兼任監督として新たな一歩を踏み出す森保監督(写真◎福地和男)

8月3日、JFAハウスにて第18回アジア競技大会のメンバー発表会見が行なわれた。かねてより今大会には東京五輪世代のUー21日本代表を派遣すると発表されていたが、森保一監督がA代表の監督を兼任することが決まり、兼任監督としての『初陣』となるため、注目を集めていた。

東京五輪に向けたトライ

今大会の意義について会見に出席した森保監督はまず、「(アジア)大会は暑い中で戦う、日程的にもかなりハードの中で戦うという部分では東京2020オリンピックの本大会に向けて良いシミュレーションになると思います。選手にとっても良い経験になると思っています。目標としては1試合でも多くやるということ、内容にこだわってやるということを、これまでどおり選手に要求していきたいと思っています」とコメント。2年後に迫った東京五輪を見据えた「トライ」になると語った。

Jリーグのシーズン中であり、また、堂安や冨安ら海外組を呼べるわけではないため、選手選考については難しさを伴う大会だが、それでも選手選考について指揮官は現状のベストであると指摘する。
  
「アジア大会だけではないですけど、東京オリンピック世代の活動のときには毎回、いろんな条件があって、その中で選手を選んできました。今回もその条件の中でベストな、今後につながるメンバー選考をしました。視察を多く重ねていますし、その中で良いパフォーマンスをしている選手を中心に選考しています。これまでの選考もそのときのベストということに間違いはないですけど、将来というか、本大会を踏まえてラージグループとしてとらえて各大会ごとにメンバーを大幅に変えながら、選手に経験を積んでもらい、全体的な底上げをしてきました。そうしながら最終的に、東京オリンピックで一番強いチームを作れるように。そういうふうに思って活動しています。今回もその一環として、次につながるベストな選択だと思っています」

さらに大会における目標については、「1試合でも多くというのは、もちろん頂点に立つということですが、常々、アジアの大会でベスト4以上には入りたいと考えています。なぜかと言いますと、東京オリンピックには(自国開催のため)予選なく参加できますけど、世界の大会に参加していくとなれば、育成年代も、フル代表も、(アジアの)ベスト4以上が世界につながっていくととらえているからです。私自身は、いつもそう考えています。アジアを突破していくことは非常に難しいことだとは思いますけど、どのカテゴリーであっても世界大会では常に日本代表チームが参加するということを考えていきたい。フル代表は、(W杯)2大会後には参加国数が変わっていくかもしれませんが、現段階ではそう考えています」との考え方を表明した。

今後のチーム作りについて

さて、気になるのは、森保監督がA代表と五輪代表の監督を兼任することで、今後のチーム作りがどうなっていくかだ。はたしてどんな変化が現れてくるのだろうか。

気になるコンセプト、チーム作りの方法について、森保監督は今回の会見で触れている。

「これまで我々がやってきたこと、これからやっていくことという部分では、積み上げていくところはしっかり積み上げていきたい。ただ、私はロシアW杯にスタッフとして帯同することで、西野朗監督からいろんなことを学びました。戦術的なところも、今までやっていた形プラス、システムだけではないですけど、システム上も、いろんな変化をもって戦えるようにトライはしてきたい。今大会でそうするかというのは、分かりませんが、チーム作りをしていく上でトライしてきたいという思いで今います」

ここまで東京五輪代表のチーム作りについては、「コンセプトの部分で、より意思統一が図れるようになってきた」と話す一方で、「主導権を握っていても、自分たちのミスから流れを悪くしたり、試合を落としたりということはまだまだ起こっている。個人として、チームとしてのクオリティーはもっともっと上げていかなければならない」と話し、課題にも言及した。とくに失点後に短時間で複数失点してしまったり、踏ん張りがきかないというメンタル面に大きな問題があるという。

その意味で「経験ある選手をチームに加えること」は重要だと森保監督は指摘。オーバーエイジ(OA)の活用に関する質問に答える形で、その効果についても触れた。

「OAを呼べるなら、次の大会でも呼びたいです(笑)。指導者の働きかけで若い選手が成長するというのはもちろんあると思いますが、経験のある選手から言葉で伝えてもらう、一緒にプレーをして感じさせてもらう、背中を見せてもらうということがあると、本当に若い選手、経験の浅い選手は刺激を受けて成長につなげてくれると思うので、できれば(OAの選手に)来てもらいたいという思いはあります」

本田圭佑を筆頭に、ロシアW杯に出場した複数の選手が東京五輪への意思を表明しているが、そのことについても森保監督は率直な感想を述べた。

「ロシアW杯に出た選手たちが、OAでのプレーを表明してくれているということ、チーム作りに貢献したいと言ってくれているのは、本当にありがたいと思いますし、心強いと思います。本当にうれしいです。最終的に誰を選ぶかということは現段階では決まっていないですけど、東京オリンピック世代の選手には、OAも含めて競争だということは伝えています。そういう意味ではOA枠の部分も、どこ(=ポジション)が必要なのか、その上で誰が必要なのかということは考えていきたいと思います。
うれしいのは、代表チームを、日本人として支えていきたい、よりレベルアップさせていきたい、貢献していきたいと思ってくれる気持ちで、ありがたいと思いますし、大切にしてきたいと思います。自分がやっていきたいことは、まだまだ経験の浅い選手が多い東京五輪代表チームですけど、そういう経験のある選手たちに、いろんな関わりを持ってもらって、より良い選手になるために、接点をもてる、そういう環境が作れたらいいなとは思っています」

A代表と五輪代表の融合について

A代表の監督就任会見でも述べた「世代間の融合」に関しては、五輪代表チームでOA枠を活用するほか、A代表チームに積極的に若い選手を引き上げていく方法もある。今後に向けて、指揮官は、どんなビジョンを持っているのか。

「完全に固まっているプランがあるわけではないですけど、就任の会見でお話ししましたが、世代間の融合はやっていきたいなと思っています。まだ経験の浅い選手を、A代表に引き上げていく、チャンスを与えるべき選手にはA代表の舞台を経験させていくということはやっていきたい。それをどこまでやるかとかどういう比率でやっていくというのは、いまはまだ自分の中では決まっていないですが、日本代表の結果を求めつつ、融合させつつ、全体を引き上げていきたいと思っています。
(両チームの)コンセプトは同じで共有しながらやっていきたいなと思います。ただ招集した選手とか、そのときにトライすることの状況が違ってくることもあると思うので、システムが同じがどうかとか、見える形上のことは異なるかもしれないが、やっている内容、心構えとしては同じコンセプトの下、やっていきたいと思っています」

兼任監督下で最初の一歩を踏み出す、東京五輪世代のU-21日本代表。アジア競技大会はいつも以上に視線が集まることだろう。初戦は8月14日、ネパール戦となる。

取材◎佐藤 景

■アジア競技大会メンバー(男子)
▼GK
1 小島 亨介(早稲田大)
12 オビ・パウエルオビンナ(流通経済大)
▼DF
4 板倉 滉(仙台)
20 立田 悠悟(清水)
7 原 輝綺(新潟)
5 杉岡 大暉(湘南)
3 岡崎 慎(FC東京)
▼MF
10 三好 康児(札幌)
2 長沼 洋一(岐阜)
17 神谷 優太(愛媛)
8 三苫 薫(筑波大)
6 初瀬 亮(G大阪)
11 遠藤 渓太(横浜FM)
19 舩木 翔(C大阪)
13 岩崎 悠人(京都)
14 松本 泰志(広島)
16 渡辺 皓太(東京V)
▼FW
18 前田 大然(松本)
9 旗手 怜央(順天堂大)
15 上田 綺世(法政大)

■アジア競技大会・男子日程(ジャカルタ・パレンバン)
8月14日  第1戦 vsネパール
  16日  第2戦 vsパキスタン
  19日  第3戦 vsベトナム
 23&24日 ラウンド16
  27日  準々決勝
  29日  準決勝
9月1日  決勝&3位決定戦

■アジア競技大会女子メンバー
※現在チームが遠征中のため、高倉監督は会見せず

▼GK
1 池田 咲紀子(浦和)
18 山下 杏也加(日テレ)
▼DF
3 鮫島 彩(INAC神戸)
6 有吉 佐織(日テレ)
4 三宅 史織(INAC神戸)
2 清水 梨紗(日テレ)
17 國武 愛美(ノジマステラ)
5 市瀬 菜々(仙台)
▼MF
7 中島 依美(INAC神戸)
15 阪口 萌乃(新潟)
12 増矢 理花(INAC神戸)
16 隅田 凛(日テレ)
10 籾木 結花(日テレ)
14 長谷川 唯(日テレ)
▼FW
9 菅澤 優衣香(浦和)
8 岩渕 真奈(INAC神戸)
13 横山 久美(長野)
11 田中 美南(日テレ)

■アジア競技大会・女子日程(ジャカルタ・パレンバン)
8月16日  第1戦 vsタイ
  21日  第2戦 vsベトナム
 24&25日 準々決勝
  28日  準決勝
  31日  決勝&3位決定戦

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