※写真上=引退セレモニーには日本代表で長年ポジションを争った名古屋GK楢崎正剛がサプライズ登場。川口の引退記念Tシャツを着て2ショット撮影
写真◎石倉利英

 今季限りでの現役引退を発表している相模原の元日本代表GK川口能活が、現役最後の試合を戦った。12月2日にホームのギオンスタジアムで行なわれた今季の最終節・鹿児島戦に先発フル出場し、勝利に貢献。試合後には引退セレモニーが行なわれ、25年にわたるプロ生活にピリオドを打った。

■2018年12月2日 J3リーグ最終節
 相模原 1-0 鹿児島
 得点者=(相)ジョン・ガブリエル

ラストマッチでファインセーブを連発

【動画】相模原が鹿児島に完封勝利! 現役ラストマッチの川口能活がビッグセーブ連発!

 3年時の高校選手権で日本一に輝いた静岡・清水商高から、1994年に横浜マリノス(当時)に加入した川口は、2年目の95年途中にJリーグデビュー。そのまま正GKとしてシーズンを過ごし、同年のJリーグ優勝に貢献した。ポーツマス(イングランド)、ノアシェラン(デンマーク)での海外でのプレーを経て、05年に磐田に加入してJリーグ復帰。14年に岐阜、16年には相模原に移籍し、長年にわたってプレーを続けてきた。

 代表レベルでも実績を残した。U-23日本代表として臨んだ96年アトランタ五輪のブラジル戦、1-0の完封勝利を収めた『マイアミの奇跡』での活躍は語り草だ。その後は日本代表にも選ばれ、日本が初出場した98年フランスW杯出場に大きく貢献。02年日韓、06年ドイツ、10年南アフリカと、4大連続でW杯のメンバーに選ばれ、98年大会と06年大会はフル出場して日本のゴールを守った。

 11月に今季限りでの現役引退を発表し、この日が現役ラストマッチ。相模原のホーム史上最多となる1万2612人の大観衆が詰めかけた一戦で、黄色のユニフォーム、両手には『川口能活 2018.12.2」の日付が入った特別なリストバントを巻いてピッチに立った川口は、すでに来季のJ2昇格を決めている鹿児島の攻撃陣に立ちはだかった。細かく指示を飛ばしながら最終ラインをコントロールし、守備陣を統率。20分に鹿児島MF中原秀人がゴール前でフリーとなったピンチも、素早く間合いを詰めてセーブ、失点のピンチを防いだ。

 後半も54分に鹿児島FW萱沼優聖がフリーとなったピンチで、最初のシュートを止め、リバウンドを再度狙われたシュートも右手一歩で防ぐなど、ファインセーブを連発。すると、『マイアミの奇跡』を思い起こすような守護神の奮起に攻撃陣が応え、70分にPKを獲得。これをFWジョン・ガブリエルが決めて先制すると、自陣で見守っていた川口もガッツポーズで喜びを表現した。

 その後も鹿児島に攻め込まれる場面があったが、相模原は全員が体を張った守りで防ぎ、そのままタイムアップ。勝利の瞬間、川口は両手を高々と上げ、次々にチームメイトと抱き合って喜びを分かち合った。

 試合後の引退セレモニーで川口は、まず鹿児島のJ2昇格を祝福。続けて「僕の後ろからのうるさいコーチングに対して、常に理解して受け止めてくれた、ともに戦った選手の皆さん、本当にありがとう」と相模原のチームメイトへお礼を述べ、歴代の指導者、所属クラブにも感謝した。

 さらに「日本のサッカー界に、どれだけ貢献できたかは分かりません。正直、足を引っ張ったこともありました。ただ、この最後の試合に、これだけ多くの方々が関心を抱いていただき、スタジアムに足を運んでくださいました。本当に感謝の気持ちしかありません。感謝の気持ちがあり過ぎて、何を言っていいのか分からないくらいです」と続けた。最後は家族、相模原のファン・サポーターへの感謝の言葉を綴って、あいさつを締めくくった。

 花束贈呈では、夫人と娘・息子、両親・兄、漫画『キャプテン翼』の作者・高橋陽一氏が登場した。あいさつは涙をこらえて話し終えた川口だが、家族の花束贈呈では号泣。最後に日本代表で長年、正GKの座を争ってきた名古屋GK楢崎正剛がサプライズで登場し、スタジアムがどよめく場面もあった。その後はスタジアムを一周し、相模原のファン・サポーター席の前で記念撮影、胴上げなどを行なってセレモニーは幕を閉じた。

 闘志をむき出しにしてゴールを守る姿で人々を魅了し、『炎の守護神』とも称された。Jリーグ草創期にプロとなり、日本サッカーの世界への挑戦とともにキャリアを重ねてきた偉大なGKは、その歩みにふさわしい、1-0の完封勝利で現役ラストマッチを終えた。

取材・写真◎石倉利英

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