2017-18シーズンまで、オーストリア国内リーグで3年連続2ケタ得点をスコアしたFCレッドブル・ザルツブルクのFW南野拓実。
ザルツブルクで5年目となる今シーズンもマルコ・ローズ監督の信頼を得て、トップ下として開幕から6試合連続で先発出場を飾っている。
9月2日に行なわれた第6節では今季初ゴールを挙げた。
また、森保一・監督が就任した新生・日本代表には約3年ぶりに選ばれている(※日本代表は9月7日に札幌でチリ戦を、9月11日には大阪でコスタリカ戦を控えていたが、9月6日に北海道胆振地方中東部で発生した地震の影響により、チリ戦の中止が決定した)。
ここでは、「ゴール」という結果と共にストライカーらしさを増した南野が、良いフィニッシュを実現するために取り組んできたことや工夫を語ってくれたインタビュー内容を紹介する。
(出典:『サッカークリニック』2018年9月号)

※メイン写真=ヨーロッパでの取り組みの結果、「ゴール」という結果を出せるようになった南野拓実
写真:高原由佳

画像: FCレッドブル・ザルツブルクは2017-18シーズンのオーストリア国内リーグを制し、5連覇を達成。南野も「5連覇」を記念したTシャツを着用し、優勝皿を掲げた/gettyimages

FCレッドブル・ザルツブルクは2017-18シーズンのオーストリア国内リーグを制し、5連覇を達成。南野も「5連覇」を記念したTシャツを着用し、優勝皿を掲げた/gettyimages

「ゴールを奪える」
ボックス内への入り方とは?

――2017―18シーズンが終わり、FCレッドブル・ザルツブルク(オーストリア)で3年半プレーしたことになりました。フィニッシュ面で得たものはありますか?

南野 ザルツブルクではフォワードやトップ下でプレーする機会が多く、ボックス内で勝負する回数が増えました。この3年半はゴールを奪うための動き出しを意識して取り組んできた期間でもあり、それが3年連続2ケタ得点につながったと思います。

――ヨーロッパで得たものの1つとして「ボックス内に入らないとゴールを奪えない」という感覚がありますか?

南野 その感覚は確かに感じました。ただし現在の課題は「『ゴールが遠い』と感じたときのゴールへのもっていき方」です。相手はボックス内に入らせないように守備をしてきますが、その守備を破らなければいけません。僕はボックス内に入ったら相手に怖さを与える自信があります。タイミング良くボックス内へ入ることのほか、ボックス内に入るためにシュート・レンジを広げることにも取り組んできました。

――日本はボックス内での守備が弱いイメージがあります。その点において、オーストリア国内やヨーロッパリーグで対戦した相手の守備の印象はいかがでしょうか?

南野 当たり前のように体を張ってきますし、ヘディングでの競り合いは日本以上に激しいです。僕がシュート・モーションに入ったら2、3人が体を投げ出してくることもありました。特にヨーロッパリーグの上位チームの選手は激しさに加えて足を出すタイミングが抜群にいいのです。「抜けた」と思っても相手に足を引っ掛けられますし、もたもたしているとすぐに対応されてしまいます。

――すると、シュートの打ち方にも工夫が必要になりそうです。

南野 先ほどのボックス内への入り方で言えば、ワンタッチでシュートを打てるタイミングでボックス内に飛び込むことが1つの方法となっていました。味方がチャンスをつくり、最後に僕がワンタッチでゴールを決めることが理想的だと思っていて、実際にヨーロッパに来てからワンタッチ・ゴールが増えました

――しかし実際には、高度な技術や判断、スピードなどが求められると思います。どのようにして、それらを磨きましたか?

南野 ザルツブルクのサイドバックとサイドハーフは高い位置をとることが多く、彼らのクロスからのシュートを攻撃の形としている面があります。例えば僕がフォワードとして試合に出たとき、ニア・サイドに飛び込んで行くと決定機になることが多かったです。「君がこの位置に来たときは、僕は必ずニアにいるようにするからパスが欲しい」などということは味方によく要求していました。

――周囲とのコミュニケーションはアタッカーに不可欠です。その点で南野選手はドイツ語を習得し、ドイツ語で味方に要求したりすることができています。

南野 味方とコミュニケーションを図ることは大切です。海外のクラブへ移籍するときには「言葉の壁」が障害となるでしょう。それでも、味方に伝えようとする姿勢を見せたり、「自分が今、何をしたいのか」を知ってもらったりするように努めることが必要です。自分のしたいことを言えない選手はヨーロッパではやっていけません。ヨーロッパにおいて自分のしたいことを言うのはマイナスになりません。主張しすぎるくらいがちょうどいい気がします。

画像: 写真は2017-18シーズンのヨーロッパリーグ準々決勝(ラツィオ戦)でゴールを決めた南野拓実。同大会では8試合に出場して2得点を挙げ、ベスト4進出に貢献した/gettyimages

写真は2017-18シーズンのヨーロッパリーグ準々決勝(ラツィオ戦)でゴールを決めた南野拓実。同大会では8試合に出場して2得点を挙げ、ベスト4進出に貢献した/gettyimages

「左足アウトサイドでのコントロール」が
右足での速く、強いシュートを可能にする

――日本代表はよく「決定力不足」と言われます。しかし、フォワードがゴールを奪えないことを決定力不足という言葉で片付けてしまっている面もあるとも感じます。

南野 当然、フォワード1人だけの責任ではないと思います。チームとしてのチャンスのつくり方も問われるべきでしょう。とは言え、個人の力でチャンスをつくったり、シュートを決めたりすることも大切だと僕は思うのです。例えば、チャンピオンズリーグの決勝トーナメントというレベルの高い舞台でも、個の力でゴールを奪う選手が必ず現れます。僕がいつかチャンピオンズリーグのピッチに立つときには個の力で打開できる選手になっていなければいけないと思います。個の力を上げるために日々練習に取り組んでいます。

――個の力を高めるためにどんなアプローチをしてきましたか?

南野 例えば、ドリブルでボックス内に入ったときに「このコースなら確実に決められる」という場所をつくることです。パターンとして持つことが重要です。

――普段の練習から高い意識がないと、個で打開できる選手やストロング・ポイントのある選手にはなれないと思います。例えば、シュート練習でも何か工夫がないといけないのではないでしょうか?

南野 セレッソ大阪U―18時代までは誰よりもシュート練習をしていたと思います。ただし、シュート本数を増やすだけではいけません。1本1本に意識を込めてシュートするようにしていました。例えば、相手がいない設定でのシュート練習でも「相手が常にいる」ことを意識して行なっていました。相手を意識した中でボールをコントロールしたり、スピード感を持って行なったりすることを毎日繰り返していました。
 よく行なっているシュート練習を紹介しましょう。3カ所にいる味方から順にパスしてもらい、僕が走り込んでシュートを打つもの(下のトレーニング3)です。練習の際に意識したのが、ボールを受けるときに左足(利き足ではないほうの足)のアウトサイドでコントロールしてから右足(利き足)でシュートを打つことです。左足のアウトサイドでいい場所にボールを置ければ、そのまま左足で踏み込んで上体をキープしたまま右足を振り抜くことができるのです。最も速く打つことができますし、腰の回転を使った強いシュートを打つことができます。
 この方法は、ディフェンダーの足が日本よりも伸びてくるヨーロッパでゴールを奪うために、練習から見つけたものの一つです。レベルが上がれば上がるほどボックス内でのシュート時間は与えられないものですが、この方法は試合で実際に活きていると感じます。

画像: FCレッドブル・ザルツブルクで5年目のシーズンを戦っている南野/gettyimages

FCレッドブル・ザルツブルクで5年目のシーズンを戦っている南野/gettyimages

ストライカーこそ
周囲との対話を重視

――南野選手はヨーロッパリーグにも出場しています。オーストリアの国内リーグとは何か違いを感じましたか?

南野 レベルが単純に違いました。ヨーロッパリーグの決勝トーナメントで戦うチームの選手たちの多くはビッグクラブと戦うことに慣れている感じがしました。技術が高いだけではなく、試合運びのうまさも感じました。
 カウンターの際は本当に「直線的に」仕掛けてきます。少しでも早くボールを前に運び、スピードを落とさず、シュートにもち込むことがしっかりできるチームが多かったです。ただしそれはザルツブルクでも意識づけられています。カウンターのときはあまり膨ふくらみすぎないように直線的に動き、ファーストタッチで少しでも前に出られるようにしています。

――ヨーロッパの舞台では多様なフォワードを見ると思います。どのような印象を持っていますか?

南野 「ゴールだけでのし上がっている」と感じるフォワードが多いです。フィニッシュ面以外の仕事があまりできなくても、ボックス内でゴールを奪えるポジションなどが分かっている自信を持ったフォワードが多いです。

――ただし、走り込むポジションが正しくないと味方の邪魔になったりします。

南野 だからこそ、チームとしてゴールを奪う正確な判断が必要です。エゴイスティックな動きと戦略的な動きは違います。例えば、僕がスペースに立っていて味方が来たとき、「味方がそのスペースに入ったほうが良い」と感じたら僕は別のポジションに移動します。一方、味方の動きが間違っていると感じたら僕は動きません。よく言い合いにもなります(笑)。試合後に僕が映像を確認し、自分の判断が正しいと思ったら該当選手に「あのシーンは僕の動きのほうが正しかったよね?」と話したりします。するとその選手は「あのときはこの動きのほうが正しいと思ったんだ。なぜなら……」と、お互いが納得しながら深い話をすることができます。

――何か現象が起きたあとのケアは大切ですね。コミュニケーションを深める手段になりますし、戦術に関する頭の整理にもつながります。

南野 要求したり、議論したりすることはすごく大切です。議論を行なわないとヨーロッパでは生き残れませんし、上にも行けないでしょう。チームとしても戦術的に成熟していきません。

――最後に、ザルツブルクでよく行なっているシュート練習はありますか?

南野 基本的にヨーロッパでは自主トレをしたら止められるのですが(笑)、自主トレ時間をもらえたら先ほど話した「シュートの形を磨く練習」を行ないます。加えて、両サイドから高速クロスを蹴ってもらい、ワンタッチでゴールの両脇に蹴り分ける練習(下のトレーニング4)もしています。
 ヨーロッパでゴールを奪える選手はワンタッチ・ゴールが本当にうまいです。ライナー性のボールに対して鋭角に入り、ゴールの隅をしっかり狙って決めることができます。素早いクロスからのシュート・チャンスは1試合に1回は必ず訪れるものですから、そのチャンスをしっかりものにできる選手でありたいと思います。昨シーズンを振り返っても、このパターンによるゴールが増えたと感じています。試合で起こるシーンをイメージして、これからも練習に取り組んでいきます。

(取材・構成/安藤隆人)

南野拓実が紹介するトレーニング・メニュー

トレーニング1
「ドリブルからのシュート」

画像: 図1 BBM

図1 BBM

進め方:(1)ペナルティーエリアの後方から左右どちらかにドリブル(2)ペナルティーエリアの角に入ったら、そのままシュートを打つか、切り返してからシュートを打つ
ポイント:(1)自分の得意とするシュートの形の徹底反復(2)相手がいることを想定(3)ドリブル角度(4)スピード変化(5)鋭いキック・スイング(6)ゴール両隅に蹴り分ける

トレーニング2
「フリー・ランニングからのシュート」

画像: 図2 BBM

図2 BBM

進め方:(1)図2のように配球者を2人配置(2)ペナルティーエリアの後方から左右どちらかにフリー・ランニング(3)ペナルティーエリアの角へ向けて加速し、パスを受けて1タッチでシュートを打つか、切り返してからシュートを打つ
ポイント:(1)自分の得意とするシュートの形の徹底反復(2)相手がいることを想定(2)ペナルティーエリアに入る際の加速(3)パスを引き出すタイミング(4)パスに合わせる技術(5)鋭いキック・スイング(6)ゴール両隅に蹴り分ける

トレーニング3
「ダッシュからのシュート」

画像: 図3 BBM

図3 BBM

進め方:(1)図3のように配球者を3人配置(2)ペナルティーエリアの後方から左右、あるいは中央のどこかにダッシュ(3)ダッシュした先で縦パスを受けてシュートを打つ
ポイント:トレーニング2と同様

トレーニング4
「クロスからのシュート」

画像: 図4 BBM

図4 BBM

進め方:(1)図4のように配球者を2人配置(2)ファー・サイドからトップ・スピードでニア・サイドに走り込み、クロスに合わせて1タッチでシュートを打つ(3)インサイド・キックでゴール両隅に打ち分ける
ポイント:(1)クロスに合わせる技術(2)クロスに対する走り込みの角度調整(3)ボールを正確に捉える

プロフィール

南野拓実(みなみの・たくみ)/1995年1月16日生まれ、大阪府出身。ゼッセル熊取FC、セレッソ大阪U-15、セレッソ大阪U-18でプレーし、2012年にセレッソ大阪のトップチームに2種登録されてJリーグ・デビューを果たす。13年にトップチームに昇格し、その年にクラブJ1最年少得点記録を更新し、Jリーグベストヤングプレーヤー賞も受賞した。15年1月、オーストリアのFCレッドブル・ザルツブルクに完全移籍。15-16シーズンから17-18シーズンまで3年連続で2ケタ得点を挙げている。年代別日本代表でも主軸の1人として活躍し続け、16年にはU-23日本代表としてリオデジャネイロ・オリンピックに出場。日本代表としては15年に国際Aマッチ2試合に出場した。この程、森保一・監督が率いる日本代表に2年10カ月ぶりに選出された

画像: 愛用しているアディダスのスパイク、『NEMEZIZ(ネメシス)』を手にする南野

愛用しているアディダスのスパイク、『NEMEZIZ(ネメシス)』を手にする南野

ショート・インタビュー

南野拓実の「俊敏さ」を最大限に引き出す
『NEMEZIZ』

南野拓実が迎えたヨーロッパでの5年目のシーズン。さらなるゴール数が期待される男が手にしているスパイクが、アディダスの『NEMEZIZ(ネメシス)』である。南野はなぜ、このスパイクに大きな信頼を寄せているのか? 『NEMEZIZ』を愛用する理由を語ってくれた。

――スパイクを選ぶときのポイントを教えてください。

南野 まずはフィット感です。「自分の足にどれだけ合っているか」、「履いたときにボールの感触をどれだけ感じられるか」、「履いたときに違和感はないか」。フィット感に関してはこの3点を重視しています。

――特に、南野選手が履いている『NEMEZIZ(ネメシス)』はアジリティーを引き出すことに重点を置いたスパイクです。

南野 僕はアジリティーの良さや一瞬のスピードが特徴だと思っています。そして、自分の特徴が引き出されることをスパイクにも求めます。『NEMEZIZ』は細かな動きや一瞬で相手を置き去りにするような動きを引き出してくれている気がします。

――このスパイクを履き、どのようにプレーに活かしていこうと思いますか?

南野 僕が重視する十分なフィット感があります。加えて『NEMEZIZ』の特徴と僕の特徴が合っていると感じますし、このスパイクで僕の特徴を存分に発揮したいです。

――先ほどのインタビューの中で「左足(利き足ではないほうの足)のアウトサイドでコントロールしてから右足(利き足)でシュートを打つ」とフィニッシュの際の工夫を話してくれました。ということは『NEMEZIZ』のアウトサイド部分はすごく重要になりますか?

南野 その通りです。左足のアウトサイドでボールをコントロールするときは、足のつま先を目一杯上げて、つま先の上にボールを乗せるイメージで行なっています。するとボールの回転を止めることができ、次のプレーに移りやすいのです。

――足のつま先の自由が利かなければいけないからこそフィット感が重要なのですね。

南野 スパイクのつま先部分が堅いとつま先は上げられません。その意味でも『NEMEZIZ』は繊細なコントロールを可能にしてくれるスパイクだと言えます。

『NEMEZIZ 18.1-JAPAN HG/AG』

ネメシス 18.1-ジャパンHG/AG
¥22,000 +税(自店販売価格) サイズ / 24.5~29.5cm
※ 一部店舗のみ取扱い
商品番号:BB6979
カラー:フットボールブルー/ランニングホワイト/フットボールブルー
<スパイクの特徴> ◎プロ仕様、トップモデル ◎高伸縮繊維のアジリティーバンデージが足首周りを強固にロック。360°方向への俊敏な動きにおける、ブレない安定感を実現 ◎前後の傾斜によりしっかりとロックする履き口構造のデュアルロックシステムが、 後足部を頑丈に固定。鋭い踏み込やターンに貢献 ◎足全体に巻きつくよう設計された360°トルションテープが足全体をしっかりホールド。プレー中の足ブレやシューズ内のズレを軽減し、1歩目の加速に貢献 ◎軽さ、薄さ、安定性を兼ね備えたニット素材アッパーであるアジリティースキン2.0 が、やわらかい足入れと高いボールグリップを実現。クイックな動きにおける優れたボールコントロール性に貢献 ◎優れた軽量性を誇るスプリントフレームソールがダイナミックな蹴りだしをサポート ◎土・ロングパイル人工芝グラウンド対応

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