筑波大のキャプテンを務める小笠原 写真◎飯嶋玲子/関東大学サッカー連盟

9月15日から関東大学リーグの後期がスタートした。巻き返しを狙う名門のキーマンを直撃した。

「チームのために働きたい」

 関東大学リーグを追いかけるプロの関係者たちは思わず、目を疑っていた。
「なんで、あそこにいるんだ?」

 今季途中まで主軸のセンターバックとして守備を支えていた背番号3が、最前線でパスを呼んでいるのだ。体を張ってポストプレーをこなし、裏のスペースに果敢に走り込む。空中戦では持ち前の強さを発揮。前期のリーグ戦では3ゴールをマークした。
「フォワードとして、3試合で3点を取れています。悪くないと思います」

 名門の東福岡高では2年生までFWとしてプレー。初めての挑戦ではない。「コンバートというより戻した感じですね」と口元を緩めた。

 ただ、最終学年になったいま、なぜFWとして勝負しているのか。大学ではCBとして評価され、昨季はリーグ優勝に貢献。プロも注目する存在だった。Jクラブへの内定はまだ出ていない(9月14日時点)。進路のことを考えれば、可能性のあるポジションでアピールを続けるほうが賢明なはず。
「後ろには戦力が余っていました。それならば、僕は前にいたほうがいい。守って取れるのは勝ち点1。勝ち点3を取るための戦力になりたい」

 責任感の強いキャプテンは得点力不足のチーム事情を考え、自ら小井土正亮監督に志願したのだ。
「チームのために働きたいです。フォワードをやらせてください」

 監督はすぐに了承したわけではない。本人に何度も確認した。プロ志望の選手のことを考えれば、本職のCBとしてプレーしたほうが選択肢は広がる。鋭い読みでスペースをカバーし、裏をケアするスピードもある。何よりもロングフィードは正確無比。プロの目から見てもセンターバックとしての評価は低くなかった。それでも、本人の意志は揺らがない。
「(置かれている状況は)分かっています。納得の上ですから。僕の人生なので。教員の免許も取りますし、食いっぱぐれることはないと思います」

 屈託なく笑う顔には、将来に対する不安の色など全く見えない。いまは筑波大の主将として、チームに全力を注ぐことを誓う。
「大学サッカーでここまでできているのは、周囲のおかげなんです。僕の目標は、筑波大でタイトルを取ること」

 総理大臣杯は地区予選で敗退。残された大会は関東大学リーグと全日本大学選手権(インカレ)。最後まで献身的にチームに尽くし、ラストシーズンを走り切る。

取材・文◎杉園昌之

小笠原佳祐[筑波大4年/FW・DF]
おがさわら・けいすけ◎1996年6月7日生まれ、東福岡高出身。名門の東福高校時代にはインターハイ優勝を経験。筑波大では3年生時にリーグ優勝に貢献。4年生となり、主将を務めている。180cm、70kg

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