日本王者vs.最上位挑戦者による『第40回チャンピオンカーニバル』の日本スーパーライト級タイトルマッチ10回戦が6日、東京・後楽園ホールで行われ、1位の井上浩樹(26歳=大橋)が、王者・細川バレンタイン(37歳=角海老宝石)を97対93、98対93、98対92の3-0判定で破り、新王者となった。

上写真=井上浩樹の左が、王者・細川の顔面を捉えた

 人気者同士の1戦は、5月1日(水)に行われるフェザー級戦(源大輝=ワタナベvs.阿部麗也=KG大和))とともに、カーニバル中屈指の好カードとして注目を集め、場内は南側の立見、東西のバルコニーにもあふれんばかりの人が詰めかけた(発表は1700人)。遅咲きのベテラン細川は、ジムを移籍してから充実度がさらにアップし、これまで2度の防衛を果たしている。最上位に控えるのは、あの井上尚弥(WBA世界バンタム級チャンピオン)、拓真(WBC世界バンタム級暫定チャンピオン)兄弟の従兄で、トップアマからプロ入りして無敗(12戦12勝10KO)の井上。王座を返上して対戦を避けるという選手もいる中、しかし細川は敢然と受けて立った。その心意気がファンの心を打ち、新旧対決はなおさら人気を呼んだのだ。

 細川163cm、井上177cm。身長差14cmの対戦は、サウスポーの井上が懐を深く使い、右ジャブ、右アッパーカットで先制した。
 しかし、細川はひるまない。2回に入ると、プレスを強めて前進。井上にロープを背負わせて左右の強打を叩きつけた。ガードでカバーした井上だが、グローブの上から叩かれ、左目下がうっすらと腫れてしまうほどだった。

画像: 細川(左)は、決して臆することなく、勇敢に攻めた

細川(左)は、決して臆することなく、勇敢に攻めた

 試合の展開は、攻める細川、待ち構えて右フック、左ストレートのカウンターを狙う井上というかたちで推移した。勇気をもって飛び込んでいくチャンピオンの攻撃をかわし、要所でヒットを奪っていくのは井上。しかし、細川は決して下がらない。ポイントの取り方は、アマチュアキャリアに長ける井上が上回るが、常に待ちのボクシングで、消極的に見えてしまうのはマイナスだった。

 5回には右ジャブを多用し、7回にようやくコンビネーションも出した井上は、8回にテンポを変えた右フックからの左ストレートをクリーンヒット。それでも細川の闘志は衰えない。打たれても下がらず前に出ていき、井上に追撃をさせなかった。

「細川選手は気持ちが強くて、今日は勉強になりました」と井上。

 クリーンヒットを奪った後、先に仕掛ければ、もっと違う展開もあったはずだ。「相手のプレッシャーに飲まれている部分があった」と井上が認めるように、気持ちの部分では細川に分があった。

 大橋秀行会長によれば、井上は拳を痛めており、1ヵ月間スパーリングをこなせなかったという。その影響もあったろうが、いまの段階で勝負所を押さえるかたちを築きたい。井上兄弟同様、あふれんばかりのセンスに加え、長年、地道に積み重ねてきた努力が土台にあるのだから。

画像: 浩樹の戴冠を祝福する井上家の面々。右から真吾トレーナー、尚弥、浩樹、拓真

浩樹の戴冠を祝福する井上家の面々。右から真吾トレーナー、尚弥、浩樹、拓真

「浩樹はもっと実力がある。今日はその半分も出ていない」と井上尚弥もその能力を高く評価している。対戦から逃げず、試合でも決して退かなかった細川の気迫をぜひ受け継いでほしい。“井上兄弟の従兄”ではなく、「井上浩樹」として歩むためにも。

文_本間 暁  写真_小河原友信
Text by Akira Homma Photos by Tomonobu Ogawara

This article is a sponsored article by
''.