さあ、いよいよ待望の一戦だ!──。WBSS(ワールドボクシング・スーパーシリーズ)準決勝の前日計量が17日(日本時間18日)、イギリス・グラスゴーのSECセンターで行われ、WBA世界バンタム級チャンピオン井上尚弥(26歳=大橋)と、IBF同級王者エマヌエル・ロドリゲス(26歳=プエルトリコ)がともに53.4kgとリミット(53.5kg)を100gアンダーで1発パスした。

上写真=井上、ロドリゲスともに計量を1発でクリアし、精悍な眼差しを見せた

 日本国内の計量は午後1時、2時に行われるのが通例だが、ここグラスゴーでは午後5時にスタート。われわれの感覚ではわずか3時間あまりのズレだが、選手にとっては苛立ってもおかしくない“間”。しかし、後援会等、日本から駆けつけた大応援団が歓声を送る中、さすがは“モンスター”、颯爽と登場し、右手を挙げて声援に応えた。

ビルドアップされた、見事な肢体

ロドリゲスは、生気を取り戻しているように感じた

 絞り込まれた肉体は、「凄いボディ」と大橋秀行会長も感嘆の声を上げるほどの見事さ。対するロドリゲスも、2日前の会見ではやや精彩を欠いた表情を見せていたものの、この日は目力もよみがえった感があった。

静かに火花を散らす両チャンピオン

 恒例のフェイスオフは、やはりピタリと目線を合わせたまま、20秒近く続いた。今回はお互い退かない。ほんのわずか10センチあまりの空間に、青い火花が散る。これを見ただけで鳥肌が浮き出てくるほどゾクゾクさせられた。

「(ロドリゲスは)いい具合に仕上げてきたと思いますし、過去最強の相手なので、またしっかり精進して挑みたい」。
 壇上でコメントを求められた井上は、しっかりとロドリゲスをリスペクトし、警戒する言葉を発した。けれども、そこに過度な力み、クールさはない。心のバランスもいたってイーブンといった様子で、ビッグマッチ慣れした大物感を漂わせた。

笑顔で壇上を後にする井上。日本から来たファンの喝采を浴びた

「ボクシング発祥の地で無敗のチャンピオン同士。歴史に残る技術戦を期待したい。ロドリゲスが相手だから、尚弥の新しい部分を出せると思います。これまではそれを出す前に終わってしまったので、ロドリゲスは尚弥のその部分をきっと引き出してくれるはず。ボクシングの凄さを見せるのが尚弥の役目です」。
 大橋会長も、マネージャーという立場以上に、いちボクシングファンとして、この試合を楽しみにしている様子だ。それもこれも当然、愛弟子に絶対的な自信を持っているからこそ。
「今回は、試合が近くなるにつれてどんどん凄みを増した。長いこと尚弥を見てきたけれど、こんなに凄い尚弥を見たのは初めて。まさに鬼の形相で練習に取り組んでいた。またさらに強くなっていると思います」。
 さらに進化した“モンスター”井上尚弥──。想像しただけで、武者震いが起こってしまう。

 大橋会長は、無敗チャンピオン対決を、何より楽しみにしている様子だ 写真_本間 暁

 なお、今回の試合は王座統一戦のかたちをとらない。IBFは、スーパー王者とレギュラー王者が並立する場合、スーパー王者を上位とし、そちらとの対戦の場合のみ統一戦と認めるため。IBFサイドの考え方としては、井上がIBF王座に挑戦するというかたちなのだ。
 しかし、「事実上の統一戦」(大橋会長)に変わりはなく、井上が勝てば、WBA王座に加え、IBF王座も手に入れることは揺るぎない。

テイラー(左)が押しつけ、バランチクが押し戻す。会場のテイラーファンは沸いた 

 もうひとつ行われるWBSS準決勝、IBF世界スーパーライト級タイトルマッチ、王者イバン・バランチク(26歳=ベラルーシ)、挑戦者3位ジョシュ・テイラー(28歳=イギリス)も、ともに計量をクリア。パスし終えたバランチクが大絶叫したのをきっかけに、両者ヒートアップ。地元のスター、テイラーが顔をくっつけて挑発し、バランチクも顔で押し返す、という“よくある光景”で、会場を盛り上げた。

文_本間 暁 Texy by Akira Homma
写真_山口裕朗 Photos by Hiroaki Yamaguchi

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