中高生の生活の中でもスマートフォンは欠かせないものとなっているが、このことが姿勢の悪化という野球選手にとっての弊害も招いている。野球のスイング動作、投球動作において姿勢はどのような影響があるのか、そして姿勢の悪化によるリスクとは何なのか。福岡ソフトバンクホークスでメディカルトレーナーを務める三森哲司氏にお話しいただいた「パフォーマンス発揮における姿勢の重要性」について、2回にわたってお届けする。

※本記事は、ベースボール・クリニック10月号掲載の「考察! パフォーマンス発揮における姿勢の重要性」を再編集したものです。

※写真上=正しい姿勢が効率的に力を発揮するスイングにつながる。写真はソフトバンク・中村晃
写真◎ベースボール・クリニック

非効率的な動きが
高める故障リスク

 バッティングなどの回旋運動は胸椎の可動性によって生じるが、その胸椎を上下に挟む肩甲骨、骨盤が正しい位置を保たなければ、動きのダイナミズムも精度も上がらない。
 肩甲骨、骨盤の正しいポジションはつまり、スポーツの世界で“軸”の言葉でとらえられているもの。スマートフォンが広く普及し、中高生の生活にも手放すことができないものになっている昨今、頭部を前傾する時間が長くなることで、肩甲骨を開くように肩が前方に出て猫背になり、背骨を支える骨盤が後傾するといった姿勢の悪循環を招くリスクが蔓延している。これは“軸”が崩れた状態だ。

「野球における打つ、投げるといった動作の大半は、肩甲骨を寄せるように胸を張った状態を基本として行うものです。しかし、スマホの使用時などは、それとは逆の背中が丸まった体勢を取っています。プロ野球選手の場合、それに加えて新幹線や飛行機での長時間移動など、姿勢を崩しかねない要因はあらゆるところに潜んでいますので、普段から体を鍛えているとは言え、常に気をつけていなければならない部分です。

 軸が安定していなければ、動きにはブレが生じます。そうすると、動きを安定させようとする代償動作が生じますから、余計な疲労がたまるわけです。故障やケガは多くの場合、誤った動作をくり返すことで、体のある部分に負担が積み重なって起こるものです。

 スポーツ選手は一つひとつの動きに伴う負担が大きい分、重大な症状を引き起こすリスクがつきまとっています。ケガ、故障予防の観点からも正しい姿勢でプレーすることは重要なことです」

ソフトバンクでトレーナーを務める三森哲司氏

関節可動域が狭まることが
腰痛を引き起こす

 打撃偏重傾向にある昨今の高校野球では、打力アップを掲げて日々、多くのスイングを課しているチームも少なくない。1日1000を超えるスイング量に励む場合もある。
 そこで考えられるリスクが腰痛。体幹を強くひねる動きをくり返すことで、時にヘルニアや分離症などの重症にまで及ぶこともある。

「骨盤が安定し、股関節や胸椎が十分に可動する状態であれば、腰への負担はかからないものであり、関節の可動域が不足している状態でムリに動かすことによって、ヘルニアや分離症が引き起こされると言われています。腰痛は崩れた姿勢の被害者です。

 関節可動域が制限されているようなことはないか十分に配慮するとともに、練習量が増えれば筋疲労などにより筋肉が固まり、姿勢が変わる可能性があるので、注意してもらいたい部分です」

【PROFILE】
三森哲司(みもり・てつじ)/福岡ソフトバンクホークスメディカルトレーナー
1978年11月1日生まれ。長野県出身。篠ノ井高ー赤門鍼灸柔整専門学校。2011年より福岡ソフトバンクホークスでトレーナーを務める。

文◎ベースボール・クリニック編集部

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