9月6~9日の日本インカレ、女子短距離は日体大の広沢真愛の四冠に沸いたが、もう一人、山中日菜美(立命大)も短距離のメダル4つを持ち帰った。

写真:4×100mR予選で立命大が関西学生新を樹立。山中はアンカーを務めた(写真/小倉直樹)

僅かにタイトルは届かず

 大阪開催となった3年前の日本インカレ。女子4×100mRで野林祐実や小山晶らを擁して当時学生歴代7位タイとなる45秒40で優勝した立命館大は、関西勢で55年ぶりとなる女子総合優勝を果たした。

 そのときの四継メンバーの1走を務めていたのは、ルーキーの山中日菜美。ひときわ小柄なスプリンターだ。

 4年生となり、最後の日本インカレ。山中は100mで11秒88(-2.1)の2位、200mで24秒69(-3.1)の3位と個人で2種目入賞を果たすと、4×100mでも2位、最後は4×400mRの3走で激走して2位。合計4つのメダルを手にした。

「もう少しでしたね!」

“惜しい!”と指を鳴らすしぐさでタイトルを逃した悔しさを現したが、笑顔だった。

 山中は滋賀県出身。中3の全日中にも出場しているが、100m、200mは予選落ち。ジュニアオリンピック200mでは6位入賞を果たしている。

 大津商高時代には、激戦の近畿を勝ち抜いて3年連続インターハイ出場、国体、日本ユースなどたびたび全国大会に駒を進めているが、入賞したのは高1の国体少年B200mでの4位が最高だった。

 立命大に進学して競技を続けたが、個人では3年までは関西インカレで入賞こそあったが、日本インカレでも入賞にあと一歩届かない。それでも、笑顔でチャレンジし続けた。

画像: 山中は100mで2位、200mで3位に入った(写真/大賀章好)

山中は100mで2位、200mで3位に入った(写真/大賀章好)

画像: 100mの表彰式。優勝した久保山晴菜(中)、2位の山中(左)、3位の福田真衣(日体大、右)

100mの表彰式。優勝した久保山晴菜(中)、2位の山中(左)、3位の福田真衣(日体大、右)

立命大を牽引したスプリンター

 最終学年の今年、5月の関西インカレ100mで2位。100m・200mの自己ベストは、高校時代11秒96、24秒71(高1時)から、11秒78、24秒01と成長を遂げた。

 学生最後の日本インカレでも、日本一には届かなかった。100mでは優勝した久保山晴菜(福岡大4年)とわずか0.02秒差。だが、どれだけ敗れても楽しそうに走り抜ける姿は印象的だった。

 4×100mRでは予選で44秒82と関西学生新記録を樹立したが、決勝ではバトンミスもあって45秒03で日体大に届かなかった。それでも、アンカーの山中は激走して2位。

「1年時から私がリレーを走ってきて、決勝も集中していこうと声を掛けていました。でも、1~3走までは少し力みもあって……。1回生のときは素晴らしい先輩たちがいて優勝できて、4年目でここまでタイムを短縮できた。悔しいですが、単純に日体大の皆さんが速かったです!」

 ラストシーズンで悔しさは人一倍だろうが、泣きじゃくる後輩たちを笑顔で慰めていた。 

 そんな山中だが、4×400mRの出場が決まると「400mはきついのでめちゃくちゃ泣きました」と苦笑い。それでも「しんどかったですが夢中で走りました」と、こちらも惜しくも広沢の破格の走りで大逆転を許したが2位に貢献。同じく4年生で、大学を最後に引退する木本彩葉と抱擁した。

 100mH3位で、4×100mRで2走を務めた田中佑美(2年)が「日菜美さんに日本一を取ってほしかった」と泣いた姿に、立命大にとって山中の存在の大きさがうかがえた。

「タイトルを取れませんでしたが、これからも競技を続けます」

 決してエリートではなく、中学、高校、大学と個人日本一にはわずかに届かなかったが、大学生アスリートらしい成長と活躍だった。小さな体で目いっぱい4種目を走り抜けた山中日菜美。これからも笑顔で走り続けていく。

文/向永拓史

画像: 4×400mRでも首を振って激走した(写真/中野英聡)

4×400mRでも首を振って激走した(写真/中野英聡)

画像: 4×400mRの表彰式(写真/小倉直樹)

4×400mRの表彰式(写真/小倉直樹)

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