上写真=鹿島のGKクォン・スンテ。決勝第1戦は完封勝利に貢献
写真◎近藤俊哉

心の準備をしなければいけない

 鹿島のGKクォン・スンテが偉大な記録に一歩近づいた。

 韓国人のクォン・スンテは全北(韓国)で2回のACL制覇を経験。鹿島でもカップを掲げれば、3度目の優勝を果たした初めての選手となる。

 ACL決勝の舞台に初めて上がった鹿島にとって、優勝経験を持つ守護神の存在は心強かったはずだ。ペルセポリス(イラン)との決勝第1戦を前に、クォン・スンテは自身の経験をチームメイトに伝えたという。

「まずは1点が必要ということを強調しました。まず1点を取れば、その後の流れが楽になることは分かっていたので」

 序盤は予想外にペルセポリスに押し込まれたが、苦しい時間帯を耐え抜き、58分にレオ・シルバが先制点をマークすると、守護神の言葉どおりに試合が進んだ。試合の流れは一気に鹿島へ傾き、70分にはセルジーニョが相手の隙を突いて追加点。ホームでの第1戦を2-0で勝利し、悲願の初優勝に向けて大きなアドバンテージを得た。

 しかし、ACL決勝を深く知る男は、この結果にも楽観する様子はない。敵地テヘランで行なわれる第2戦の会場は、10万人収容のアザディスタジアム。「間違いなく声が通らないと思う。Jリーグとまったく違う雰囲気になると思うので、心の準備をしなければいけない」と気を引き締め、強い精神力をチームメイトにも求めている。

 クォン・スンテが警戒心を強めるのには理由がある。

全北で初優勝した2006年、ホームでの決勝第1戦を2-0で制したが、アルカラマ(シリア)の本拠地に乗り込んだ第2戦は、後半に入って立て続けに2失点。そこから1点を返し、トータルスコアを3-2として優勝したものの、先制点を許したことで「大変な試合になった」と振り返る。

 全北のキャプテンとして挑んだ2016年大会の決勝も、ホームでアルアイン(UAE)に先勝したが、敵地での第2戦は苦戦を強いられ、何とかドローに持ち込むことでタイトルをつかんだ。

 過去2回の決勝を踏まえ、ペルセポリスとの“残り90分”は「攻められる時間が長くなる」ことを覚悟し、「失点しないことを大事にしたい」と自らを戒める。

「大事な試合では小さなミスが違う結果を生んでしまう。冷静に判断する人が後ろにいなければいけないと思うので、僕がそういう役割をできればいい」

 輝かしいキャリアを歩んできた守護神は、自らの経験をチームに還元し、アジア王者の称号をもたらすことを望んでいる。鹿島にとって20個目の主要タイトル、そしてクォン・スンテにとって自身3度目のACL制覇を懸けた戦いは、今月10日(現地時間)にキックオフを迎える。

取材◎多賀祐輔

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