13日、東京・後楽園ホールで行われたIBF世界フライ級タイトルマッチ12回戦は、チャンピオンのモルティ・ムザラネ(南アフリカ)が同級4位の挑戦者・黒田雅之(川崎新田)に3-0の判定勝ちで2度目の防衛に成功した。黒田は6年ぶり2度目の世界挑戦も実らなかった。

写真上=試合を支配したムザラネの左ジャブ

3回から青黒く腫れ始めた右目はほぼふさがり、5回に切り裂かれた左目の上からは血がとめどなく伝う。血しぶきを飛ばしながらも最後まで攻め続けた32歳・黒田の執念は、36歳・ムザラネの技巧に断ち切られた。

川崎初、令和初の世界チャンピオンを願って実現した6年ぶりの挑戦。「手を出せと言っても出せなかった」と新田渉世会長が言う、あのときよりも成長した姿を見せた黒田だが、繰り出すパンチはことごとくムザラネの高く固いガードに封じ込められた。

脇腹を激しく叩く黒田の左ボディブローにもムザラネは顔色ひとつ変えず、精力的な動きからジャブを連発。このジャブがよく伸びて突き刺さり、黒田は自分の距離をつかめない。初回でペースを握ったムザラネが、次第にワンツーから速いコンビネーションにつなげると、中盤からはワンサイドゲームの様相を呈していった。

画像: 傷だらけの顔で気丈に試合を振り返る黒田

傷だらけの顔で気丈に試合を振り返る黒田

下された判定は116対112が2人、117対111が1人。「ボディが当たるので、我慢比べに持っていくしかなかった」という黒田だが、ムザラネに言わせれば「本当に入ったのは一発だけ」。それでもムザラネは黒田の健闘に驚きを隠さず「こんなに強いとは思っていなかった。クロダは人生で最高の試合をしたと思う」と称えた。

その思いは、沈痛な空気の中でも精一杯の笑みを浮かべながら「最後、自分なりには出し尽くしたという感じです」という黒田の言葉とも一致していた。

文◉藤木邦昭
写真◉山口高明

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