上写真=「左をどうしても返してしまう」と小國。右からつないだ左で3度ダウンを奪ってのTKO勝利だった 写真_佐藤伸亮

引退から再起へ―─。元IBF世界スーパーバンタム級チャンピオン小國以載(角海老宝石)が1日、東京・後楽園ホールでスーパーバンタム級8回戦を行い、アレガ・ユニアン(インドネシア)を4回に3度倒して2分25秒TKO勝利。昨年9月、岩佐亮佑(セレス)に6回TKO負けして王座陥落し、引退状態となったが、一転して撤回し再起。1年3ヵ月ぶりのリングを勝利で飾った。

6年間まともに使えなかった右。復活したけれど……

「恥ずかしながら帰って参りました!」──。

 太平洋戦争後、28年もの間グアム島に潜み、その後帰国した横井庄一さんの名セリフを引用し、照れ隠しをして場内に呼びかけた。だが、会場の反応は薄い。「みんな若いから知らんのかなぁ(笑)」と、首を傾げた小國だってまだ三十路に入ったばかり。当時を知るはずもなく、むしろ知っている小國にこちらはびっくりだ。

 2012年に負傷した右手首の状態が思わしくなく、以降、右をまともに打つことができなかった。岩佐との世界タイトルマッチでも、控え室でのアップの際に“爆弾”は破裂……。引退宣言し、その後進退をはっきりとさせなかったが、意を決して手術に踏み切った。

「手術したおかげで右を使えるようになったけれど、今度は変な癖をなんとかしなければならなかった」

 痛くてもまったく使わないわけにはいかない。打っても痛くない打ち方を工夫し、打ち方、当て所に癖がついてしまったのだという。

 その右を、上下に散らす。得意の左ジャブに続けて、ワンツーも打ち込んだ。4回には左、右、左アッパーカットとつないで1度目。右から左ボディブローで2度目。左フックで3度目のダウンを奪い、レフェリーストップ。

「見てわかったでしょ? 右が遅いんですよ。左から続けてパパーンと打ちたいんですけど……」

 左ジャブから続けて放つ右ストレート。このつなぎが遅いのだという。

「打つのに躊躇するというか、当てるところを一瞬考えてしまうんです」

 これもいわゆる“後遺症”なのだろう。相手のガードや頭など固いところを打たないよう、打つポイントを探し、右手首に負担をかけないようしてきた結果だ。

狙うは“最強王者”

 しかし、もう右は打てる。あとは、スパーリングや試合で実戦感覚を呼び戻すだけ。だから、「今日は長いラウンドをやりたかった」。

 次は来年4月に、「強い相手」との対戦が予定されているという。そして、できれば来年中に世界王座復帰へと向かいたい、とも。

 誰と戦いたい?

「ドグエボです! え? あいつドグボエっていうんですか! めっちゃ恥ずかしい。横井さんの名前も横田さんて間違えたし(笑)」

 WBO王者・アイザック・ドグボエ(ガーナ)は、大竹秀典(金子)を初回で粉砕し、同級最強の呼び声高いチャンピオン。きっと、2016年大晦日に、22戦オールKO勝利のジョナタン・グスマン(ドミニカ共和国)を攻略した味を忘れないのだろう。相手が強ければ強いほど輝く。小國といえば、“怪物退治”。2019年の小國に期待したい。

いつものハイテンション、マシンガントーク一転、真剣な表情で解説する。実際は、ボクシングに対して至極真面目なのである

文_本間 暁

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