2位名古屋と4位川崎Fの上位対決は、1-1のドローに終わった。決着こそつかなかったが、両チームの選手たちが備える技術レベルの高さが、ゲームを見応えのあるものにした。

上写真=名古屋の米本拓司と川崎Fの田中碧が激しく競り合う(写真◎J.LEAGUE)

■2019年5月17日 J1リーグ第12節
川崎F 1-1 名古屋
得点:(川)L・ダミアン
   (名)マテウス

こういう試合をたくさん続けたい(風間監督)

 平日金曜日の夜に集った2万4821人のファン・サポーターは、緊張感と娯楽性に富むJ屈指の好ゲームの目撃者になった。狭いエリアの中でボールを扱うことを苦としない。そして守備の局面では失ったボールの即時奪回を目指す。スキルフルで、スピーディーで、アグレッシブ。つまりは一時も目が離せない、そんなゲーム内容になった。

 ファーストゴールが生まれたのは45分。前半終了間際だった。自陣で間接FKを得た名古屋は、丸山祐市が敵のエリア付近へロングボールを送る。ジェジエウとの競り合いに勝ったジョーが頭で落とすと、マテウスが胸トラップからそのまま左足を振りぬき、ゴールを射抜いた。

 川崎Fがペースを握りかけていた時間帯の得点で、名古屋にとっては最良の展開。それまで制空権をジェジエウに握られていたジョーが競り勝って、マテウスが相手DFが寄せるよりも早くシュートを放つ。好判断の連鎖と技術力で生んだ今季の名古屋らしいゴールだった。

 この一発で一気に流れが名古屋に傾くかと思われたが、川崎Fは泰然自若。一切の焦りがなかった。そこがJ1連覇中の王者たるゆえんか。ハーフタイムに「慌てる必要はない。自分たちなら逆転できる」と鬼木達監督にはっぱをかけられた選手たちは、後半開始から積極的にゴールを目指す。相手の間に入れ替わり立ち替わり選手が顔を出し、受けてははたいて縦方向にボールを動かし、好機を生み出していった。

 そんな攻めの姿勢が実を結んだのは69分のこと。田中碧に代わって入ったレアンドロ・ダミアンがネットを揺らす。GKチョン・ソンリョンのロングフィードをL・ダミアンがヘッドで後ろにすらすと、ボールは長谷川竜也へ。反転して相手CBとSBの間に走り出したL・ダミアンが再び長谷川からパスを受け、エリア内に入るや右足を一閃。強烈なシュートで相手GKランゲラックの左脇を抜いた。

「一瞬で判断したプレーだった。監督から積極的にシュートにいこうという指示があったので、あの場面もシュートを打とうと考えていた。竜也に近くでプレーしてもらえれば、クサビが入ったときも、素早いプレーができるのではないかと思っていた」(L・ダミアン)

追いついたことは評価できる(鬼木監督)

 狙い通りのプレーで追いついた川崎Fは、同点ゴールを機に一気加勢に攻め込んでいった。しかし、殊勲のゴールを挙げたL・ダミアンが足を右足を打撲し、運動量が落ちた影響もあって再びネットを揺らすことはできず。一方の名古屋も相馬勇紀、前田直輝を投入して攻撃の圧力を強めたが、勝ち越しゴールを挙げられなかった。結局試合は1-1のまま、タイムアップ。

「両チームとも面白いサッカーができたのではないかと思います。こういう試合をたくさん続けたい。そして、こういう中でやっていくことで選手ももっと良くなると感じました。ただし、われわれの方から見れば、まだまだ満足ではなく、決定的なチャンスを作りながらも仕留め切れなかった。ほとんどピンチはなかったのですが、一度、水を漏らしてしまったところ、そのへんの課題が残ったゲームだったと思います」(風間八宏監督)

「前半決して悪い内容では無かったのですが、ワンチャンスをやられてしまったと思っています。ただ、選手たちは集中力を切らすことなく、(同点に)追いついたことは評価できると思います。それでもホームでしたので、勝ち切らなければいけないゲームでした」(鬼木達監督)

 両監督とも、内容には一定の評価を与えつつも、そのコメントには「勝ちたかった」「勝ち切れた」との思いがにじんだ。攻撃的に戦い抜いた90分で手にした決定機の数を考えれば、それは当然の感情だろう。ただ、決着こそつかなかったものの、互いに次につながる充実した内容だったのも確か。試合終了直後に両サポーターから送られた拍手が、そのことを証明していた。

 この結果により、暫定ながら名古屋は2位をキープ。そして川崎Fは3位と、順位を一つ上げた。次回の対戦は8月10日、今度は名古屋のホーム、豊田スタジアムで相まみえることになる。
 真夏の夜に行なわれるその試合は、Jリーグ屈指の技術力を誇る両チームの決着戦となるか。いずれにせよ、次回も今回のように、見る側の心を刺激する『濃い』内容になるに違いない。

写真◎J.LEAGUE

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