3月22日、日本代表はコロンビア代表と対戦した。結果は0-1で敗戦。何度も好機を得ながらもゴールは遠く、ロシア・ワールドカップで破った相手にホームで敗れることになった。失点は冨安健洋がやや不運な形でハンドを取られ、相手にPKを献上したためだったが、この日、キャプテンを務めた柴崎岳は「得点できなかったこと」「失点につながった問題」を究明し、課題にしっかり向き合う必要があると危機感を口にした。

上写真=キャプテンマークを巻き、90分間プレーした柴崎岳(写真◎小山真司)

■3月22日 キリンチャレンジカップ2019
日本 0-1 コロンビア
得点者:(コ)ラダメル・ファルカオ

チャンスにフォーカスできるほどいい試合ではなかった

 攻撃では相手を押し込む時間があり、90分の中で何度か好機をつかんだ。しかしゴールは遠く、最後までネットを揺らすことができなかった。そして守備ではアグレッシブに前からプレスにいき、ボールを奪って攻撃につなげる場面があった一方で、プレスがはまらずに後手を踏み、サイドを破られる場面も散見した。

 試合後、柴崎岳は収穫もあったとした上で、現在のチームが抱えているかもしれないリスクについて言及した。

「客観的に見て、評価すべきところはシュートチャンスが多かったと思いますし、精度を欠いた部分はありましたけども、そこまでの運び方は悪くなかったと。数多くゴール前でそういった可能性を感じるプレーをできたのではないかと思います。
 ただ実際に負けているので、点は取れていないですし、失点もしていますので、失点の原因というのはもちろんありますし、それをしっかりと究明しないといけない。
 それはもしかしたらアジアカップ前、アジアカップ中から続いているものかもしれないですし、また新たに出てきた課題かもしれません。勝っていたとしても課題はある。メディアのみなさんが記事にどう表現するかによりますけど、非常に、危険な状態なのではないかとは思います。得点チャンスにフォーカスにできるほどいい試合ではなかったとは思います」

 課題が出るのは当然だ。ただ、その課題をここでしっかり認識しておかなければ、今後より大きな問題になる恐れがあると、柴崎は指摘した。

「僕が一番危惧しているのは、選手の、結果や試合に対する受け取り方の部分。マスメディアの方を含め、日本代表に対する描き方というか、どういった評価をするのか。これをよしとするのか、成長していると解くのか。日本代表に対する雰囲気というところが、場合によっては少し危険な方向に働くので。
 それは今日の試合だけがという意味ではなくて。これが非常に悪い内容で、結果もそういった形であれば、評するのは簡単ですけど、それが逆転している状態の時に、チーム全体や選手による意識の不一致、評価の不一致が起きて、選手個々の意識のずれが生まれる部分がある。僕的にはそれはちょっとどうなのかなと。
 最近になってコロンビアみたいなFIFAランキングの上位で強豪国と言われる国や選手たちに対しても良い試合を演じたり、勝つことが増えてきているので、日本が成長していると取れなくもないですけど、好勝負を演じているときは昔もありましたし、今に始またことではないので。いま言えるのは、自分たちはその良い勝負を演じているのに満足するレベルではないと自覚してやっていかないと、また同じことを繰り返すし、成長はできないということ。そう感じています。 
 選手がどう判断するかは分からないですけど、もしこういった相手に対して『これだけやれた』とか思っている部分が少しでもあるんであれば、それは、ただしたいと思います。それだとこれ以上の成長はないと思うので、しっかり締めて。どんな相手でも負けは負けですし、もちろん、勝因・敗因はあると思うので、しっかり追求して、なあなあにせずにやりたいなと思います」

 森保ジャパンでこれまでキャプテンを務めてきた吉田麻也、青山敏弘が今回のシリーズは不在だ。そのため、柴崎がキャプテンマークを巻いたが、アジアカップの時点ですでに自らについて、チームを引っ張る立場にあると口にしていた。今回、そのスタンスを大きく変えたわけではない。冷静にチームを俯瞰し、感じている危機感を口にすることでチームをより良くしようとする姿勢は変わらず伝わってきた。

「(危惧している点について)これからのチームの雰囲気だったりとかを見ながら、必要があれば話すべきだと思いますし、そこはシビアに日本代表が、やっぱり強くなるために求めていかなきゃいけないと思います」

 若い選手が増え、年齢的にも上から数えたほうが早い。トレーニングでも、ランニングでは先頭を切って走っている姿が目を引く。試合でも、トレーニングでも、そして取材エリアでも、その姿勢は一貫している。

失点の前兆はあった

 ロースコアの決着となったコロンビア戦だが、僅差とはいえ、日本は攻め切れず、守り切れなかった事実に変わりはない。攻撃でも守備でも日本がやるべきことはまだまだ多い。柴崎は言う。

「時間帯によってポジティブな面とネガティブな面があったと思います。前半のなんかは1本や2本、相手にメリットのあるようなシーンがありましたけど、45分でみたら押し込める時間帯がありましたし、そこは自分たちがある程度うまく機能していた内容ではあると思う。ただ、後半は自分たちに流れを引き寄せられなかった。相手はその流れの中で決めて僕らは決められなかった。それは大きな差だと思います。自分たちの流れのうちに得点が欲しかったですし、相手の流れの中ではしっかり我慢するという、失点を防ぐというところもディフェンスの観点から言えば必要かなと」

 柴崎が「得点チャンスにフォーカスにできるほどいい試合ではなかった」と話したのは、チャンスがチャンスのまま終わり、ゴールにつながっていないことを重く受け止めているからだ。
 守備でも同じ。失点シーンだけが問題ではないと話した。

「(守備では)前からいく部分というのは悪くはないと思っていて、はまっている部分もありました。ただ、やっぱり選手間の距離感という意味で多少、後半は前半より広くなった。それは自分たちの強度が落ちた部分もあったと思います。前半だったり良い時間帯の守備の強度を継続していかないと。あの守り方だったり、ゾーンの守り方というのを日本は続けていかないと。最終局面になるとどうしても、ベルギー戦のような押し込まれる時間帯というのは、今は脆いと思うので。なるべく高い位置、ミドルの位置で守備をして(ボールを)奪いたいというのはある。そこは選手11人がそれを続けられるだけの強度を全体的に持つ必要がこれからあるのかなと思います。
 失点の場面だけにフォーカスされがちですけど、その前兆がありましたし、急にボンとやれられたというよりはジャブのような形で、自分たちの危機察知がもうちょっと及んでいたらなというのはあります。相手も前半からうまくいっていなかったというのがあったと思いますし、それを後半になってちょっと修正してきた部分だったり、交代等でそれを解決した部分もある。それをもっと早く気づければ。それも対応力というところになると思いますが」

 アジアカップ決勝で敗れた苦い経験を糧にしてチームは進んでいるのか。あの日、露呈した課題を克服できているのかーー。時間にして15分あまり。試合後の取材エリアで柴崎はチームに対して警鐘を鳴らした。言うまでもなく、すべては日本の成長を願うがゆえ。

 アグレッシブにボールの争奪戦に挑み、時に応じて前線に飛び出し、そして山口蛍、小林祐希というドイスボランチを組んだパートナーの特徴に応じてその役割を変化させながら90分間を過ごした柴崎。ピッチでその覚悟を示し、試合後には言葉でも代表における自身の覚悟を示した。

写真◎小山真司

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