球児たちの夢舞台を目指す戦いが始まっている。大事な戦いで最高のパフォーマンスを披露するため、コンディショニングには最善を尽くして臨みたい。そこで見逃してはいけないのが「爪」。投手にとって、そこに起こるアクシデントは登板回避にもつながる重大なもの。その重要性と連戦の中でのケアの仕方を学ぶ。

監修/三和田恵
[GROWN CARE株式会社代表]

爪とはどのような器官なのか?

 ヒトの成長過程の初期段階で、受精卵は3つの胚葉に分かれ(外胚葉、中胚葉、内胚葉)、それぞれがカラダを構成するパーツへ変容していく。このうち外胚葉は脳、神経、脊髄などの神経系、口、目、鼻、汗腺などの感覚器に分化。爪はこの中に含まれる。つまり爪は、カラダの感覚にかかわる重要で繊細な器官だと言える。

写真/ベースボール・クリニック

 そのため異常は脳にインプットされやすく、誤作動が起こると元の状態に戻りにくいとされる。爪に違和感を生じれば、脳がすぐに反応し、違和感を取り除こうと体に影響が表れる。プロの投手でも「爪割れ」や「マメ」を理由に投球を取りやめるケースが聞かれるのは、それによりフォームが崩れることを経験的に知っているためだと考えられる。

投手にとっての爪の重要性と
爪割れの理由

 投手はボールをリリースする際に、直球であれば中指と人さし指でボールを押さえ込む。その際、指の腹側にかかる大きな圧力を支えるのが爪の役割。そのため、爪が欠損していたり、亀裂が入っていたりすると、リリースの圧力を受け止めることができない。

 また、爪の下は多くの神経が行き交っている。「投手は指先の感覚が大事」と言われるが、その言葉どおりの非常に繊細な部分だ。

 爪が割れるのはリリースで指の腹側に大きな圧力がかかることが理由。割れ方の多くのケースが爪に対して横向きに亀裂が入る。それを招いているのが指先で硬化した「マメ」。

 リリースで指先にかかった圧力を爪が逆サイドから押し戻すとき、爪の脇の皮膚が軟らかい状態であれば力を吸収することができるのだが、ここにマメが出来、硬い状態になっていれば爪と硬化部分の衝突が生じる。それが爪割れを引き起こしている。

画像: 中指の爪の亀裂と指先で硬化したマメ

中指の爪の亀裂と指先で硬化したマメ

爪割れの処置法は?

 爪に亀裂が入った際、そこを覆う即時的なケアを行う際、オススメするのが、「まず女性がマニキュアを塗る際に使用するベースコートを塗り、その上に爪の形に切り取ったテーピング材を二重に貼るやり方です。その際、テーピングの布地の目の向きがクロスするように貼ってください」と三和田代表。投げる際に必要な強度と柔軟性を確保しつつ、終了後はエタノールを含ませた脱脂綿などで拭えば簡単に取り除ける手法だ。

 致し方ない場合を除き、ネイルサロン同様のジェルネイルや瞬間接着剤の使用は避けるのが無難。接着力が強いものを使用すると、はがす際に爪の表層部が付着して爪の強度が損なわれてしまう。

 爪割れの大半は先端の白くなっている部分に起こる。爪は根元から日に数㍉ずつ伸び、数日後に先端まで達するが、その過程で爪の強度を損なうような処置を行っていては、投げるたびに爪が割れるような悪循環を引き起こしかねず、根本的な解決に至らないためだ。

画像: 弱化した爪は修復が困難になるケースも。応急処置が必要ないよう、日常ケアに努める考え方が大事

弱化した爪は修復が困難になるケースも。応急処置が必要ないよう、日常ケアに努める考え方が大事

爪を切るのに爪切りはNG?

 爪は3つの層が重なって生えており、指の形に添って湾曲している。リリースの際はこのアーチによってかかる圧力が吸収される。そのため、爪が平らでアーチが足りない選手は割れやすい傾向にある。

 これを一般的な爪切りで切る際は、歯が並行に並んでいるため、爪のアーチを平らに矯正して歯を入れていることになる。そのため、断面から各層の間に空気が入り込んでしまう。層と層が乖離してしまえば、それだけ爪の強度が損なわれているということ。それを防ぐために「一切りで爪の大部分を切るような爪切りの使用は避けるべきです」と三和田代表。爪切りを用いる必要がある場合は、お風呂などに浸して十分に爪を軟らかい状態にしてから、一枚の爪でも細かい切り口で切るようにするとよい。

足の爪への注意点は?

 投手にとって特に重要なのは重心を支える足の親指の爪。欠損するとバランスが取れなくなり、コントロールが利かなくなる。

 足の爪のリスクで考えられるのが、水虫によるもので、野球選手は特に多い傾向がある。水虫の初期は足の皮膚部に痒みを覚えるが、それを放置していると爪に症状が表れるものだ。ただ、爪の場合は痒みがないためさらに放置しがち。そのうち軽石のようにポロポロと欠けていくようになる。そのまま放っておくことで爪が欠損した状態になってしまう。

 何日も続けて同じシューズやスパイクを履いたり、チームで共通のシャワールームを用いる場合、そのリスクは高くなる。清潔を保つことを心がけるべきだ。

爪を健康状態に保つには?

 指先はカラダの末端部であり、酸素と栄養分を運ぶ血液が通る毛細血管の集積地。そこにある爪の状態には、カラダと心の結果が反映される。「例えば『二枚爪』で爪の上層がペラペラ剥がれるのはビタミンA不足。ビタミンAはカラダの修復を行う栄養素なので、体に悪い状態の個所があるとそこに作用します。そのため爪を健康に保つために必要な分のビタミンAが回ってこないことが爪をもろくさせるのです」と三和田代表。
 緊張状態が多量の発汗を招くのと同様に、心の不安定な状態が爪に表れるケースも。カラダの健康を保つには自律神経と内分泌と免疫力によるトライアングルのバランスが必要とされるが、強いプレッシャーにさらされることがある投手は、その点にも注意が必要だ。「爪の状態からもう一度、体調面に配慮する逆のアプローチも必要かもしれません」

画像: 投手の爪は人工物で補強するよりも、柔軟で健康であることがふさわしい。写真は爪の保護、育成に必要な成分を配合し、投球から受けるダメージに負けない健康な爪を育てる爪専用化粧品「スポーツネイルアシストオイルSNAO」( http://www.growncare.jp )。

投手の爪は人工物で補強するよりも、柔軟で健康であることがふさわしい。写真は爪の保護、育成に必要な成分を配合し、投球から受けるダメージに負けない健康な爪を育てる爪専用化粧品「スポーツネイルアシストオイルSNAO」(http://www.growncare.jp)。

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