写真上=東京山手メディカルセンターの田代俊之医師はスポーツを生きがいとする患者さんにひざ関節を残す手術があると紹介する。
※写真◎けんいち編集部

中高年のひざ痛の痛みの原因は、多くは「変形性ひざ関節症」です。ひどくなるとひざの痛みで日常生活が困難になりますが、かといって、人工ひざ関節にすると普通に歩けるようにはなっても、ひざに負担がかかる運動ができなくなるので、スポーツを生きがいとしている人には難しい選択です。東京山手メディカルセンター整形外科部長の田代俊之医師によると、ひざ関節を残してスポーツが継続できる手術があるそうです。田代医師にお話をうかがいました。

変形性ひざ関節症はひざの老化現象

変形性ひざ関節症は、長年ひざを使っているうちに、ひざの軟骨がすり減り、ひざに痛みが生じる「老化現象」の一つです。ひざの軟骨は、骨とは違って再生しないため、生まれ持った軟骨をいかに無駄遣いせずに大切に使うかが、変形性ひざ関節症によるひざ痛対策の大きなテーマと言っても過言ではありません。

整形外科では、症状にあわせて、薬物療法(痛み止めの内服薬や外用薬)、リハビリ体操(筋力強化)、関節注射(ヒアルロン酸、ステロイド)、足底版(装具)などの保存療法を行いますが、O脚が強くて、ひざの軟骨の損傷がひどい場合には、手術療法は痛みの改善にとても有効です。

もちろん痛みがあるからといって必ず手術をしなければならないことはありません。しかし、やりたいことがあって、ひざの痛みでやりたいことができなくなっている場合には、手術はできなくなったことが再びできるようになるための大きなチャンスだと、患者さんに説明しています。

手術は2種類。スポーツができるのは「高位脛骨骨切り術」

手術は、大きく分けて2種類あります。
1つは「人工ひざ関節置換術」、もう1つは「高位脛骨骨切り術」です。

人工ひざ関節置換術は、変形性ひざ関節症に対してもっとも多く行われている手術です。ひざ関節の傷んだ部分を切除するため、ひざの痛みが劇的に改善します。手術後にきちんとリハビリを行えば、比較的早くに普通の生活を送れるようになります。
人工ひざ関節の耐用年数は20~25年です。普通の生活を送るにはなんの問題もありませんが、ただし、正座やランニング、ジャンプ、ひざをねじる動きなど、関節に負担がかかる動きは、人工関節に摩耗やゆるみ、破損が生じるためできません。

高位脛骨骨切り術は、昔から変形性ひざ関節症に対して行われている手術です。
O脚になっているすねの骨(脛骨)の一部を切り取ってX脚に矯正し、ひざの内側にかかっていた荷重を分散させて、ひざの痛みとる手術です。切った骨がしっかりつくまで時間がかかりますが、この手術では、自分のひざ関節を残すことができます。
高齢者でもスポーツ活動に復帰したいと希望する人が増えています。人工ひざ関節では諦めなくてはならなかった、ひざに負担がかかる仕事やスポーツに復帰することができます。

画像: 写真中=高位脛骨骨切術は、すねの骨(脛骨)の内側に切り込みを入れて、切ったところをくさび状に広げて人工骨で埋め、プレートで固定する。プレートは1~2年後に取り出す。 写真提供◎田代俊之医師

写真中=高位脛骨骨切術は、すねの骨(脛骨)の内側に切り込みを入れて、切ったところをくさび状に広げて人工骨で埋め、プレートで固定する。プレートは1~2年後に取り出す。
写真提供◎田代俊之医師

高位脛骨骨切り術で再び走れるようになった患者さん

長年ランニングを生きがいにされているある男性患者さんは、変形性ひざ関節症のためにひざが痛くなり、70代のときに骨切り術を受けて、再び走れるようになりました。83歳になったいまでもランニングを楽しまれており、先日もマラソン大会の10kmを完走されています。

中高年でひざが痛くなっても、治療によっては再び走れたり、スポーツができるようになったりする可能性があります。骨切り術は、ひざの外側の軟骨が健常であるなど、手術に際していくつかの要件があります。また、人工ひざ関節置換術と違ってどこの病院でも受けられるような手術ではありませんが、スポーツに復帰したい中高年の方には、選択肢の1つであることを知っていただきたいと思っています。

田代俊之医師には、健康一番「けんいち」17号にて、変形性ひざ関節症とその治療、とくに保存療法として有効なリハビリ体操と、「人工ひざ関節置換術」「高位脛骨骨きり術」の手術について、より詳しくご紹介いただいています。

また、田代医師は、勤務先の東京山手メディカルセンターにて、毎月第3火曜日の午後3時から、「中高齢者の膝痛教室(膝健康教室)」を開催されています。次回開催は11月20日です。

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