アメリカンフットボールを取材していると、時として、難しい判断を迫られることがある。その一つが試合日程の重なりだ。

今季の8月25日の開幕戦で、Xリーグのパナソニック対エレコム神戸の試合が取材できなかったのがその一例だ。関西学生リーグDiv.1と日程が重なった。関西大学対龍谷大学、関西学院大学対近畿大学の2試合があり、特に前年度甲子園ボウル出場校の関学大の試合を取材しないという判断はできなかった。

主に関西エリアの取材・撮影を担当していただいている佐藤誠さんが、ギリギリまで試合の途中移動を考えていたそうだが、断念された。

画像: Xリーグ第1節【ノジマ相模原 vs LIXIL】試合最終盤、リードをしっかりと守って勝利を確実にしたノジマ相模原オフェンス陣に、須永恭通ヘッドコーチが笑顔を見せる=2018年8月26日  撮影 Yosei Kozano

Xリーグ第1節【ノジマ相模原 vs LIXIL】試合最終盤、リードをしっかりと守って勝利を確実にしたノジマ相模原オフェンス陣に、須永恭通ヘッドコーチが笑顔を見せる=2018年8月26日 撮影 Yosei Kozano

9月2日、私も同じ判断を迫られた。Xリーグの第2節、富士通スタジアム川崎では、LIXILディアーズ対東京ガスクリエイターズ、富士通フロンティアーズ対アサヒビールシルバースター、オール三菱ライオンズ対電通キャタピラーズの3試合が組まれ、相模原ギオンスタジアムでは、ノジマ相模原ライズ対オービックシーガルズ戦があった。

今季の日程が公開された当初から最も悩んだチョイスで、結局川崎を選んだ。板井征人ヘッドコーチ2年目、戦力向上が著しい東京ガスとLIXILの対戦は9月最も重要な試合の一つだと思っていたし、QBとRBを入れ替えた富士通の新オフェンスがどうなるか、第1戦のIBM戦は猛暑でパフォーマンスが参考にならないところもあった。オール三菱は来季から始まるトップリーグを見据えた強化をしている。

この3試合を取材しないわけにはいかないという判断だった。ちなみに同じ神奈川県ながら富士通スタジアム川崎から相模原ギオンスタジアムは、移動に2時間弱かかるため、これも現実的には考えられなかった。

ある関係者からは、この判断について「相模原では、シーガルズが勝つと思っているのでしょ」と言われたが、まったくそんなことはなかった。戦力的に見ればシーガルズが上回るかもしれないが、フットボールはタレントを集めれば勝てるわけではないことは、米のNFLを見ていてもよくわかること。今春からライズのゲームをすべて見てきたが、チームが非常によい感じでまとまっているのを感じていた。

さらにLIXIL戦の勝ち方がとても良かった。この数年のライズは劇的な勝ち負けを繰り返してきたが、それは不安定なフットボールの裏返しでもある。第1節で「日本のキャプテンカムバック」ディアーズQB加藤翔平の反撃を的確なディフェンスで潰し、きっちりとリードを守って勝ち切ったフットボールは、端倪すべからざるものがあった。

シーガルズは、春からとても良い感じでチームを作ってきた。今のXリーグで最も強いと考える。ただ、開幕戦で、猛暑に加え、相手のBULLSには失礼ながら、レベルが違いすぎて、フットボールにならない試合を戦ったことが気になっていた。

ホームゲームでのアドバンテージを加えれば、ライズ対シーガルズは勝負に関してはまったくの互角と見ていた。

したがって、ライズがシーガルズを破ったのは、私的にはまったく想定の範囲内だった。しかし、そんな簡単に割り切れるものではない。18-17で、最後は劇的なFGによる逆転劇。そして、その試合内容を見聞すると「やはり相模原へ行くべきだったか」という感情が沸き上がるのを抑えられない。この試合をレポートできなかったのは痛恨だった。

画像: //Xリーグ第1節【オービック vs BULLS】試合後のハドルで、厳しい表情を崩さなかったオービックの古庄直樹ヘッドコーチ=2018年8月26日 撮影 Yosei Kozano

//Xリーグ第1節【オービック vs BULLS】試合後のハドルで、厳しい表情を崩さなかったオービックの古庄直樹ヘッドコーチ=2018年8月26日 撮影 Yosei Kozano

劇的な試合結果という意味では、同じ2日にアミノバイタルフィールドで行われた関東学生TOP8、法政大学対明治大学の一戦も、同じだった。川崎のフロンティアーズ対シルバースター戦を撮っていた、畏敬する尾川清さんは「これからアミノへ行きます」と移動した。我々の取材チームに今季から加わった北川直樹さんがこの試合を取材してくれているので、この移動は考えなかった。

一人きりで取材・撮影していた時代なら、相模原⇒アミノという転戦もあり得たかなと考えたが、すべては結果論、タラレバに過ぎない。シーガルズも法政大学も、前日の9月1日にやはりサヨナラFGで慶応大に敗れた中央大学も、試合中のタラレバがこれでもかというほどあるに違いない。

自分の中で、相模原の試合取材をチョイスしなかった最も大きな理由は、シーガルズにしろライズにしろ、この試合にどちらが勝とうと、敗れた方はそれで終わりではなく、必ず巻き返してシーズン末には這い上がってくると考えたからだ。ポストシーズンのトーナメントがあるXリーグでは再戦もあり得る。関東学生TOP8も、再戦こそないが、これでシーズンが終わったわけではない。

オービック、法政大学、中央大学の捲土重来を期待してやまない。

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 「~サイドラインから~」では、取材・撮影で感じ、考えた雑感を、折りに触れて書いていきます。

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