Xリーグ、今の注目選手を追う「X-men 今季にかける男たち」。2人目はLIXILディアーズのルーキーQB石井僚介を取り上げる。

画像: ブリッツをチェックするLIXILのQB石井。敵ディフェンスのリードは課題の一つだ=2019年5月4日の対電通戦で 撮影 小座野容斉.

ブリッツをチェックするLIXILのQB石井。敵ディフェンスのリードは課題の一つだ=2019年5月4日の対電通戦で 撮影 小座野容斉.

石井僚介 25歳 LIXILディアーズQB

 LIXILは5月4日、今春の初戦(対電通キャタピラーズ戦)に新人の石井をQBとして先発させた。富士通スタジアム川崎に詰めかけたディアーズのファンには馴染みのない名前だったろう。
石井は今春からLIXILに合流した新戦力で、筆者は情報として存在を知っていた。関西学生Div.2の神戸学院大の出身で、エレコム神戸に1年間だけ在籍した後、2年間競技を離れていたという。大学時代は新生剛士さんの「QB道場」で3年間腕を磨いており、投げてよし、走ってよしという好素材のQBと聞いていた。

「先発を言われたのは試合前日です。春は出番が多くなると聞いていたので、準備はしていました」

 石井は第1クオーターの先制チャンスに、タッチダウン(TD)を狙ったパスを電通ディフェンスにインターセプトされた。その後落ち着きを取り戻し、6連続でパスを決めるなど良いところも見せたが、レシーバーの落球が多い上に、第2クオーターと第4クオーターにもインターセプトを喫するなど、パス15/31、101ヤード、3インターセプトに終わった。
 インターセプトがいずれも相手陣の深い位置(1本はエンドゾーン内)だったため、得点には影響しなかったが、散々の出来と言ってよい。
 20年ぶりに指揮官としてディアーズに復帰した高野元秀ヘッドコーチ(HC)は、石井を「試合経験が少ないので、まずは経験をと思っていた。デビュー戦としては30点以下」と厳しい評価だ。

「2年ちょっとブランクがあって、試合勘の無さが出ました。投げ捨てるべき場面や、スクランブルして走った方が良いという判断が、今日はできていませんでした」

画像: スクランブルするLIXILの石井。脚力にも自信はあるが、この日は抑え気味だった=2019年5月4日の対電通戦で 撮影 小座野容斉

スクランブルするLIXILの石井。脚力にも自信はあるが、この日は抑え気味だった=2019年5月4日の対電通戦で 撮影 小座野容斉

 筆者は、撮影しながら、石井の動きにはメリハリがあり、左右にロールした後でもしっかりとした強いボールを投げ込んでいると感じていた。特に目についたのは肩の強さだ。自陣内から、WR永川勝也を狙ったロングパスは、全力疾走する永川の遥か前方に落ちた。優に50ヤードは飛んでいた。

「肩の強さには自信はあります。70ヤードは投げられます」

画像: 強肩には自信を持つLIXILの石井。「日本人のQBには負けない」という=2019年5月4日の対電通戦で 撮影 小座野容斉

強肩には自信を持つLIXILの石井。「日本人のQBには負けない」という=2019年5月4日の対電通戦で 撮影 小座野容斉

米カレッジのハイパワーオフェンスを研究

 石井は、神戸学院大学が関西学生Div.2に上がった原動力となったQBだ。昇格した2015年に、3勝2敗と躍進。4年生だった石井自身も5試合でパス1200ヤード、10TDで最優秀QBとして表彰も受けた。それだけではない。
 研究熱心な石井は、米カレッジフットボールで全米トップ級の得点力を誇ったベイラー大学のオフェンスを分析して取り入れたという。その頃のベイラー大は、オフェンスの鬼才、アート・ブライルズHCが指揮を執っており、NFLファンにもおなじみのQBロバート・グリフィン3世(RG3)がプロへ巣立った後だ。QBブライス・ペティ(現ドルフィンズ)のオフェンスを徹底的に研究したという。

「ベイラーはランパスのオプションを軸として、そこに精度の高いロングパス、ショートパスを織り交ぜたオフェンスでした。自分に合うと思い、大学用にプレイを作り直しました。3年生からオフェンスコーディネーター兼任で、プレイコールも自分で全て出していました」。

 米カレッジトップレベルのオフェンスを取り入れるというのはそう簡単なことではない。特にベイラー大のオフェンスは、RG3に代表されるように、QBの身体能力を必要とする。石井はそれを備えていた。

画像: LIXILの冨永オフェンスコーディネーターの指示を聞くQB石井。後方には、エース加藤と控えの大和田も付き添う=2019年5月4日の対電通戦で 撮影 小座野容斉

LIXILの冨永オフェンスコーディネーターの指示を聞くQB石井。後方には、エース加藤と控えの大和田も付き添う=2019年5月4日の対電通戦で 撮影 小座野容斉

野球で培った身体能力 阪神の近本とチームメート

 高校時代、石井は野球部で、兵庫県下有数の強豪校の社高校のレギュラー外野手として活躍していた。50メートル走は6秒、遠投は110メートルだったという。
 高校時代チームメートとして競い合っていたのが、現在、阪神タイガースの近本光司外野手だ。近本選手は、石井の1学年下で、石井がセンター、近本選手がライトだった。最も仲が良かった後輩で、いつもいろいろな話をしていたという。近本選手は関西学院大から大阪ガスへ進み、昨年の都市対抗野球で、橋戸賞(MVP)を獲得、秋のドラフト会議で1位指名を受けた。阪神入団後も新人王候補となる大活躍を見せている。

「先日、阪神の試合が横浜であったので、一緒に食事をしました。プロの第一線であんなふうに活躍していて、自分自身、とても鼓舞されています。自分も、負けないように頑張ります」

 LIXILのQBは大黒柱として加藤翔平が健在だ。ただ加藤も4月に31歳になった。1人で投げ切るのではなく、フィジカルと脚力もあって、チェンジオブペースになれるQBが必要だった。181センチ、88キロと大型で身体能力の高い石井が育てばLIXILオフェンスの大きな武器となる。
 19日に対戦するIBMには、ランパスのスプレッドオプションQBとしては日本でNo.1の政本悠紀がいる。学年では同じだが、Xリーグの実績では遥かに先を行く政本とどれだけの勝負ができるか。石井のチャレンジはまだ始まったばかりだ。
【写真/文:小座野容斉】

画像: 試合終了後、LIXILのWR前田からアドバイスを聞くQB石井。左隣のWR宮本も含め、パスユニットには日本代表経験者がそろう=2019年5月4日の対電通戦で 撮影 小座野容斉

試合終了後、LIXILのWR前田からアドバイスを聞くQB石井。左隣のWR宮本も含め、パスユニットには日本代表経験者がそろう=2019年5月4日の対電通戦で 撮影 小座野容斉

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