※千秋楽のパーティーで改めて初優勝のお祝い、御嶽海
写真:月刊相撲

 3横綱と新大関栃ノ心が休場した名古屋場所は、関脇御嶽海の初優勝で幕を閉じました。御嶽海は初日から連勝を続け、12日目に髙安に敗れて初黒星を喫しますが、連敗はせずに14日目に初優勝を決めました。出羽海部屋からは昭和55年初場所の三重ノ海以来、38年半ぶりの優勝。長野県出身、東洋大出身としては初めての優勝となりました。

 30歳代の上位陣が休場したことで、名古屋場所は数年後に彼らが引退したとき、誰が引っ張っていくのかを占う場所でもあったと思います。それが御嶽海なのかなという印象です。

 御嶽海は東洋大4年のときに学生横綱、アマ横綱のタイトルを取り、幕下10枚目格付出しで平成27年春場所、初土俵を踏みました。同年名古屋場所では新十両に昇進し、いきなり十両優勝。同年九州場所では新入幕を果たし、とんとん拍子に出世していきました。この名古屋場所で三役は9場所連続在位と、横綱、大関に次ぐ実力者ではありました。

 ただ、稽古嫌いで有名で、巡業中は朝稽古では姿を消しているのに、子供の稽古になると登場するのが常でした。それが今年の初めぐらいから、「人並みに稽古するようになったよ」と部屋付きの中立親方(元小結小城錦)が話していたように、意識が変わってきたことが今回の優勝につながったのでしょう。

 大関取りとなる秋場所に向けて、夏巡業ではさらに稽古を積む必要があるのですが、出羽海一門の春日野親方(元関脇栃乃和歌)が巡業部長でもあり、「(稽古場から)逃がさないからな」と厳しく指導するはずです。秋場所で11勝以上なら新大関誕生となるでしょう。

 名古屋場所の三賞は優勝した御嶽海が殊勲と技能の2賞を獲得。千秋楽、御嶽海と今年一番とも言える大熱戦を繰り広げて12勝目を挙げた豊山が敢闘賞。終盤まで優勝を争い11勝を挙げた朝乃山も敢闘賞を獲得しました。

 名古屋場所の活躍力士を見ていると、ついに学生相撲出身力士の時代が来るのかなという気がします。豊山は東農大出身、朝乃山は近畿大出身で御嶽海の1学年下。三賞はもらえませんでしたが、11勝した北勝富士は日体大出身で、御嶽海と同学年です。

 かつて学生出身は大成しないと言われていました。横綱に昇進したのは輪島だけです。しかし、時代とともに大相撲界に体が大きく運動能力が高い相撲未経験の若者が入りにくくなっています。現在の関取衆も外国出身力士以外はほとんど相撲経験者です。

 以前は素質ある若者を15歳からプロの稽古で鍛えていたので、アマチュア力士は太刀打ちできませんでしたが、今はそれほど実績がない学生出身もわりと簡単に十両まで上がります。プロのレベルが下がっていることは否めないでしょう。

 今後は子供のころから相撲を習ってきた高校相撲、学生相撲出身の力士が中心になっていくんだなと強く感じた名古屋場所でした。

文=山口亜土

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