9月6~9日に開催された日本インカレ。予選から2校が大会新記録をマークするなど、ハイレベルの女子4×100mRは、日体大が44秒59の日本学生新記録(大学別)で制した。

写真:4×100mRで日本学生新記録を樹立した日体大(左から湯淺、福田、広沢、山田、写真/中野英聡)

勝つために下した決断

 ハイスピード決着の予感は大会初日の予選から漂っていた。予選1組を1位で通過した立命大が44秒82、2位の青学大も44秒89をマーク。2006年に福島大が樹立した45秒01の大会記録を、この2校がいきなり塗り替えた。

 優勝候補の一角と目された日体大は、予選3組に登場。5月の関東インカレを44秒98で制したオーダー、1走・湯淺佳那子(3年)、2走・福田真衣(2年)、3走・森美悠(4年)、4走・山田美来(1年)で臨んだ。結果は45秒14で1位通過を果たしたものの、全体では4番手のタイムだった。

 翌日16時に行われた決勝、日体大は3走を主将の森から広沢真愛(3年)に変更。このオーダーで臨むのは、このレースが初めてのケース。しかも、広沢は1時間前に400m準決勝を走ったばかりだった。

 7月に400mで学生歴代4位となる53秒30をマークした広沢は、8月に100mでも学生歴代6位となる11秒53まで自己記録を更新している。

「広沢は400mの後、バテていましたが、勝つためには投入するしかない。森も分かってくれたと思う」

 日体大の大村邦英総監督は、決断に至る苦しい胸の内を明かす。

みんなでつかんだ金メダル

 決勝は盤石のレース展開だった。1走の湯淺が飛び出し、2走の福田でトップに立つ。3走の広沢がリードを広げると、アンカーの山田が追いすがる立命大、福岡大を突き放し、44秒59の日本学生新記録(大学別)で優勝。2006年10月の日本選手権リレーで福島大が樹立した44秒80を12年ぶりに塗り替えた。

画像: アンカーを務めた山田。優勝を決めて笑顔がはじけた(写真/中野英聡)

アンカーを務めた山田。優勝を決めて笑顔がはじけた(写真/中野英聡)

「すごいうれしい、ただ、うれしいだけです。予選があまり良くなかったので、絶対に優勝したいと思っていました」(湯淺)

「日本学生新を出してうれしいです。予選がふわふわした走りだったので、決勝は前へ、前へという気持ちで走りました」(福田)

「バトンを受けたところで1位だったので、絶対に記録を出そうと思って走りました。タイムが表示されたとき、本当にうれしかったです」(山田)

 口々に新記録樹立の喜びを語るなか、広沢は「(森)美悠先輩から任された分まで、しっかり走るだけでした」と、責任を果たせたことを誇った。

画像: 日本学生新記録と表示された電光掲示板を見て、四継メンバーは大喜び(写真/中野英聡)

日本学生新記録と表示された電光掲示板を見て、四継メンバーは大喜び(写真/中野英聡)

 日体大の女子短距離ブロックには、11秒台の自己記録を持つ選手が17人ほどいる。「ほかにも走りたいという選手がいっぱいいる。だから、みんなの気持ちを背負って走りましたし、みんなでつかんだ金メダルだったと思います」。湯淺のコメントは残りの四継メンバーの思いとも一致する。

「(決勝で走れなかったのは)悔しかったですけど、勝つためには仕方のないこと。チーム全体として勝てた。全員が同じ方向をむいて取り組んできた絆で学生記録が出せました」

 このレースを見守った森も、もちろん同じ思いだ。

画像: 100mに出場した主将の森(中央)。4×100mRの優勝はチーム全体の勝利と胸を張った(写真/小倉直樹)

100mに出場した主将の森(中央)。4×100mRの優勝はチーム全体の勝利と胸を張った(写真/小倉直樹)

 次なる目標は、大村総監督が東京高(東京)を率いた2015年にマークした高校記録の44秒48。

 当時のメンバーでもあった福田は、「今回、44秒48出したかったですけど、次の関東新人リレーで狙います」と意欲に燃える。

 必ずしも、今回のオーダーとは限らない。チームの絆がある限り、誰が出場しても、あくまでも記録更新を狙っていく。

文/石井 亮

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