コンディショニングとは「目的を達成するために必要と考えられる、あらゆる要素をより良い状態に整えること」を意味する。選手それぞれが持つ個性をパフォーマンス発揮へとつなげるための情報を得て、しっかりと活用しよう。
※本記事はベースボール・クリニック2016年10月号掲載「野球のコンディショニング科学~知的ベースボールプレーヤーへの道~」の内容を再編集したものです。

文◎笠原政志(国際武道大学体育学部准教授)

第7回「スピードリハーサルの必要性」

試合と同等の強度で行うウオーミングアップ

 ウオーミングアップで大切なのは、ただ指定された動作を実施する(いわゆる“こなす”)のではなく、その“質”にこだわることです。つまり、手抜きをせずに、実際の試合や練習と同等の強度で実施することが必要です。これを「スピードリハーサル」と呼びます。

 スピードリハーサルは、練習や試合の準備に限らず、ケガ予防にも重要な役割を持っています。しかしながら、日々同じようなウオーミングアップをくり返していると、次第に単調になり、手を抜いてしまうことも少なくありません。

 そこで、今回はスピードリハーサル実施の有無の点から、ウオーミングアップの質の重要性について考えます。

ウオーミングアップと練習中の最高スピードのギャップ

 図Aはラグビー選手を対象とした個人アップとチームアップ時のランニングスピードのギャップについて示したものです。

画像: ウオーミングアップと練習中の最高スピードのギャップ

 練習時の最大ランニングスピードを100%とすると、チームアップでは79%のスピードであり、練習中に比べて21%不足しています。一方、個人アップでは61%のスピードであり、練習中に比べて39%も不足している結果となっています。
 つまり、個人アップでは、練習中と比べてかなり“手抜き”をした状態でのウオーミングアップになってしまっていることが分かります。

 一例ではありますが、練習中に肉離れを起こしてしまった選手のその日のウオーミングアップ時のランニングスピードが、練習中の最大ランニングスピードに比べて35%も低い結果だったという調査があります。

 特に筋肉系のトラブルは、体が経験(リハーサル)していない状態で、未知の領域の強度の負荷が体にかかることによって生じる可能性があります。プロ野球選手の「肉離れによって登録抹消」という記事をよく目にしますが、このスピードリハーサルが影響しているのではないかと考えられます。

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