上のメイン写真=ゴールマウスを守るドイツ代表のマルク=アンドレ・テアシュテーゲン(FCバルセロナ) 写真/gettyimages

GK技術の1つである「ダイビング」はGKにとって最も派手な見せ場である。
華麗なダイビングでチームを救えたら、一躍ヒーローだ。
大技である反面、簡単な技術ではない。
シュートが打たれた瞬間にボールの軌道を読み、
しかも大胆に踏み切ってアプローチしなければならないからだ。
しかしながら、押さえるべきポイントもある。
「GK大国」と呼ばれるドイツで指導を学んできた川原元樹GKコーチ(FC岐阜)が
ドイツの育成法をつまびらかに解説してくれた。
ダイビングの正しい動きの習得方法を理論と写真で紹介していく。
(出典:『B.B.MOOK 1423 ドイツに学ぶ最強GKの育て方』)

画像: 図 各ゾーンにおける使用アクション(※マヌエル・クローン作成)

図 各ゾーンにおける使用アクション(※マヌエル・クローン作成)

守るゾーン別に手を使い分ける

 上の図を見てください。私はゴールを「スタンディング・ゾーン(ゾーン1)」、「フォール・ゾーン(ゾーン2)」、「ダイビング・ゾーン(ゾーン3)」の3つに分けてキーパーにテクニック指導を行なっています。ダイビング・ゾーンに関しては細分化し、「起立時にボールから遠い手(上の手)を使うダイビング・ゾーン(ゾーン4)」を設定しています。それぞれのゾーンごとにアクションが異なってくるからです。

1:スタンディング・ゾーン

 キーパーの体近くに飛んで来るシュートに対するテクニックを使用するゾーン。ステップを利用すればキャッチできる範囲のボールに対しては、上半身の回旋を防ぐために体全体をシュート・コースの正面に運ぶようにする。そして、飛んで来るシュートの高さに応じて、「オーバーハンド・キャッチ」、「アンダーアーム・キャッチ」、「アンダーハンド・キャッチ」を使い分ける

2:フォール・ゾーン

 グラウンダーか、腰や頭の高さに来るボールかにかかわらず、ステップだけでは体をシュート・コースに運べないシュートに対するテクニックを使用するゾーン。体を滑り込ませ、伸ばすイメージでシュート・コースに入る

3:ダイビング・ゾーン

 体を伸ばし切り、滑り込ませるだけでは届かないシュートに対するテクニックを使用するゾーン。素早いステップから体全体を浮かせてシュート・コースに入る。ダイビング・ゾーンに対するシュートに関しては、原則として、両手を持っていくか、ボールに近いほうの手(下の手)で「ボールにアタックするイメージ」でアクティブにシュートに対応する

4:起立時にボールから遠い手(上の手)を使うダイビング・ゾーン

 このゾーンに飛んで来る高いシュートは、体全体を浮かせてボールから遠い手(上の手)を使って対応する。キャッチングというよりも、バーの上にボールの軌道を逸らせるか、外に弾き出すことが主な目的になる

 それでは、3と4で用いるダイビングを細かく見ていきます。ダイビング・ゾーンにおけるアクションの流れは以下の通りです。

動き出し

ボールに近いほうの足の接地

力強い踏み切り

両手か、ボールから近い手(下の手)でアタック

 また、起立時にボールから遠い手(上の手)を使うダイビング・ゾーンにおけるアクションの流れは以下の通りです。

動き出し

ボールに近いほうの足の接地

力強い踏み切り

ボールから遠い手(上の手)でアタック

 ダイビング・ゾーンでの良い例(下の写真<1>~<6>)と、起立時にボールから遠い手(上の手)を使うダイビング・ゾーンでの良い例(下の写真<7>~<12>)を紹介しましたので確認してください。
 ダイビングは、キーパーのアクションにおいて、ギリギリのシュートを防ぐ、派手で、観客にとっても見応えのあるアクションです。しかし、ダイビングは持ち前の身体能力だけでは成功しません。しっかりとしたテクニックがあってこそ成功させられ、失点を防げるのです。

ダイビングの良い例<写真1~6>

画像: <1>ボール方向へ頭と上半身から動き出す。このアクションのときにボールから遠い足(動き始める足)の助け(力)を借りる。両手は体の後ろにいかないようにする

<1>ボール方向へ頭と上半身から動き出す。このアクションのときにボールから遠い足(動き始める足)の助け(力)を借りる。両手は体の後ろにいかないようにする

画像: <2>ボールに近い足(踏み切り足)を接地させる。その際に重心がボールに近い足に乗るようにする。目線はボールから離さない

<2>ボールに近い足(踏み切り足)を接地させる。その際に重心がボールに近い足に乗るようにする。目線はボールから離さない

画像: <3>踏み切り足でしっかりと地面を蹴る。その際に体全体を伸ばし、ボールにアタックできるようにする

<3>踏み切り足でしっかりと地面を蹴る。その際に体全体を伸ばし、ボールにアタックできるようにする

画像: <4>ボールにアタック

<4>ボールにアタック

画像: <5>着地への準備として、キャッチしたボールを体の近くに引き込みながら地面方向に誘導する

<5>着地への準備として、キャッチしたボールを体の近くに引き込みながら地面方向に誘導する

画像: <6>地面側の肩から上腕の範囲、腰から太モモの範囲で着地する

<6>地面側の肩から上腕の範囲、腰から太モモの範囲で着地する

「起立時にボールから遠い手(上の手)を使うダイビング」の良い例<写真7~12>

画像: <7>ボール方向へ頭と上半身から動き出す。このアクションのときにボールから遠い足(動き始める足)の助け(力)を借りる。両手は体の後ろにいかないようにする

<7>ボール方向へ頭と上半身から動き出す。このアクションのときにボールから遠い足(動き始める足)の助け(力)を借りる。両手は体の後ろにいかないようにする

画像: <8>ボールに近い足(踏み切り足)を接地させる

<8>ボールに近い足(踏み切り足)を接地させる

画像: <9>重心がボールに近い足に乗るようにする。目線はボールから離さない

<9>重心がボールに近い足に乗るようにする。目線はボールから離さない

画像: <10>踏み切り足でしっかりと地面を蹴る。その際に体全体を伸ばし、ボールにアタック(※ここまでは「ダイビング・ゾーン」<ゾーン3>におけるアクションと同じ)

<10>踏み切り足でしっかりと地面を蹴る。その際に体全体を伸ばし、ボールにアタック(※ここまでは「ダイビング・ゾーン」<ゾーン3>におけるアクションと同じ)

画像: <11>ボールから遠い手(上の手)をしっかりと伸ばしてボールにアタック。最後の段階では、ボールに触れる指でボールを運ぶコースをコントロールする。このときにボールから目を逸らさない

<11>ボールから遠い手(上の手)をしっかりと伸ばしてボールにアタック。最後の段階では、ボールに触れる指でボールを運ぶコースをコントロールする。このときにボールから目を逸らさない

画像: <12>ボールをしっかりと弾いたあとも目線はボール方向に向ける

<12>ボールをしっかりと弾いたあとも目線はボール方向に向ける

解説者プロフィール

画像: 解説者プロフィール

PROFILE
川原元樹(かわはら・もとき)/1984年5月15日生まれ、京都府出身。大学卒業後にドイツへ渡り、GKとしてドイツ6部リーグでプレー。指導者に転身後はアルミニア・ビーレフェルトとハノーファー96で指導した。2013年から松本山雅FCのユースアカデミーでGKコーチ、17年からFC岐阜のGKコーチを務めている

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