逆風にさらされながらも、ベスト16進出に導いた西野監督。選手の見極めと起用法が、ベルギー戦の終盤までは見事に当たっていた。

文◎国吉好弘 写真◎Getty Images、雑誌協会代表撮影

先発起用、交代策とも結果につながる

大会の約2カ月前に就任し、時間のない中でのチームづくりを強いられた西野朗監督。その采配を追ってみると、最も大事なコロンビアとの初戦に向けて重要だと考えられたのは、スターティングメンバーに誰を選ぶか、どんな布陣で臨むか、ということだった。

蓋を開けると、GKは川島、ディフェンスラインは右から酒井宏、吉田、昌子、長友、中盤は長谷部と柴崎をボランチに、2列目は右に原口、左に乾、トップ下に香川、1トップは大迫という布陣だった。西野監督就任後のテストマッチによる本番に向けた調整の中で、スイス戦のメンバーに、パラグアイ戦の先発からCB昌子、ボランチの柴崎、左MFの乾、トップ下の香川が加わっている。さらに右サイドバックには、スイス戦当時は調整中だった酒井宏が入った。布陣は2試合でも使った4-2-3-1のまま。つまりスイス戦のチームをベースに、パラグアイ戦で良かった4人を入れ替えた布陣だった。

この起用は当たり、昌子は吉田との良好なコンビネーションも交えてディフェンスラインを支え、柴崎は落ち着いたボールさばきとキープから的確なパスを繰り出した。香川も開始直後のPKを自ら決めて先制点をもたらした以外にも、相手ディフェンスをかく乱する動きで貢献した。乾、香川のコンディションを見極め、昌子を抜てきして初戦の勝利につなげた采配は見事だった。

セネガル戦もスタメンは同じで、結果は2-2の引き分けだったが、二度のビハインドを追い付き、さらに勝ち越してもおかしくないチャンスを作り出した。この2試合の選手交代も、後半途中に香川に代えて本田を投入する策が、コロンビア戦では本田のアシストからの大迫の勝ち越し点、セネガル戦では本田自身の同点ゴールにつながって的中した。

ポーランド戦は特殊な試合で、負ければ敗退もあり得た状況で、西野監督はスタメンを6人入れ替える思い切った策をとった。さらに0-1とリードされて迎えた終盤には、セネガルもコロンビアにリードされているというもう一方の試合の途中経過を踏まえ、そのまま負ける道を選んだ。

ここは賛否が分かれるところだが、ベスト16進出という結果を引き出した大胆さを買いたい。監督というものは、周りがどう言おうが自分の決断を信じることが重要で、その意味でギャンブルに勝ったのも監督の裁量のうちだ。しかも、これで疲労の溜まっている主力選手を休ませることができた。

ベルギー戦は初戦と第2戦のメンバーに戻し、それまで良いパフォーマンスを見せていたとは言い難かった原口も引き続き起用して、先制ゴールにつなげた。さらに乾のゴールで2-0とし、優勝候補の一角を崩すかと思われた。ここまでは采配も冴えていたと言える。

しかし、ここからベルギーがフェライニ、シャドリの2人を同時に投入し、よりダイレクトにゴールを目指すプレーで日本ゴールに迫ってきたのに対し、日本は後手に回ったと言わざるを得ない。西野監督が自ら「2-0とリードした試合を勝ち切れなかったのはベンチ、自分の責任」と話したように、逃げ切るための策がなかった。

日本が2点目を挙げた時間が52分と早く、ベルギーにも反撃の時間が十分に残されていたが、少なくとも相手にやや幸運なゴールが生まれた69分の後には、何か手を打つべきだった。2-2に追い付かれた後の81分に、香川に代えて本田を投入するいつもの交代を行ない、同時に柴崎に代えて山口を送り込んだ。柴崎の疲労を考慮してのことだが、これによって中盤で時間を作れなくなり、さらにベルギーのペースに引き込まれた。

負けた試合をあとから論じれば要因を探すのは簡単だが、世界のトップクラスを目指すチームの監督は、試合が流れる中でそれを感じなければならない。ただ、最後は残念な終わり方だったとはいえ、それまでの素晴らしい仕事ぶりは高く評価されてしかるべきだろう。

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