※写真上=今夏の活躍で、一気に日本のエースのひとりに成長した池江璃花子
写真◎小山真司/スイミング・マガジン

 東京五輪まで2年を切った。今夏、日本競泳界は国際大会での活躍もあり明るいニュースが多かったが、トップ選手を追うジュニア世代(中~高校生)も負けず劣らずの活躍を見せた。
 ジュニアスイマーの活躍を振り返り、来季に期待を込める恒例のジュニア総括。まずは女子から。

高校生の日本代表3選手が躍進

 8月に行なわれたパンパシフィック選手権とアジア大会。日本代表でめざましい活躍を見せた選手のひとりが池江璃花子(ルネサンス/淑徳巣鴨高3年)だということは誰もが認めるところだろう。パンパシフィック選手権の100mバタフライでマークした56秒08は、世界記録保持者のサラ・シェーストレム(スウェーデン)をしのぐ今季世界ランク1位の好記録。同大会では日本新記録をマークして優勝し、その記録とともに世界にその名をとどろかせた。そのわずか1週間後に行なわれたアジア大会では、実力向上を示す総仕上げとばかりに個人4冠、リレー2冠の計6冠を獲得し大会MVPに選出。押しも押されもせぬ、日本の女子エースのひとりと言っていいだろう。

 また、高校2年生の酒井夏海(スウィン南越谷/武南高)も大きな飛躍を遂げたシーズンとなった。先に挙げた8月のふたつの国際大会で、100、200m背泳ぎの2種目で更新した自己ベストは実に5回。特に100mでは昨年8月の世界ジュニア選手権時にマークしていた自己ベストの59秒77から、1年で59秒20まで伸ばし、世界の決勝がうかがえる位置まで上げてきた。中学3年生でリオ五輪に出場したエリートスイマーが、いよいよ世界を見すえ臨戦態勢に入ったと言える飛躍だった。

画像: パンパシフィック選手権で世界トップ3と決勝を泳いだ経験を来季につなげたい酒井夏海 写真◎毛受亮介/スイミング・マガジン

パンパシフィック選手権で世界トップ3と決勝を泳いだ経験を来季につなげたい酒井夏海
写真◎毛受亮介/スイミング・マガジン

 そしてもうひとり、高校生で日本代表に入った自由形中長距離専門の小堀倭加(湘南工大附高3年)も、8月の2大国際大会で急成長を遂げたひとり。パンパシフィック選手権では世界女王のケイティ・リデキー(米国)と、アジア大会では、そのリデキー追随の一番手と目される中国の16歳、王簡嘉禾と一緒にレースをする機会を得て大いに刺激を受けた。記録面でも、400mと1500mでは念願の高校新を樹立、800mも大幅な自己ベスト更新と、収穫多き8月となった。

 すでに日本代表入りを果たし、大きな飛躍を見せた3選手だが、真価が問われるのは2019年の世界選手権。今夏の力が本物であるかを確かめる、絶好の機会となる。

各種目で精鋭続々。日本代表組に続け!

 高校生、中学生のいわゆるジュニアスイマーのレベルを評価するひとつの大きな目安となるのが、日本水泳連盟が設定しているナショナル・インターナショナル標準記録である。

 これを見ながら今季のジュニアシーンを振り返ってみると、自由形短距離に『池江効果』と言うべき傾向が見られる。特に100mでは、中学1年生から高校3年生までの6学年で、ナショナル標準以上を突破した選手が昨年に続き2年連続で20名だった。2015年はわずか5名だったところから2016年には16名と、ほんの数年で大躍進を遂げている。

 その筆頭として今季も期待どおりの伸びを見せたのが高校1年生の池本凪沙(コパン宇治/近畿大附高)だ。高いボディポジションと大きなストロークで軽やかに進む泳ぎが特徴。8月にフィジーで行なわれたジュニアパンパシフィック選手権、そして10月に行なわれたユース五輪(アルゼンチン)と、国際大会においてコンスタントに好記録をマークする安定感もあわせ持ち、来シーズン以降、さらなる期待が寄せられる選手のひとりだ。そのほか、大内紗雪(ダンロップSC/日大藤沢高2年)、栗山百花(ダンロップSC/日大藤沢高1年)、田上舞美(ルーテル学院高1年)、中学生では長尾佳音(東京SC/武蔵野中3年)、梅木陽向(大東SS/大東市立南郷中2年)らが今夏、好記録をマークし追随している。

画像: 女子自由形短距離の期待のホープ・池本凪沙は、50、100、200mで才能を発揮 写真◎毛受亮介/スイミング・マガジン

女子自由形短距離の期待のホープ・池本凪沙は、50、100、200mで才能を発揮
写真◎毛受亮介/スイミング・マガジン

 また、お家芸・平泳ぎも相変わらず充実している。200mの中学2年生のナショナル突破者数「9」は、男女合わせた全種目で最多を誇り、ランキング1位の田積帆乃果(大阪水泳学校/上宮中)を筆頭に上位6名までが1学年上(中3)のナショナル標準を突破するハイレベルで、上級生たちを突き上げている。ここからどの選手が抜け出し、日本のトップをうかがう選手へと成長するのか、今から楽しみだ。

 中学生で充実といえば、バタフライも負けてはいない。特に200mでレベルの高さが光り、中学3年生でインターナショナル標準(D)を突破した竹葉智子(田柄SC/練馬区立田柄中)の2分9秒58は日本ランキング6位、竹葉のあとには中学2年生の三井愛梨(横浜サクラSS/横浜市立あざみ野中)、中学3年生の内藤万愛(セントラル府中/府中市立浅間中)と続くが、この3選手の記録は高校生のトップより速く、さらに全員が日本ランキング10位以内に入る素晴らしい種目だ。

今井月、来季に向け充実の夏送る

 最後に、今井月(豊川高3年)の来季への期待を込めて女子総括の結びとしたい。

 2016年から2年続いてきた日本代表入りが叶わなかった今季。今井は寝食をともにしてきた豊川高の仲間とともにこの夏の大会を戦った。日本代表落ちが決まった直後(5月)は落ち込んだというが、そんな今井に、ともに戦おうと手を差し伸べたのが高校の仲間だったという。

 チームの仲間と戦うことで、競技への新たな意欲をかきたてられた今井は、インターハイでは100m平泳ぎと200m個人メドレーを制し、リレー3種目でも大車輪の活躍。続く国体でも、200m平泳ぎで自己ベストに迫る納得の泳ぎで今夏を締めくくった。

 日本代表には入ることができなかったが、仲間の大切さ、そして自分ひとりでは速くなることはできないことを身をもって経験し、人間的にひと回り成長できたことは今後の競技生活に必ずや糧となる。それに呼応するように平泳ぎの調子も戻りつつある今井の、来シーズンの飛躍が楽しみだ。

(注)文中のランキングは、日本水泳連盟が設定するインターナショナル・ナショナル標準記録の突破指定大会にて出した記録での順位を示す(データは、9月末日現在)

文◎桜間晶子(スイミング・マガジン)

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