写真上=初の世界挑戦に必勝を誓う谷口
写真◎ボクシング・マガジン

 WBO世界ミニマム級チャンピオンのビック・サルダール(フィリピン)に同級2位の谷口将隆(ワタナベ)が2月26日、東京・後楽園ホールで挑むことが発表された。サルダールは昨年7月に山中竜也(真正)から奪った王座の初防衛戦、谷口は初の世界挑戦となる。

回り道して「強くなれた」

 14戦目の世界初挑戦に、谷口は「やっと来たな、という気持ちです」と笑顔を見せた。言葉には、身近なライバルへの思いがにじんだ。

 神戸第一高から龍谷大にかけてアマチュアで活躍した谷口は、2016年、大阪商業大を出た京口紘人とともに、ワタナベジムからプロ転向。京口と足並みを揃えるように白星を重ねたが、7戦目で日本王者の小西伶弥(真正)に、10戦目で東洋太平洋王者の小浦翼(E&Jカシアス)に、いずれも際どい判定負け。2018年にはスパーリング中に利き腕の左手甲の関節を脱臼、手術を余儀なくされ、9ヵ月のブランクを作った。

 この間に京口は無敗のまま世界王座に上り詰め、大きく水を開けられたが、11月にタイでWBOアジアパシフィック王座を獲得、今回のチャンスに漕ぎ着けた。

 回り道が自分を強くした、と谷口は信じる。左手を使えなかったこの時期、徹底的に走り込んだことでスタミナの不安をなくし、右だけを鍛え抜いた。基本の大切さも再認識し、井上孝志トレーナーが「京口より上」と認める技術に磨きをかけてきた。なにより「何事にも動じなくなった」と、気持ちが強くなったことを実感した。

サルダールは「噛み合う」

サウスポーの技巧派・谷口。サルダール戦は「後半勝負」を期す
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 1月いっぱいは12ラウンドのスパーを重ね、2月に入ってからは、あえてフィリピンに乗り込みスパー合宿を予定。同国の事情に詳しい井上トレーナーとともに、打倒サルダールの秘策を練ってくる。

 サルダールは2度目の世界挑戦で山中竜也を攻略した強打者。初挑戦では田中恒成(畑中)の左ボディ一撃に6回で沈んだが、それまでは5回に右でダウンを奪うなどフルマークでリードしていた。山中戦でも主武器の右で7回にダウンを奪って主導権を握り、3ー0の判定勝ち。

 谷口はチャンピオンの強打を警戒しながらも「自分とは噛み合う」と自信を見せる。得意のディフェンスでサルダールの強打を封じ「前半弱らせて、後半勝負」の展開を思い描いている。

求められるのは「勇気」と京口

いまや2階級世界王者の京口(右)に「追いつき、追い越す」と谷口
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 アマ時代、6回対戦して2勝4敗だったという京口とは、デビュー時の競い合いを経て、今は「背中を追いかける存在」と谷口。「続きたいし、ゆくゆくは越えたい思いもある」と率直な心境を明かす。その京口が、谷口に求められるものは「勇気」と断じた。

「スパーは滅茶、強いのだから本番で本領を発揮してほしい。試合になると、もらっちゃダメという意識が優先して踏み込めない」

 そう指摘しつつ、今の谷口には「弱気なところが大分なくなった。堂々とやってくれたら…。上から目線ですみません」と、京口はチームメイトの王座奪取に期待を込めた。当日はジムOBの内山高志さんとTBSテレビの解説に臨む。

 奇しくも初の世界戦が発表された1月17日は、谷口が0歳だった24年前、故郷の神戸で被災した阪神淡路大震災の日。「こんなやつも神戸から出てきたことを知ってもらえたら…」と、谷口は故郷に元気を与えることも発奮材料にして戦う。

取材◎藤木邦昭

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