「スイミング・マガジン」本誌にて連載中の柴崎真木先生による「食べて速くなる栄養学」。年々反響が大きくなっていることを受け、スイマガWebでも折を見て過去の連載記事をご紹介していきます。第1回目のテーマは「丈夫で健康な骨を作る」です。レシピ、本文合わせて知識を身につけていきましょう。

※写真上=小松菜とさくえびのチヂミ
写真◎柴崎真木

Let’s Cook !(1)
小松菜とさくらえびのチヂミ

★牛乳1杯分のカルシウムと豚肉と卵でたんぱく質もしっかり摂ることができます。ほうれんそうより小松菜のほうがカルシウムは豊富です。チヂミは補食におすすめです!

【材 料】*1人分
小松菜50g(1/4束)、さくらえび5g(大さじ1)、豚肉30g(2枚くらい)、卵1個、小麦粉大さじ2、片栗粉大さじ1、酒大さじ1、ごま油適量
【作り方】
(1)小松菜は電子レンジで1分程度加熱し、水にさらしてあくを抜き、水気を絞る。
(2)豚肉はひと口大に切り、ボウルに入れ、(1)、さくらえび、卵、酒を入れてよく混ぜる
(3)(2)のボウルに小麦粉、片栗粉を少しずつ加えしっかり混ぜる
(4)フライパンにごま油をひき、熱くなったら(3)を入れてうすく広げる
(5)焼き色がついたら裏返し、フライ返しで軽く押しながらしっかり焼く
(6)食べやすい大きさに切り、酢じょうゆ(分量外)につけて食べる

Let’s Cook !(2)
ししゃもの南蛮漬け

画像: ししゃもはカルシウムの宝庫!

ししゃもはカルシウムの宝庫!

★丸ごと食べられるししゃもはカルシウムの宝庫です。酢を合わせてカルシウムの吸収率を高めます。冷めるときに味がしみ込むので、1日置いてから食べるとおいしくいただけます。作りおきしておくと便利です。

【材 料】*1人分
ししゃも6尾、片栗粉少々、サラダ油大さじ1、たまねぎ1/6個、にんじん10g、ピーマン1/3個、酢大さじ1、砂糖小さじ1、みりん大さじ1、しょうゆ小さじ1、水大さじ1、塩少々
【作り方】
(1)ししゃもは片栗粉を薄くまぶし、熱したフライパンに油を入れ、両面をこんがり焼く
(2)たまねぎは薄切りに、にんじん、ピーマンは千切りにする
(3)鍋に酢、水、砂糖、みりん、しょうゆを入れ、味を見て塩を加える
(4)(3)が沸騰したら、野菜、ししゃもを入れて火を止める

Lecture
丈夫で健康な骨を作る

 今回は、特にジュニアスイマーは必見の『骨』に関するお話しです。もちろん、みなさんが望んでいる「身長を伸ばしたい」ということにもつながってきますので、日ごろの食生活に生かしてください。

今しかできない骨づくり

 身長を伸ばすにはどうしたらいいですか? という質問は、ジュニア選手や保護者の皆さんからとても多く寄せられます。最近のトップスイマーは長身の選手が多く、高身長は水泳には有利ですから、背を伸ばしたいと思う気持ちは当然のことかもしれません。身長は、遺伝の影響も大きく、栄養をしっかり摂ったからといって必ず大きくなるとはいえませんが、バランスの良い食事と睡眠、運動を適切に行なうことによって、できるだけ大きくすることは可能です。身長を伸ばすにはカルシウムが必要ですが、それさえ摂っていれば大丈夫というわけではありませんし、牛乳をたくさん飲めば良いわけでもありません。そこで、今月は骨づくりについてレクチャーいたします!

骨の役割を知ろう

 骨は体重を支える土台となる組織で、それにくっついている筋肉や靭帯、腱とともに身体を動かします。骨に筋肉がつくということは、土台になる骨がしっかり丈夫なものでないと大きな筋肉はつきません。筋肉づくりをするには骨づくりも重要な要素です。

 骨の主な材料であるカルシウムは、血液中にも少量含まれており、筋肉の収縮や脳や神経の情報伝達に関わっています。カルシウム不足になると、足がつりやすい、けいれんを起こしやすいといわれるのはそのためです。また、血液中のカルシウムは血液凝固にもかかわっています。血液中のカルシウムはわずかですが、非常に重要な役割を果たしているため、貯蔵庫としての骨に貯えられています。血液中にカルシウムが不足したときには、骨からカルシウムを取り出してしまうため、繰り返し起こると骨がもろくなってしまいます。

 ほかにも、骨の中の骨髄には造血細胞があり、血液に必要な鉄などの材料を元に血液を作っています。また、免疫機能に関わるリンパ液も骨髄で作られています。

 このように、骨は身体を支えるだけでなく、筋肉や神経の動きや貧血、免疫力など、さまざまな身体機能の調整に関わる重要な組織なのです。

骨の構成成分

 骨を構成する成分は、カルシウムやマグネシウム、リンなどのミネラルが大部分を占めますが、そのほかの主な成分はコラーゲンでできています。コラーゲンは、たんぱく質、ビタミンC、鉄によって作られます。骨を鉄筋コンクリートの建物に例えると、鉄筋部分がコラーゲンで、コンクリートの部分がカルシウムなどのミネラルにあたります。ですから、カルシウムだけ摂っていても骨を伸ばすことができず、たんぱく質やその他ミネラル、ビタミンも摂ることが必要なのです。

骨は長くなってから太くなる!

 骨は骨の端にある軟骨が増殖して長くなり、骨に置き換えられていくことで伸びていきます。成長期を過ぎるとこの軟骨組織は固くなり、身長の伸びが止まります。骨の太さは骨の表面にある骨膜が関わり、成長期だけでなく、大人になっても古い骨と新しい骨を入れ替える働きをしています。骨は大人になっても2~3年かけて新しい骨に入れ替わります。古い骨が壊されたとき、新しい骨の材料がなければ骨は作られませんから、身長の伸びが止まってもたんぱく質やカルシウムなどをしっかり摂ることが大切です。

 また、骨量は20歳ごろをピークに40~50歳代ごろまで入れ替わりながら維持し、加齢とともに低下します。ですから、成長期にできた骨量が将来を決めるといっても過言ではないのです。

丈夫な骨を作るには?

 まずは骨の土台となるたんぱく質をしっかり摂ることが大切です。たんぱく質は摂りだめができませんから、毎食、摂りましょう。特に骨が伸びる時期には必要量が増えるため、3食以外でも、ヨーグルトや牛乳などの乳製品や、魚肉ソーセージ、ゆで卵などたんぱく質を多く含む食品を補食にするのがおすすめです。コラーゲンの合成に必要なビタミンCは新鮮な果物や野菜に多く含まれます。ビタミンCも摂りだめができないので、毎食野菜のおかずは食べるように心がけましょう。特に小松菜やしゅんぎく、水菜などの緑黄色野菜はカルシウムも豊富です。カルシウムは乳製品以外にも豆腐、納豆、厚揚げなどの大豆製品、丸ごと食べられるししゃもや丸干し、しらす干しなどの小魚類、桜えび、ひじき、切り干し大根、ごまなどがあります。

 手軽に食べられる鮭缶やさば缶は、そのままはもちろん、サラダや煮物の具、カレーに入れても食べやすく、おすすめです。また、鮭、いわし、かじき、しらす干し、干しシイタケ、きくらげに含まれるビタミンDはカルシウムの吸収を助けます。近年、ビタミンDは筋力やパワーにも関わるといわれていますから、筋肉づくりにも大切な栄養素です。

加工食品の摂りすぎに注意!

 リンはカルシウムの吸収を助ける栄養素のひとつですが、摂りすぎると反対にカルシウムを排泄してしまう働きがあります。リンは、加工食品などの保存料や炭酸飲料などに含まれており、極端に避ける必要はありませんが、摂りすぎには気をつける必要があるでしょう。また、ナトリウムの摂りすぎもカルシウムを排泄します。スナック菓子や加工食品にはナトリウムが多く含まれていますから、これらの摂りすぎにも注意が必要です。

無月経に気をつけよう

 無月経になると、骨からカルシウムが出ていくのを抑えるエストロゲンという女性ホルモンの分泌が低下します。無月経は激しい運動やストレス、脂肪やエネルギーを極端に減らした無理なダイエットなどで起こります。無月経の状態が続くと、骨からカルシウムが出ていってしまうため、骨量が低下します。骨量がもっとも多くなるはずの成長期に少なくなってしまうのは、将来、骨粗しょう症を招く原因になりかねません。月経がなくて楽だと思うかもしれませんが、成長期を過ぎて骨量を増やすのはとても大変なことです。月経が止まったら、早めに婦人科に相談し、きちんと対処しましょう。

水泳選手は骨が弱い!?

 水泳選手の骨量は、格闘技や球技など骨や筋肉に重力がかかる運動を行なう選手と比べて少ないといわれています。骨を強くするためには、栄養面だけでなく、運動によって骨に刺激を与えることが重要なのです。無重力空間で作業した宇宙飛行士は、地球に戻ったときに骨量が減っていることから、重力負荷が骨づくりには重要だといわれています。水泳選手も泳ぐことで骨や筋肉に刺激を与えていますが、重力による負荷が少ない運動になるため、刺激が少ないようです。

 骨を丈夫にするために、オフの日にはできるだけ外で遊んだり、家族でジョギングなどもいいかもしれません。そして、食事もしっかり摂って丈夫な骨を作りましょう。

文◎柴崎真木

著者PROFILE
[しばさき・まき]愛知県生まれ。中京女子大大学院健康科学研究科修了。管理栄養士、健康運動指導士。愛知県内のスイミングスクールや国体に向けた合宿での栄養サポートを経て、2008年より文部科学省委託事業チーム『「ニッポン」マルチサポート事業のスタッフ』として競泳日本代表のサポートに従事しロンドン五輪にも帯同。現在はフリーで活動中。中学までは水泳部に所属し、水泳指導の経験もある。愛知水泳連盟医科学委員

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