ニューバランスがシューズ職人・三村仁司氏と2018年1月にグローバル・パートナーシップ契約を締結してから約12カ月。ついにその三村氏が開発にかかわった待望の新商品・「NB HANZO V2」のリリースが発表された。長年にわたって膨大なデータを蓄積し、技術を磨いてきた現代の名工とニューバランスという強力なタッグ。その待望の一足について、開発者・三村氏自身が語った。 
取材・構成/高橋幸司 写真/小山真司

 多くのランナーたちが待ち望んでいた日が、ついにやってきた。数多くトップ選手を足元から支えてきた「現代の名工」、シューズ職人の三村仁司氏が主宰する「M.Lab(ミムラボ)」との共同開発モデル「NB HANZO V2」が、ニューバランスより発表されたのだ。
 大きな特徴がフィット感。45年にわたる三村氏の職人生活において測定してきた、何十万人というランナーの足型のデータをもとにした新たなラスト(足型)を作成し、アッパーのメッシュ素材も通気性と伸縮性にこだわったことで、より日本人の足にフィットするシューズが実現した。そして、もう一つの特徴はミッドソールだ。「NB HANZO V1」では反発性に優れた素材と、軽量性に優れた素材との二層構造だったが、新しい「NB HANZO V2」は軽量素材の反発性を向上させることで単一素材にし、よりナチュラルで滑らかな履き心地にレベルアップしたのだ。
 故障しにくく、たくさん練習ができて、強く、速くなれるシューズ。まさに、現代の名工とニューバランスとの情熱・技術が、融合した一足だ。

待望の一足がついに!

――2018年1月にニューバランスと契約を結んで11カ月。「(新シューズを)出すからには完璧なものを出したい」と契約時に言われていましたが。

三村 もちろん、シューズ作りのプロである以上、これで満足してはいけないけれども、完璧に近いものができましたよ。1月の契約以降、ニューバランスさんと何度も検討してきて、ようやく出来上がったシューズが日の目を見るんですから、本当にうれしいですね。

――本来であれば、新しいシューズを作るには1年以上はかかると三村さんは言われていましたが、今回は1年足らずでの発表となりました。

三村 契約時にニューバランスさんと話をしたときに、「世界でも、日本でも、何かしらでNo.1にならなければいけない。それには高い技術力、高い商品力が必要だ」という話をしたんです。そのために皆さんも勉強して、努力してほしいし、私も応えられるように頑張りますからと。No.1を目指すためにも、すぐにでも何かアクションを起こさなければいけない。それが、1年以内での発表につながったわけです。

――三村さんが考える、その『No.1』とは何でしょうか。

三村 タイムだとか優勝だとか、いろいろ考え方はありますけど、私が思うのは、「日本で一番多くの人たちに喜んでいただけるランニングシューズを作る」ということですね。オリンピックを目指すようなトップランナーだけでなく、たくさんの一般ランナーの方々もいるわけですから、そうした人たちに、「やっぱりニューバランスのシューズはいいね」と言っていただける、No.1になりたいんですよ。そのためにも、この「NB HANZO V2」が、No.1に近づく一歩になるわけです。

――そういう意味でも、「NB HANZO V2」は、三村さんが積み上げてきた何十万もの足型をもとにしたラストで作られているという点で、より多くのランナーの皆さんに喜ばれる可能性のあるシューズになりましたね。

三村 軽量性、かかとの安定性、クッション性、通気性と、ランニングシューズに必要な要素はいろいろありますが、なかでもフィッティングが良くなければ、すべての要素が失われてしまいます。それを大事にして作ったのが、今回の「NB HANZO V2」です。特にニューバランスさんとの話し合いで注文をしたのは、アッパー素材の柔らかさ。ランニング動作のなかで、地面をキックするときに親指の付け根と小指の付け根が広がりますが、そのときにアッパーが硬いようでは、当たってマメができやすくなりますから。

画像: 三村仁司 みむら・ひとし 1948年兵庫県生まれ。学生時代に陸上選手として活躍後、1966年国内スポーツブランド入社。シューズ製造に携わり、1974年からはアスリート向けの別注シューズ製造をスタートする。2009年より自身の工房「M.Lab(ミムラボ)」を立ち上げ、さまざまな分野のトップアスリートたちのシューズ・インソール開発に携わる。2004年、厚生労働省「現代の名工」表彰。2006年黄綬褒章を受章。2018年1月1日よりニューバランスと「M.Lab」がグローバル・パートナーシップを締結。専属アドバイザーに就任。

三村仁司 みむら・ひとし
1948年兵庫県生まれ。学生時代に陸上選手として活躍後、1966年国内スポーツブランド入社。シューズ製造に携わり、1974年からはアスリート向けの別注シューズ製造をスタートする。2009年より自身の工房「M.Lab(ミムラボ)」を立ち上げ、さまざまな分野のトップアスリートたちのシューズ・インソール開発に携わる。2004年、厚生労働省「現代の名工」表彰。2006年黄綬褒章を受章。2018年1月1日よりニューバランスと「M.Lab」がグローバル・パートナーシップを締結。専属アドバイザーに就任。

ミッドソールが一層に

――ミッドソールを、二層構造から単一素材に変えたところも、三村さんらしいこだわりを感じます。

三村 キックしたときに足がすぐに前に出る、路面の力が伝わりリズム良く走れる、要は反発性のある素材を作らなければいけないと。これは言葉にするほど簡単なことではないんですけどね。いろいろと中に入れるようなやり方もありますけど、私は、そういうことはしたくないんです。

――「厚底シューズ」も話題を呼んでいますね。

三村 選手が履きやすければ厚底でも薄底でもいいんですが、他のシューズどうこうではなく、自分たちが納得できるモノづくりをすることしか頭にありません。そうした環境をつくってくれる、応援してくれる、ということでニューバランスさんとも契約をしたわけです。実際にお互いに努力して、協力し合って、こうして新しいシューズにつながったし、この「NB HANZO V2」は今までにない履き心地が感じられると思いますよ。

――三村さんの考える「納得できるモノづくり」とは何でしょうか。

三村 45年間シューズ作りをしてきていますが、基本的な考え方は昔から変わっていない。それは「選手に強くなってほしい」ということ。そのためには、疲労しにくい、故障しにくいシューズが必要だということです。それがあれば練習がたくさんできるし、結果としていいレースにつながる。いい走りをしたい、活躍したいというランナーの皆さんの思いに応える。それだけのモノづくりをしていかなければいけませんから、もちろんプレッシャーはありますよ。

――初めに「完璧に近い」という言葉がありましたが、これからもニューバランスさんと三村さんとのコラボレーションで、さらなる進化が期待できるということですね。

三村 具体的にどうしていくというのは、もちろんここでは秘密ですが(笑)、われわれはプロですから、常に可能性に挑戦していかなければいけないし、常にレベルアップしていかなければいけない。互いに協力し、努力しながら、これからもニューバランスさんと未来に挑戦していきますよ。

画像: ラストやミッドソールなど随所にこだわりのテクノロジーを駆使した一足になった

ラストやミッドソールなど随所にこだわりのテクノロジーを駆使した一足になった

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