4月27日から29日までの3日間、東京辰巳国際水泳場にて行なわれたアーティスティックスイミング(AS)のジャパンオープン(国際水泳連盟主催ワールドシリーズ第4戦東京大会)兼第95回日本選手権。海外勢の参戦もあるジャパンオープンでは、東京五輪前年であることも影響し、ロシア、スペイン、中国など例年以上に強豪国が出場。そのため、実施された計10種目においては世界レベルのハイパフォーマンスが見られ、特に女王ロシアからは、オリンピック2大会(ロンドン、リオ)連続金メダリストでもあるS・ロマシナと若手のエースであるS・コレスニチェンコの2013年世界選手権優勝組の参戦は、大会の大きな見どころのひとつとなった。

※写真上=3日間、7種目に出場したエース・乾。ワールドシリーズのソロFRでは目指していた93点台をたたき出した
写真◎田中慎一郎(スイミング・マガジン)

画像: 現在の世界一デュエットの呼び声高いロシア、ロマシナ/コレスニチェンコ組 写真◎田中慎一郎(スイミング・マガジン)

現在の世界一デュエットの呼び声高いロシア、ロマシナ/コレスニチェンコ組
写真◎田中慎一郎(スイミング・マガジン)

画像: 新ルーティンも入れ、夏の世界選手権、来年の東京五輪への第一歩を踏み出しているマーメイドジャパン。一つひとつ課題を克服していきたい 写真◎田中慎一郎(スイミング・マガジン)

新ルーティンも入れ、夏の世界選手権、来年の東京五輪への第一歩を踏み出しているマーメイドジャパン。一つひとつ課題を克服していきたい
写真◎田中慎一郎(スイミング・マガジン)

 そんな中、マーメイドジャパン(AS日本代表)は、乾友紀子(井村ASC)がソロ、吉田萌(ザ・クラブピア88)と組むデュエットはじめ、3日間で7種目に出場。獅子奮迅の活躍で、チームを引っ張った。

画像: 乾/吉田のデュエットはロシアに次ぐ2位に 写真◎田中慎一郎(スイミング・マガジン)

乾/吉田のデュエットはロシアに次ぐ2位に
写真◎田中慎一郎(スイミング・マガジン)

 ソロのTR(テクニカルルーティン)では、現在の世界トップ選手でもあるS・コレスニチェンコに次ぐ2位、FR(フリールーティン)は有力国からの参加はなかったが、自身の力を発揮して優勝。FRでは自身が目指してきた93点台をワールドシリーズ大会で初めてマークした。
「その点は自分が成長できた部分です」と胸を張り、井村雅代ヘッドコーチも「チーム、デュエットで中心的な役割を担っている選手がソロでも好成績を残せるのは珍しいこと。それだけ、彼女がソロ種目でメダルを獲りたいという気持ちが強く、今まで取り組んできた成果」とたたえている。

 また、デュエットでは、TR、FRともにロシアに次ぐ2位。FRでは中国の世界選手権代表からは外れているものの(今大会の中国は実質四川省代表中心のチーム構成)、昨年のアジア大会で敗れていた双子のベテラン、ジャン姉妹を抑えるなど、自信を得る大会となった。

画像: ミックスデュエットでは、ロシアの若手、M・グルバンベルディエワ/A・マリツェフ組がイタリアペアを抑え優勝 写真◎田中慎一郎(スイミング・マガジン)

ミックスデュエットでは、ロシアの若手、M・グルバンベルディエワ/A・マリツェフ組がイタリアペアを抑え優勝

写真◎田中慎一郎(スイミング・マガジン)

 一方、日本の課題は乾に続く選手たちの台頭。今大会エントリーを決めたハイライトルーティンにおいては乾抜きのメンバー構成で挑戦。乾とデュエットを組む吉田を筆頭に年明けの1月から各選手が「恐竜」をテーマにしたルーティンを作り上げてきた。「(ヘッドコーチの井村雅代)先生からは『あなたたちで作り上げていきなさい』と言われ、振り付けなどは選手自身で意見を出し合いました。ただ、まだまだ言葉にしてはっきり言えない部分もあるので、その点が苦労している部分です」と吉田。また、井村ヘッドコーチも、「出来はいまひとつ。ただ、彼女たちが乾抜きで挑戦したことには意味がある」と課題と収穫をあげている。

 しかし、世界選手権を見据えた展望としては「とにかくどのチーム種目(TR、FR、フリーコンビネーション、ハイライトルーティン)でもメダルを獲りたい。それが選手にとっての自信になるし、来年につながる」とし、「ただ、チーム関連で4種目エントリーするのは、正直、厳しいので、どのようにやっていくのかはもう一度検討していきたい」と慎重な姿勢を見せた。
 

 平成最後のビッグイベントとなった今大会だが、「平成も令和も考える間もなく取り組んでいるので、あまり実感はない。とにかく東京五輪まではやるべきことをやっていかなければ」と井村ヘッドコーチ。今大会、エントリーしていないウクライナイ、チームの全容がベールに包まれている中国などライバルが立ちはだかるが、そうした相手に関係なく、自らをレベルアップさせていく決意を新たにした。

画像: 日本のGALAはミックスデュエットも交えた2020応援ソング「パプリカ」をベースにパフォーマンスを披露。最後は五輪マークを水面上に模したエンディングだった 写真◎田中慎一郎(スイミング・マガジン)

日本のGALAはミックスデュエットも交えた2020応援ソング「パプリカ」をベースにパフォーマンスを披露。最後は五輪マークを水面上に模したエンディングだった
写真◎田中慎一郎(スイミング・マガジン)

 ジャパンオープン、日本選手権の成績(上位3位まで)は以下の通り。

ジャパンオープン2019結果
(上位3位と得点)

★チームTR
(1)日 本 91.3871
(2)カナダ 87.5982
(3)フランス85.9191
★チームFR
(1)日 本 93.0333
(2)スペイン89.2667
(3)カナダ 88.2000
★デュエットTR
(1)S・コレスニチェンコ/S・ロマシナ
   ロシア 95.7896
(2)乾友紀子/吉田 萌
   日本 91.3775
(3)C・フェロ/L・チェルッティ
   イタリア 89.5706
★デュエットFR
(1)S・コレスニチェンコ/S・ロマシナ
   ロシア 96.8333
(2)乾友紀子/吉田 萌
   日本 94.2000
(3)ジャン・ティンティン/ジャン・ウェンウェン
   中国 93.7667
★ミックスデュエットTR
(1)M・グルバンベルディエワ/A・マリツェフ
   ロシア 90.2902
(2)足立夢実/安部篤史
   日本 88.0718
(3)E・ガルシア/P・リベス
   スペイン 84.5511
★ミックスデュエットFR
(1)M・グルバンベルディエワ/A・マリツェフ
   ロシア 93.5333
(2)M・フラミニ/G・ミニシニ
   イタリア 91.9000
(3)足立夢実/安部篤史
   日本 89.8333
★ソロTR
(1)S・コレスニチェンコ(ロシア)94.0252
(2)乾友紀子(日本)92.0159
(3)O・カルボネル(スペイン)90.5317
★ソロFR
(1)乾友紀子(日本)93.4667
(2)L・チェルッティ(イタリア)91.1000
(3)J・シモノー(カナダ)90.2000
★フリーコンビネーション
(1)日本 92.3000
(2)中国 88.6333
(3)韓国 79.0667
★ハイライトルーティン
(1)日  本 92.0000
(2)スペイン 91.6333
(3)カナダ  88.4333

日本選手権結果
(上位3位と得点)

★チームTR
(1)井村ASC  81.8959
(2)東京ASC  81.1374
(3)アテナAM 78.4904
★チームFR
(1)井村ASC 85.8000
(2)東京ASC 84.4000
(3)長野ASC 81.1667
★デュエットTR
(1)公門なつの・山嵜舞子(井村ASC)81.0904
(2)澤田眞夏・吉田理恵(東京ASC) 80.8114
(3)和田彩未・小林 唄(長野ASC) 79.1385
★デュエットFR
(1)澤田眞夏・吉田理恵(東京ASC) 84.5333
(2)公門なつの・細川朝香(井村ASC)83.5333
(3)和田彩未・須藤美紅(長野ASC) 83.0333
★ソロTR
(1)澤田眞夏(東京ASC)80.6970
(2)和田彩未(長野ASC)79.1869
(3)須藤美紅(長野ASC)78.8895
★ソロFR
(1)澤田眞夏(東京ASC)84.5333
(2)須藤美紅(長野ASC)83.1667
(3)吉田理恵(東京ASC)81.9667
★フリーコンビネーション
(1)井村ASC-A 86.0667
(2)東京ASC  85.6667
(3)アテナAM  82.3333
★ハイライトルーティン
(1)井村ASC-A 84.0667
(2)東京ASC  83.2667
(3)アテナAM  79.9333

構成◎牧野 豊(スイミング・マガジン)

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