの言ってもあれなんで、終わってみないとあれなんですけど、天龍さんに一言、ボクがシャンシャンで終わると思いますか?ということですよね。

――プロレスはデビュー戦でも、リングと地続きのところでやってきた芸歴31年の意地がある?
三又 そういうことですね。天龍さんもわかってくれてると思いますよ。

画像: 電流爆破マッチで大ダメージを負い、支えられて引き揚げる三又

電流爆破マッチで大ダメージを負い、支えられて引き揚げる三又

迎えた電流爆破デスマッチは、たしかに「シャンシャン」では終わらず…。予想以上に凄惨なやられっぷりで三又が玉砕した超花火6・24博多大会の模様は、6月27日(水)発売の「週刊プロレス7月11日号(No.1964)」(定価530円)に掲載。また、週刊プロレスmobile(月額324円)では同大会の試合詳細、バックステージコメントを掲載中↓↓↓

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