上写真=今年度の高校選手権は、青森山田の2年ぶり2度目の優勝で幕を閉じた。決勝では個人の能力の高さも目立った(写真◎福地和男)

 第97回全国高校サッカー選手権大会では、青森山田の優勝を成し遂げた。短期集中連載の第6回は、今大会で見せた青森山田の強さにと、決勝に進んだ2チームの特徴について綴る。

決定機を生み出す「個」の力

 決勝戦は青森山田が3-1で勝利し、2年ぶり2回目の優勝が決めた。敗れた流通経済大柏にとっては昨年度に次ぐ2年連続の準優勝となった。

 この両校は、Jクラブのユースチームを含み、この年代の最高峰リーグであるプレミアリーグEASTで、今年度2位と4位。高体連のチームとして上位の2チームであり(WESTでは東福岡の5位が高体連の最上位)、チームとしての総合力の高い2チームが、順当に決勝へ進んだということになる。

 両チームはそれにふさわしいプレーを見せ、ボールへの激しく素早いチェックを遂行し、それをかいくぐるためのトライを繰り返した。そこで見せた技術の確かさは、やはりこの年代のトップにふさわしく、インテンシティの高いアクションの中で、ミスの少ない試合が展開された。こういう試合にも慣れている両チームにとって、セットプレーの重要性は高く、そろって30メートル以上飛ばすロングスロアーを用意していた。

 流通経済大柏が挙げた先制点もCKから。大会随一のヘディングの強さを示した関川郁万が、ケタ違いの高さでたたき込んだ。しかし、流通経済大柏のチャンスがほぼセットプレーに限られたのに対し、青森山田はサイドを突破し、ディフェンスラインの裏へ抜け出して決定機を生み出す「個」の力も備えていた。右サイドのバスケス・バイロンのキレのあるドリブル、ディフェンスラインの裏へ動きだす味方選手に合わせてパスを送るボランチの天笠泰輝のセンス、そしてプレッシャーのかかる中でも生まれたチャンスを確実に決める檀崎竜孔の決定力などだ。

 天笠のパスから佐々木銀士が抜け出して檀崎が決め1-1、バスケスのドリブルから再び檀崎が決めて2-1、そして天笠のパスからスーパーサブの小松が抜け出して3-1とし、青森山田が逆転勝ちした。

画像: 決勝戦でも鋭いドリブルでチャンスを作った青森山田のバスケス(写真◎福地和男)

決勝戦でも鋭いドリブルでチャンスを作った青森山田のバスケス(写真◎福地和男)

 青森山田と流通経済大柏は、ともにハイプレッシャーから奪ったボールを素早くゴールに結びつけるスタイルで、そのための攻守の切り替え、球際の強さ、ハードワークを掲げる似たチーム。となれば、その違いを分けるのは個人のアイディア、技術になる。流通経済大柏の本田裕一郎監督もそれを承知で、「個の力では山田が上だが、そこを組織力で埋めたい」と話していた。実際には、差が出た格好となった。

 青森山田が今大会で最も苦戦したのは、準決勝の尚志戦。尚志はボールを保持してパスで崩すポゼッション重視、言わば異なったスタイルのチームだ。しかし、結果を残すためには、やはり「ダイレクトプレー(ゴールに直結するプレー)」「堅守速攻」を旨とするスタイルのチームのほうが確率は高く、その最高峰である青森山田が難敵も破って頂点に立った。

 高校サッカーは毎年メンバーが入れ替わる。今回の青森山田は、決勝のスタメンのうち10人が3年生だったため、新年度のチームは大きく変わることになる。それでも、チームのスタイルは確立されており、いまや全国から集まってくる人材も豊富だ。その中からまた違いを生み出せるような個人が現れるかが、連覇を果たせるチームができ上がるためのポイントになるだろう。しばらく群雄割拠の時代が続いた高校サッカーで、3年間で2度の選手権優勝を果たした青森山田。かつての帝京、国見、市立船橋などと並ぶ存在になるだろうか。

画像: 青森山田の天笠は長短のパスでゲームをコントロールし、全3ゴールに絡んだ(写真◎福地和男)

青森山田の天笠は長短のパスでゲームをコントロールし、全3ゴールに絡んだ(写真◎福地和男)

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